
嘘も歴史も、時とともに塗り替えられ、やがて真実へと近づきます。
クリスマスほど目立ちませんが、
4月1日のエイプリルフールは
誰もが知る行事のひとつです。
SNSや
企業の公式サイトで
披露される“嘘”は、
ちょっとした
楽しみにもなっています。
その起源は諸説あり、
16世紀のオランダの詩や
フランスの“嘘の新年”騒ぎ、
17世紀のイギリスでの記述が
残っています。
ただ、
確たる起源解明には至っていません。
やがてこの風習は英語圏で広まり、
「April Fool’s Day」として
世界的に定着しました。

エイプリルフールの逸話として
よく引き合いに出されるのが、
アメリカでの
“オーソン・ウェルズの火星人来襲”
の話です。
1938年、
彼がパーソナリティーを務める
ラジオの番組で、
ニュース速報風のラジオドラマが
放送されました。
あまりに
迫真に迫った語り口調だったため、
多くの人が火星人襲来を信じ込み、
各地でパニックが起こったと
語り継がれる有名な話です。
しかし、
この話には“嘘”が含まれています。
実際には
ハロウィン特別企画として放送され、
エイプリルフールとは無関係。
さらに、
パニックも起こらなかったと
されています。

日本でも
エイプリルフールの
ユニークな出来事が多くあります。
2015年、
日清食品は
「カップヌードル味の入浴剤」
という嘘商品の情報を発表し、
ユーモアあふれるプロモーション
として話題に。
また、企業やメディアが
エイプリルフール限定の
“嘘ニュース”を発表する文化も
定着しつつあります。
ただし、エイプリルフールの嘘は
“ほのぼのとした微笑ましい内容”
が鉄則です。
驚かせようとしすぎたり、
人を傷つける嘘は厳禁です。
企業や個人が
過激な嘘を広めて
批判を浴びたケースもあり、
ユーモアを楽しむ日であることを
忘れてはなりません。
実は日本にも、
エイプリルフールより以前から
“嘘を楽しむ文化”が
存在したとのこと。

江戸時代には
町人の間で“与太話”や“作り話”
を楽しむ習慣があったといいます。
昔から語り継がれる落語や川柳には
現実ではありえないような話も
多く登場し、
それが庶民の娯楽の一部
になっていました。
また、大名や武士の間でも、
酒席で誇張した話をすることが
粋な遊びとして
楽しんだ記録も残っています。
さて、嘘とまではいいませんが、
現代の歴史研究によって
かつての定説が覆された事例も
多くあります。

“いいくにつくろう鎌倉幕府”
と語呂で覚えた1192年ですが、
鎌倉幕府の始まりは1185年とする説が
有力です。
また、教科書に掲載されていた
源頼朝の有名な肖像画も
モデルは別に存在し、
足利直義(足利尊氏の弟)
の肖像ではないか
との研究もあります。
聖徳太子の実像についても、
かつて学んだ逸話が
事実とは異なる可能性が
指摘されています。
こうして見ると、
私たちが“歴史の真実”として
学んだことも、
後の研究によって
塗り替えられることがあります。
もしかすると、
現在の常識も、
未来の教科書では
“与太話”として語られる日が
来るのかもしれません。
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