現代人に必要な「温活」という新しい習慣。

温める暮らしが、身体全体のめぐりを変える。

よく耳にする「○活」という言葉。その発端となったのは、就職活動を略した「就活」です。バブル崩壊後の1990年代半ば、深刻な就職難を背景に就活という言葉が定着。やがて婚活、腸活、終活など、流行や社会現象を端的に表す言葉として「○活」表現は幅広く使われるようになりました。そして、いま新たに注目されているのが「温活」です。

身体を内側から温めることで、血流や代謝を整え、冷えを防いで健やかさを保つという考え方。女性誌やSNSを中心に人気が広まり、若い世代は美容やリラックス、中高年層は健康維持を目的に、幅広く取り入れられているようです。現代人の平均体温は、わずかに低下しているといわれます。運動不足や冷暖房の普及、ストレス社会による自律神経の乱れなど、便利さと引き換えに“身体が熱を生み出す力”が弱まっているとのこと。だからこそ、日常の中に温活を習慣づけることが大切です。温活は、血行を促し、基礎代謝を上げることで免疫力を高め、冷えからくる体調不良を防ぐことが期待できます。温活というと冬だけのものと思われがちですが、実は一年を通して必要な対策です。

夏は冷房や冷たい飲み物で体が冷えるため、意外にも“夏の温活ニーズ”は高まっています。つまり、冬は“冷え込み対策”、夏は“冷えすぎ防止”という考え方です。季節を問わず、自分の体を整えるセルフケア習慣としての意識が広がっています。温活の基本は、身体を冷やさないこと。血流を滞らせる締め付けの強い服や下着を避け、下半身を中心に温めましょう。朝起きて白湯を一杯飲むだけでもめぐりが良くなります。また、軽い運動を取り入れるのも効果的。筋肉の七割は下半身にあるため、スクワットなどの動きで足腰を鍛えると、基礎体温を上げる助けになります。

心と身体をほぐす身体を温める習慣としておすすめしたいのが「ぬる燗」。寒い夜に40℃前後のぬる燗をゆっくり味わう時間は、内臓を冷やさず、身体を穏やかに温めてくれます。日本酒に含まれるアミノ酸や有機酸が香り立ち、リラックス効果も高まります。副交感神経が優位になり、ストレスによる冷えを和らげる働きも期待できるでしょう。とはいえ、飲む時の気温や肴によっては、冷酒、熱燗を楽しみたいところ。日常的にはぬる燗を意識しつつ、好みに応じて飲み分ければ良いだけです。

この秋に新登場した「しぼりたて ギンルビィ」は、冷酒から熱燗まで幅広い温度帯で楽しめる日本酒です。バナナやリンゴ、ライチのようなフルーティーな香りと、米由来の自然な甘みが調和し、温度によって異なる表情を見せてくれるのも魅力です。ぬる燗でゆったり過ごすひとときは、まさに現代の温活といえるかもしれません。

さらに、入浴も温活の基本です。シャワーだけで済ませず、38〜40℃のぬるめのお湯に30分ほど浸かることで、身体の芯までじんわり温まります。

コメ発酵液をたっぷり含んだ「美人酒風呂」や「酒蔵のととのう入浴料 酒と塩」など、日本酒由来の入浴剤を使えば、湯上がり後も保温力が続き、肌もしっとり。心身ともに“ととのう”ひとときを楽しめます。 温活の基本は、無理をせず、ゆるやかに続けること。毎日完璧にこなす必要はありません。白湯を飲む、湯船に浸かる、ぬる燗を一献傾ける。そんな小さな積み重ねが、きっとあなたの身体と心を温め、めぐりの良い暮らしへとつながっていくはずです。

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暦の上では冬。でも、体感は、まだ秋の途中

暦の節目と実際の気候のずれ。その間にこそ、日本の今の季節感があります。

秋になっても夏のような日差しに汗ばむ日々が続く昨今。2025年も例外ではなく、10月半ばを過ぎてようやく朝晩の空気がひんやりと感じられるようになりました。季節の歩みは、どうにも足踏みしているように感じられます。そうした中で迎えた、暦の上では11月7日が「立冬」です。二十四節気ではこの日を境に“冬の気配が立ち始める”とされています。しかし、体感的にはなんとなく秋が深まったばかり。暦と現実のずれに、少し不思議な感覚を覚える方も多いのではないでしょうか。

二十四節気は、太陽の動きをもとに一年を24等分し、季節の移り変わりを示した暦の区分です。もともとは農作業の目安として生まれましたが、現代では季節の移ろいを感じ取るためだけの存在になっています。立冬はその中の、冬の始まりを告げる節目のひとつです。肌感覚では、“冬の始まり”というより“秋の後半”といった方がしっくりきます。紅葉の見頃も年々遅れ、街路樹が鮮やかに色づくのは11月中旬から下旬。暦が示す季節より、体感の季節が半歩ほど後ろを歩いているようです。

二十四節気をさらに3つに区分けした七十二候でいえば、立冬の初候は「山茶始開(つばきはじめてひらく)」。山茶花(さざんか)が咲き始め、冬の訪れを静かに知らせる頃とされています。実際に庭先で白や淡紅色の花を見かけるようになるのも、まさにこの時期です。朝晩の空気が澄み、冷気が頬に触れる瞬間に、ようやく季節が変わったと実感。そんな微妙な境目こそ、日本の四季の面白さかもしれません。

立冬は、暦の上で冬が始まるこの日を境に、服装、暖房、食材などを冬仕様に整えるきっかけとなる日ともいえます。

すでにコートは出しているか、暖房をいつから使おうか、根菜や鍋の材料を意識し始めようかなど生活意識を冬へと切り替えるタイミングなのです。テレビの気象情報などにおいても、冬入りの実感という観点から“例年より”という比較がなされます。“そろそろ寒くなってくる見込み”“冬の足音が感じられた”“立冬をめどに寒さが本格化”などの言葉が聞こえ始めたら、冬は確実に近くまで来ているということに他なりません。

気候変動の影響で、季節の巡り方が昔とは異なる今。私たちは“暦どおりの季節”ではなく、“自分の体で感じる季節”を大切にしていく時代を生きています。立冬を、冬の入口と決めつけるのではなく、「秋と冬のあいだを味わう日」として楽しむのも素敵なとらえ方です。

朝晩の空気が澄み、温かい飲み物が恋しくなる頃。吐く息が白くなり始める少し前のこの季節こそ、一年でもっとも移ろいの美しい瞬間です。暦の上では冬でも、実際の季節感はまだ秋が居座っている…そんな“季節のゆらぎ”を感じながら、今日も一日を丁寧に過ごしたいものです。冷え込んだ夜には、美味しい肴を用意して、燗酒などいかがでしょうか。

「菊正宗 特撰 1.8L」
山田錦を使用し、生酛の技で醸した奥行きのあるうまみと抜群のキレ味の、料理の味が引き立つ辛口本醸造酒です。
特に気温が下がってくるこの時期には、燗にしていただくのがおススメです。

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移ろう季節に寄り添う、新しい“食欲の秋”。

今の時代に見つける、美味しい“食欲の秋”の楽しみ方。

秋が短くなった…そんな声を、ここ数年でよく耳にするようになりました。地球温暖化の影響なのか残暑が長引き、ようやく涼しさを感じたかと思えば、あっという間に冬が訪れます。短い期間の“食欲の秋”の行方が気になるところです。秋の味覚といえば、サンマ、戻りガツオ、サツマイモ、カボチャ、キノコ類など、いずれも自然のリズムで育まれた旬の代表格です。しかし、気候が不順の昨今、その“旬”のリズムは少しずつずれてきています。サンマは海水温の上昇で北の海域へと移動し、漁獲量も減少気味。戻りガツオも黒潮の流れの変化で回遊ルートが変わり、かつての秋の味覚とは言い難い状況が続いています。秋の野菜も、猛暑による日照りや雨不足が影響し、サツマイモやカボチャの出来にも地域差があるようです。

その一方で、季節の味を大きく支えているのが、栽培技術の向上や養殖技術の進歩に他なりません。ハウス栽培や環境制御型農業では、温度・湿度・光量を細かく管理し、ほぼ一年中、安定した品質で野菜や果実を生産することが可能になりました。漁業でも、完全養殖の技術が向上し、天然の品質に近い魚介が流通しています。つまり、“旬”はもはや自然だけに頼る時代ではなく、人の知恵と工夫が生み出した季節の味覚へと広がっているのです。

では、そんな気候変動の時代に“食欲の秋”をどう楽しめばよいのでしょうか。気候変動で秋が短くなり、“体が秋を感じる前に冬が来る”ような今の時代では、少し意識的に秋を感じる工夫が必要になってきます。季節のスタイルが崩れている今は、市場に出回る最初の味を意識的に味わうことがポイントです。その短い期間の味わい方を大切にすることで、暦ではなく五感で季節を感じ取る楽しみが生まれます。そのヒントとなるのは市場に出回る秋の食材を意識的に楽しむこと。スーパーで“秋の味覚フェア”というポップを見かけたら、それが季節の変わり目の合図。迷わずその旬を味わってみましょう。

脂の乗ったサンマを大根おろしで一緒にいただくいつもの塩焼きで。脂の乗りが控えめなものはニンニクや生姜、酢を効かせたさっぱりとした香味焼きや、三枚に下ろして梅肉や大葉を巻き込んだフライもおすすめです。戻りガツオはサラダ仕立てにしてオリーブオイルとポン酢で和えた和風カルパッチョでひと工夫。野菜なら、しめじやまいたけ、エリンギなどのキノコ類まとめてバター醤油でソテーすると、香ばしく秋の香りが広がります。オリーブオイルとニンニクで炒めた洋風きのこマリネもおすすめです。普段の食卓では地元産の食材や保存性の高い旬菜を取り入れることで、無理なく“食欲の秋”を感じることができます。自然と人の知恵が重なり合い、私たちは新しい“旬”を作り出していくことができるのです。

今年の秋も、目の前の食材と向き合いながら、今この瞬間だけの味わいを楽しみたいものです。そんな秋の味覚を引き立てるのは、やはり美味しい辛口の日本酒。季節の香りとともに、短い秋をゆっくり味わいたいものですね。

「菊正宗 上撰 1.8L」
「旨いものをみると辛口のキクマサが欲しくなる。」
スッキリと雑味がなく、しっかりとした押し味とキレのあるのど越しが特徴の、料理の味が引き立つ本流辛口酒です。

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読書の秋…本で広がる世界は、今も昔も、暮らしに寄り添っています。

スマホ時代だからこそ、あえて“紙で読む文化”にこだわりたい。

厳しい暑さも少し和らぎ、朝夕の涼しい風に感じる秋の気配。秋の旬の味覚を楽しむ“食欲の秋”や涼しくなって運動がしやすくなる“スポーツの秋”など、さまざまな“〇〇の秋”を楽しむ季節になりました。とりわけ、秋の夜長を楽しむ意味を持つ「読書の秋」は、落ち着いた季節に心ゆくまで物語の世界に浸る贅沢が不思議と似合います。1947年(昭和22年)、戦争で荒廃した社会に、精神的な豊かさを取り戻したいという強い願いで読書週間がスタート。

終戦直後の物資も食料も乏しかった時代でしたが、文化や心の復興への願いが「読書の秋」の言葉とともに定着しました。それを支えたのは、町のあちらこちらにあった貸本屋です。物資が少なく娯楽もほとんどない時代、古本を再利用するという発想が「読書の秋」の原動力となりました。1960年代後半頃まで日常に溶け込んでいた貸本時代、人々を魅了したジャンルに怪奇・探偵・冒険小説があります。怪人二十面相や少年探偵団の江戸川乱歩や金田一耕助シリーズの横溝正史などが人気で、安く借りられる貸本は庶民の強い味方でした。また、好きなジャンルの作品を読み漁り、その影響を受けた楳図かずおや水木しげる、松本零士などの後の漫画界の巨匠たち。

彼らもデビュー間もないころは貸本で作品を発表して人気を不動のものに。そのダントツの人気を誇ったのが他ならぬ手塚治虫作品でした。

このほか、夏目漱石、太宰治、志賀直哉などの純文学系作家や子母澤寛、山本周五郎、柴田錬三郎などの時代小説、石坂洋次郎、獅子文六、有吉佐和子などの通俗・恋愛青春小説など多彩なジャンルが本屋の棚に並んでいました。シャーロック・ホームズや名探偵ポワロなどの推理小説をはじめ、海底二万里や宝島などの冒険小説など翻訳された海外作品が広まったのも貸本屋が起点です。1959年に創刊が相次いだ少年週刊漫画雑誌も発刊当初は貸本文化の延長線上にありました。

漫画雑誌には汚れ防止の透明ビニールやセロファンが掛けられ、貸出しの順番を待つ子どもたちの姿も日常の光景でした。いつも最初に借りる子は人気者で、その子の家で回し読みすることが放課後の楽しみのひとつだったのです。

やがて、高度経済成長期を迎えて世帯収入が増え、小説も文庫本として、より安価に購入できるようになり、貸本屋は町の一般書店へと業態を変化。小説や漫画を原作とした映画やテレビドラマも増えたことで、庶民の娯楽は一気に広がりました。かつて多くの人々を魅了した小説も、時代の流れの中で活字離れという局面に接して、本が売れない時代へと突き進むことに。

あれから半世紀を経た現代、本を取り巻く環境は大きく様変わりしています。多くの漫画はアニメ化され、原作の漫画書籍とともに世界中にファンを持つ最強コンテンツへと成長。また漫画や小説から生まれたドラマや映画も花盛りです。漫画や小説もスマホで読む時代へと移り変わる中、インクの匂いと一緒にあのワクワクした昔の思い出が蘇ります。ドラマや映画きっかけでも構わないので、単行本や小説で登場人物とじっくり向き合う“読む文化”を、この季節に楽しんでみてはいかがでしょうか。本のページをめくるたびに、あの頃の静かな時間がそっと戻ってくるかもしれません。

ほろよい 720mL
アルコール度数8%でほろよいの気分を楽しめます。
口に含んだ瞬間にふわっと広がるフルーティな香りと、ブドウのような優しい甘み、プラムのような酸味が特長のお酒です。

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