東の「酉の市」と西の「十日戎」。どちらも商売繁盛の願掛け行事です。


早いもので今年もあと2カ月。

ちょっと気は早いですが、
今回は
お正月の縁起物の代表格ともいえる
「七福神」について、
ひと足お先に紹介します。

年賀状の図案モチーフなど、
年に一度、目にする頻度が高まるのが
「七福神」です。

「七福神」は、日本に代々伝わる
七人の神様が宝船に乗って
福を届けにくると思いがちなのですが
日本の神は、
西宮・鳴尾の漁師が
漁業の神様として祀っていた
“恵比寿天”のみ。

平安時代になり、
最澄が比叡山で
インドのヒンドゥー教のシヴァ神を
財福の神“大黒天”として祀り始め、
平安以降に
京都鞍馬で信仰されていた
“毘沙門天”が加わって、
三神信仰がまず定着しました。

“毘沙門天”も
インドのヒンドゥー教の神で、
別名“多聞天”と称される
四天王のひとり。

武将の姿で福を運びます。

鎌倉初期辺りに、
近江・竹生島で信仰されていた
インドのヒンドゥー教をルーツとする
“弁財天”が知恵や財宝、
縁結びの女神として加わりました。

その後、室町時代になってから、
弥勒菩薩の化身ともいわれる
富貴繁栄を司る中国仏教の神
“布袋尊”、
中国の道教にルーツを持つ
長寿延命の神“寿老人”、
同じく道教にルーツを持つ
長寿幸福の神“福禄寿”が加わり、
室町末期にそれらをまとめた
七柱の神仏の集合体である
「七福神」が確立。

江戸時代になって
広く定着していきました。

この七人のメンバーは、途中、
吉祥天やお多福、福助、稲荷神、
猩猩、達磨大師、不動明王などの
別の神と入れ替わることも
何度かありましたが、
結局、もとの七人に戻って
今に至っています。

また、日本の「七福神」に似た
インド起源の「八福神」という信仰が
中国に伝わり、
実在した八人の仙人をまとめた
「八仙」が、
中国各地で信仰の対象として
祀られたといいます。

この「八仙」をモチーフにしたのが、
ジャッキーチェンの出世作「酔拳」。

「八仙」一人ひとりの名を冠した
酔八仙拳を繰り出す様は圧巻で、
日本でも大きなブームを
巻き起こしました。

「十日戎」と「酉の市」。東西の商売繁盛の願掛けは、明確に分かれています。

さて、「七福神」のひとりで、
唯一の日本の神様である
「恵比寿天」は、
いわずと知れた商売繁盛の神様。

毎年1月10日に開催される
「十日戎(とおかえびす)」は、
9日の“宵えびす”、
10日の“本えびす”、
11日の“残り福”の3日間で、
約100万人以上もの人が訪れる神社が
あるともいわれるポピュラーな行事です。

参拝の後、
さまざまな縁起物を吊るした
福笹や熊手を買い、
次の「十日戎」まで
1年間のご利益を願うのが
お決まりの参拝スタイル。

また、全国3500社ある
“えびす神社”を束ねる総本山が
兵庫県の西宮神社で、
酒どころの灘五郷とも深い関係があり
毎年、繰り広げられる
“開門神事福男選び”は、
季節の風物詩として
全国区のニュースになるほど有名。

とはいえ、“日本三大えびす神社”
とされる「西宮神社(兵庫)」や
「今宮戎神社(大阪)」、
「京都ゑびす神社(京都)」を中心に、
かなりの賑わいを見せるのは、
やはり大阪、兵庫、京都に点在する
「えびす神社」のようです。

「十日戎」と同じ意味合いの
年中行事として、
名古屋以東の地域、
とりわけ関東エリアを中心に
商売繁盛を願って行われているのが
「酉の市」です。

全国の鳥信仰のある神社仏閣で
行われている行事で、
11月の“酉の日”に開催されます。

十二支が
“日”に順に割り当てられているので
多いときでひと月に3回
“酉の日”が巡り、
1回目を“一の酉”、
2回目を“二の酉”、
3回目を“三の酉”と呼びます。

昔から“三の酉”まである年は
火事が多いという言い伝えがあり、
今年の11月にも3回“酉の日”がある、
いわゆるあたり年。

11月4日が“一の酉”、
11月16日が“二の酉”、
そして11月28日が“三の酉”に
あたるため、火の元には
十分気をつける必要がありそうです。

「酉の市」で有名なのは、
発祥とされる
大鷲神社(東京・足立区)や
関東三大酉の市に数えられる、
鷲神社(東京・台東区)、
花園神社(東京・新宿区)、
大國魂神社(東京・府中市)と、
どれも東京都内ばかり。

しかし、
大鳥信仰の総本山とされるのは、
大阪・堺の「大鳥神社」というから、
やや不思議な感じもします。

もちろん、
ここでも「酉の市」の賑わいを
体感することはできます。

新型コロナ禍で、
商売は大小に関わらず、
少なからずその影響を受けています。

関東エリアの方は11月の「酉の市」、
関西エリアの方は来年1月の
「十日戎」に出向き、
初心に戻って商売繁盛の願掛けを
行ってみてはいかがでしょうか。

秋の日差しを強く感じる理由と冬の準備に適した“こたつ開き”の日のお話。

秋の日差しを強く眩しく感じるのは、夏から秋にかけて大気が入れ替わるため。

朝夕めっきりと寒くなりました。

日中に吹く風は、
ほどよい冷たさを帯びているものの、
この時期の日差しは
肌がひりつくほど強く、
眩しさは夏の強さのままの
ようにすら感じます。

では、なぜ秋の日差しを
強く眩しいと感じるのでしょうか。

夏の太平洋高気圧による
湿った空気は、秋になると
その勢力を弱め始めます。

そこに、張り出すのが
冷たい空気を吹き出す
シベリア高気圧。

大陸の乾いた冷たい大気が
送り出されることで、
風が冷たさを帯び、
秋の涼しさを感じさせます。

夏とくらべると
日差しはやや衰えているものの、
大陸からの乾いた空気の影響で
大気が澄み切っているため、
太陽光の透過率が高まることが、
日差しをより強く感じる
要因なのです。

“天高く馬肥ゆる秋”というように、
秋の空が高く感じるのも、
この澄み切った大気によるもの。

また、夏場に真上から
降り注いでいた直射日光は、
秋になると角度が低く
横方向から差すことで
目に入りやすい角度になり、
より眩しさを感じることになる
という訳です。

この時期に大切なのは、
紫外線対策。

夏の厳しい暑さも和らぎ、
秋の気配を感じるように
なった辺りから、つい、
UVケアも油断しがちです。

確かに夏にくらべると
秋の紫外線量は
約6〜8割に減少します。

降り注ぐ紫外線の95%を占める
“紫外線A波(UV-A)”は
波長が長く窓ガラスをも通過。

肌表面の炎症が起きにくい反面、
肌の奥の真皮層にまで届いて
シミやシワ、たるみの原因に
なるなど、老化を進行させる
といわれています。

残りの5%にあたるのが
“紫外線B波(UV-B)”で、
エネルギーが強く、
肌の表層で吸収され、
日焼けやそばかす、
皮膚ガンの原因になります。

この“紫外線B波(UV-B)”は、
冬の気候になる頃には
5分の1にまで減りますが、
“紫外線A波(UV-A)”の量は、
あまり変わりません。

また、夏場は日差しを避けるように
日陰に入るなどの対策を
取っていますが、
秋は心地よい涼しい風があることで
行楽に出かける機会も増えるとき。

屋外に長時間いることで、
知らず知らずのうちに
紫外線ダメージを
受けやすくなっているのです。

外出前や外出後の
紫外線対策におすすめなのが、
菊正宗の美容液や化粧水、乳液。

乾燥しがちなお肌に、
米糠由来の保湿成分で
うるおいを与えてから、
UVケアコスメを使うと
効果への期待も高まります。

また、夏の暑さの
疲れが残っている身体に
活力を取り戻し、
身体の内側から整えてくれるのが、
“飲む点滴”ともいわれる
「大吟醸deあま酒 5-ALA」です。

冬の寒さを迎える前に、
この過ごしやすい秋に、
身体全体を整えておきましょう。

こたつを出す日は、11月6日の“こたつ開きの日”がおすすめ。

晩秋から初冬にかけて、
本格的な冬の準備のひとつとして、
“こたつ”や“ストーブ”、
“ファンヒーター”などの
暖房器具を出すのも、
ちょうど肌寒さを感じ始める
この時期です。

現在使われている暖房器具の中でも、
とりわけ歴史が古いのが
“こたつ”です。

この“こたつ”を出す日が
あるのをご存知でしょうか。

江戸の昔、“こたつ開き”とも
呼ばれた「亥の子の日」です。

「亥の子の日」とは、
亥の月(旧暦の10月/現在の11月)
の亥の日に、“亥の子餅”を食べ、
“こたつ開き”を行う風習のことです。

この風習は、古代中国から伝わった
“亥の月、亥の日、亥の刻に
餅を食べれば無病息災”に
由来するもので、中国から
伝来した意味合いに加えて、
日本の生活に馴染むように、
さまざまな意味を
持つようになりました。

昔の“こたつ”は
囲炉裏の火を落として
櫓(やぐら)を組み、
布団を掛けたもので、
しばしば火事の原因になった
といいます。

そうしたこともあり、
陰陽五行説の“亥”は
火を制する水の属性を持つことから、
“亥”の日に火を使い始めると
火事を防ぐと考えられていた訳です。

また、「亥の子の日」に
“亥の子餅”を食べるのは、
多産のイノシシにあやかって
子孫繁栄を祈願する
という意味があります。

現在でも、茶の湯の世界では、
「亥の子の日」に炉に火をくべる
“炉開き”が行われるところが多く、
新茶を初めて使う“口切り”を行い、
“亥の子餅”を食べる行事が
習慣となっています。

今年の「亥の子の日」は
11月6日です。

“こたつ”に限らず、
“ストーブ”、“ファンヒーター”
などの暖房器具の準備をするなら、
先人の教えから学ぶ
縁起の良い日を選ぶに
越したことはありません。

冬本番前の
初“こたつ”でいただく
熱燗は格別です。

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秋の「土用」は、“辰の日”に“た”のつく食べ物と青いものを。

「土用」の時期は、土いじりは厳禁です。

ご存知ない方が多いかも知れませんが、
暦の上では、これから「秋の土用」
期間になります。

2022年の秋の「土用」は、
10月20日(木)から11月6日(日)の
18日間です。

この「土用」は、中国の陰陽五行説に
基づいていますが、二十四節気や
五節供のように中国から伝わったもの
ではなく、日本人の生活文化から
生まれた日本独自の雑節のひとつ。

つまり、日本の気候風土に
照らし合わせた季節の節目
ということで、農作業の目安として
定着していきました。

中国の陰陽五行説で説かれた万物の
根源とされる“木、火、土、金、水”
の気を、“春=木の気”“夏=火の気”
“秋=金の気”“冬=水の気”と
四季にあてはめ、残った“土の気”を
四立(立春、立夏、立秋、立冬)
それぞれ直前の18日間に
割り当てたものが「土用」で、
年に4回あります。

そして日にちに割り当てられている
十二支の“丑”の日が巡ってくる日が、
夏の「土用の丑の日」です。

「土用」期間は18日間あるので、
場合によっては“土用の丑の日”が
2回巡ってくる年もあり、
2度目の「土用の丑の日」を
“二の丑”と呼びます。

毎年、夏の「土用の丑の日」ばかりが
脚光を浴びますが、ほかの季節の
「土用」が存在することは、
あまり知られていません。

また、各季節の「土用」の最終日は
必ず“節分”で、その次の日が
四立(立春、立夏、立秋、立冬)。

こちらも、立春の前日に当たる2月の
“節分”ばかりが話題になりますが、
“節分”も年に4度訪れるということは、
あまり知られていません。

「土用」は、
“土旺用事(どおうようじ)”を
略した言葉で、“土が旺(さかんに)
なり、用事(働き)をする”という
意味があります。

「土用」の間は、陰陽道の
“土”を司る
“土公神(どくしん/どこうしん)”
という神様が土から出てきて、
土がもっとも働く期間とされ、
土を動かしてはいけない期間
ということです。

具体的には、土いじりや草むしりは
もちろんのこと、造園や地鎮祭、
井戸掘りなど“土”に関することは
避けるという教え。

ただし、「土用」の前に、すでに
作業に入っていた農作業や増改築は
進めても問題はなく、土に触れる際に
手袋をしていればOKのようです。

また、「土用」期間中に土公神が
天上に行くために土から離れる
日があります。

“土用の間日(まび)”と呼ばれ、
その日は土に触れてもいい日と
されています。

秋の“土用の間日”は、
“未”“酉”“亥”の日なので、
10月21日(未)、23日(酉)、
25日(亥)、11月2日(未)、
4日(酉)、6日(亥)。

ガーデニングなどは、
この“土用の間日”に
行うのが賢明です。

秋の「土用」は、丑の日ではなく、“辰の日”。

毎年、夏の「土用の丑の日」には、
スーパーの店頭にウナギが並び、
この日ばかりはと、ウナギを
買い求めるお客さんの姿が
夏の風物詩として広く紹介されます。

しかし、秋の「土用」に、
スーパー店頭でウナギが
「土用の丑の日」のセール商品として
売られているという記憶は、
とんとありません。

夏の「土用の丑の日」には、
夏の暑さで疲れた身体の健康維持や
食欲増進のために
“う”のつく食べ物や黒いものを
食べるのが良いとされ、
その代表格がウナギなのです。

実は、秋の「土用」は、
辰の日に“た”のつく食べ物や
青いものを食べるのが
良いとされています。

つまり、秋は
「土用の辰(たつ)の日」ということ。

同じように、春は
「土用の戌(いぬ)の日」に
“い”のつく食べ物や白いものを、
冬は「土用の未(ひつじ)の日」に
“ひ”のつく食べ物や赤いものを
食べるのが良いとされています。

つまり季節ごとに設けた干支の
頭文字が、その時期に食べるものを
表すという食の啓蒙につながる
生活の知恵なのかもしれません。

さて、秋の「土用の辰の日」は、
時期的に夏の疲れが出る頃なので、
体調管理に気をつけ、疲れを癒す
栄養価が高い食べ物として、
秋が旬の“サンマ(青魚)”
“タマネギ”“大根”などが
美味しい時期です。

これらは食欲の秋を代表する
食材としても有名で、遠い昔から
秋の市場に出回っていたこともあり、
栄養を摂りやすい食材ともいえます。

サンマはそのまま塩焼きで。

タマネギは輪切りにして
バター醤油焼き、
大根は甘辛く煮付けるか、
おでんの材料に。

酒の肴としても
相性抜群の食材ばかりなので、
涼しくなった夜に、
キュッと熱燗を一杯、至福の瞬間。

これから秋の味覚がスタートします。

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今は、全国的に稲刈りの時期。米の自給率は、ほぼ100%です。

稲穂

米の品種に応じた稲刈り時期は、各都道府県ごとに概ね決まってます。

現在、
全国的に稲刈りシーズン、真っ只中。

9月中旬から10月中旬が
一般的な稲刈り時期です。

季節の気温の変化に伴って北上する
桜の開花前線や梅雨前夜とは違って、
作付けされる土地の自然環境に適した
品種を育てるため、単純に
“稲刈り前線”が南から北へと
北上するということはありません。

また、コシヒカリやササニシキ、
あきたこまちなどをはじめとする、
さまざまなブランド米は、大きく
“早生(わせ)”
“中手(なかて)”
“晩生(おくて)”
の3つの品種に分かれ、
それぞれの地域に適した品種を
作付けすることにより、
毎年同じ時期辺りに
田植えや収穫が行われます。

全国の稲刈り時期は
エリアによって、
かなり特徴的です。

北海道・東北エリアの稲刈りは
9月下旬から10月下旬にかけて、
北上するほど時期が遅くなります。

しかし、霜や気温の関係から
早生種を選ぶことも多く、
意外と北海道での稲刈り時期が早い
ということもよくあるお話。

関東エリアは、
9月下旬から10月中旬頃が
稲刈りの最盛期です。

しかし、千葉県では
ビニールハウスで
稲作を行なっている農家も多く、
8月下旬から9月中旬と、
他県より早い
稲刈り時期となっています。

中部エリアは、
北陸、甲信越と太平洋側では
気温差がかなりありますが、
稲刈り時期はどこも
9月初旬から10月初旬と、
大きな差はなく、
稲刈り時期の安定したエリアです。

近畿エリアの稲刈り時期は、
9月初旬から10月初旬。

ただし、和歌山、三重の
一部地域では、8月下旬頃から
稲刈りがスタートするところも。

中国エリアは、
9月中旬から10月初旬で、
ほとんどが9月中に
稲刈りを終わらせているようです。

四国エリアは、県によって
稲刈り時期に差があります。

一般的には9月初旬から
10月初旬ですが、
徳島、高知の一部地域では、
8月初旬から稲刈りがスタート。

九州エリアは
10月初旬から中旬が最盛期ですが、
福岡が9月初旬、
宮崎、鹿児島の一部地域で8月初旬の
早生種の稲狩りが行われています。

沖縄エリアは、
本土とは大きく異なり、
年に2回栽培する二期作が行われます。

最初の稲刈りは
5月から6月にかけて行われ、
2回目は本土よりもずっと遅い
11月以降に。

これは
台風の影響を避ける意味が大きく、
台風前に稲刈りを済ませ、
台風シーズンが終わった時期に
2回目の田植えを行います。

温暖な気候の沖縄ならではの
稲作スタイルともいえます。

お米への深いこだわりを持つ
日本だからこそ、
米の自給率は、ほぼ100%。

わずかな輸入米が食卓に上がる機会も
あまりなく主に加工品に使われます。

食感や味覚などにこだわった
国産ブランド品種も、
長年にわたる品種改良によって
数多く登場。

そのポテンシャルを
最大限に引き出すのが、
栽培環境に適した品種選びと
その栽培。

稲刈り時期は、
こうしたお米の美味しさ引き出す
大切な役割を担っています。

稲刈りのタイミングは、目視である程度判断可能。長年の勘が冴えるとき。

それぞれのエリアで稲刈り時期は
ある程度特定できます。

さらに、より具体的な
稲刈りのタイミングを推し測る方法も
いくつかあります。

まず、“出穂(しゅっすい)してから
40日前後が経過した頃”です。

“出穂”とは
稲の穂が出ることをいいます。

一般的に、早い生育の品種で
田植えから出穂までが約50日、
育つのが遅い品種の場合は
田植えから出穂まで
約80日かかります。

そこに出穂40日を加えて、
田植えから稲刈りまで、
最短で約90日(約3カ月)、
遅いものだと約120日(約4カ月)
かかる計算になります。

続いて、
“出穂(しゅっすい)してから
積算温度が1000℃前後になった頃”。

“積算温度”とは
毎日の平均気温を合計したものです。

また“3つ目の枝分かれした穂先が
黄色くなった頃”“籾全体の
85〜90%が黄色くなった頃”。

これは稲の成熟度を
色で判断する方法です。

これらの条件がすべて
当てはまる場合もあれば、
どれかひとつの場合もあり、
最終的には、米生産者として
長年培った勘に頼ることになります。

また、いずれの場合も、
田んぼ全体が黄金色に変わった時期が
最良の稲刈り時期といえそうです。

酒米「山田錦」の
稲刈り時期は10月中旬で、
出穂後45日~50日頃が目安。

食米と同じように籾全体の85〜90%が
黄金色に輝く頃が収穫のタイミング。

さらに、茎葉の緑色がより薄くなり、
一株当たりの穂の本数が15本程度、
20本だと過密。

また、一本の茎に長い生葉が3本
残っていれば合格です。

旨い日本酒を醸すためには、
食米よりもさらに繊細でデリケートな
稲刈りのタイミングを見計らいます。

だからこそ、美味しい日本酒が
楽しめるというものです。

「十五夜」を見た方は、10月8日の「十三夜」も見るのが決まりのようです。

秋は、「中秋の名月」以外にも楽しめる名月がいっぱい。

9月10日の夜は
全国的に晴れわたり、
雲に遮られることなく、
見事な満月の“中秋の名月”を
楽しめたのではないでしょうか。

もともと、「十五夜」は、
中国の“中秋節(十五夜)”に
由来する行事で、
“春節(中国のお正月)”
“清明節(日本のお盆に似た、里帰り
をしてお墓まいりをする行事)”
と並ぶ中華三大節のひとつです。

月を愛でる行事として
平安時代に日本に伝わったもので、
平安貴族は、この「十五夜」の
満月の夜に酒を酌み交わし、
庭園の池に浮かべた船で
詩歌を詠んだり、
雅楽の調べに酔いしれるなど、
風流で雅やかな
ひと時を過ごしました。

また、宴に興じる貴族たちは、
月を見上げるのではなく、
水面や盃の酒に映った月を、
この上なく愛でたといいます。

秋に月見をする風習ですが、
台風や長雨の合間や
時期を過ぎた直後で、
秋晴れの日が多いこともあって
空は澄みわたっています。

また、気候的にも
夏の暑さ和らいで朝夕が
過ごしやすい時期にあたるため、
この時期の月見が
好まれるようになった
とも考えられます。

日本人は、月見に限らず、
桜や紅葉、ときには
大雨のときなど、
自然の変化に敏感で、
四季を通じて営まれるさまざまな
自然の表情を切り取って、
それぞれが
独自の見方や感じ方を歌に詠む
豊かな情緒を育んできました。

そんな感性の豊かさは、
秋に映える“月”という
格好の題材を
見逃すはずはありません。

一般的に、もっとも美しさを
満喫できる月見といえば
「十五夜」が有名ですが、
実はこれ以外にも、
日本独自の月見を楽しむ日が
あるのをご存知でしょうか。

それが「十三夜(じゅうさんや)」と
「十日夜(とおかんや)」で、
これに「十五夜」を加えて
“三月見”といいます。

この“三月見”以外にも、
「十六夜」は、
別名“不知夜月(いざよい)”。

旧暦8月16日の月のことで、
“ためらう”という意味を持ちます。

「十五夜」よりも
月が出る時間が遅いため、
月がためらっていることを
表現した名称です。

そして、「十七夜」は、
別名“立待月(たちまちづき)”。

旧暦8月17日の月のことで、
“今か今かと立って待っている”
という意味を持ちます。

現在の時刻に換算すると、
日没から約1時間40分後くらいに
月が顔をのぞかせる感じです。

“不知夜月”“立待月”は、
8月以外の新月から数えて、
それぞれ16日目、17日目の
月の呼び名としても用いられました。

3日目の月“三日月”は
今でも使われる呼称で、
“上弦の月(8日目)”
“十日余りの月(11日目)”
“待宵月(14日目)”
“居待月(18日目)”
“臥待月(19日目)”
“更待月(20日目)”
“下弦の月/二十三夜(23日目)”
など、月の満ち欠けに関する
表現の多彩さが伺えます。

これは、電気のない時代に、
月の形で何日かを判断し、
また、月の明かりが
夜道を照らすなど、
昔の生活に必要不可欠な存在
だったことが伺い知れます。

昔から伝わる“三月見”。全部晴れると、いいことが起こる兆し。

さて、
“三月見”のひとつである
今年の「十三夜」は、
10月8日(旧暦9月13日)。

「十五夜」が中国から
伝わってきたのに対して、
日本独自の風習です。

その始まりについては
諸説あります。

平安末期の醍醐天皇が
「十三夜」の月見の宴を催して
詩歌を楽しんだのが起源
というのが有力です。

しかし、
その一代前の宇多天皇が
“今夜の名月は並ぶものがないほど
優れている”という内容の歌を
明月の宴で詠んだという記述が、
平安後期の書物に残されているため、
「十三夜」を楽しむ宴は、
醍醐天皇以前から風習として
親しまれていたようです。


また、「十三夜」は栗や豆が
収穫される時期にあたるため、
“栗名月”“豆名月”、
また「十五夜」の後なので
“後の月”とも呼ばれていました。

ちなみに、「十五夜」の別名は、
その収穫期から“芋名月”です。

とくに、「十五夜」と「十三夜」は
“つい”で楽しむ関係にあり、
どちらか一方の月しか見ないことを
“片月見”や“片見月”といって、
縁起の悪いこととされ、
両方の月夜を合わせて
“二夜の月(ふたよのつき)”
と呼びました。

もうひとつの「十日夜」は
11月3日(旧暦10月10日)です。

この時期は稲刈りも終わって、
田んぼの神が山に帰る日とされ、
稲の収穫に感謝し、
翌年の豊穣を祈る収穫祭で、
東日本を中心に行われます。

この日の月はお祭りの脇役ですが、
“三月見が晴れると
いいことが起こる兆し”という
大きな役割を担っています。

秋は「中秋の名月」だけでなく、
その満ち欠けを楽しむ
さまざまな月の姿があります。

そんな月夜を情緒深く過ごすのに、
万葉の名を冠した
「可惜夜」はぴったり。

残りわずかとなった「可惜夜」を、
お早めにお買い求めください。