9月7日はCMソングの日。音楽が広告を超える瞬間があります。

わずか数十秒で心をつかむ、日本のCM文化。その魅力と進化を紐解きます。

9月7日は「CMソングの日」です。1951年のこの日、日本で初めてCMソングがラジオから流れたことにちなんで制定。記念すべき第一号は、小西六写真工業(後のコニカ)の「僕はアマチュア・カメラマン」という曲で、広告と音楽の結びつきが本格的に始まった瞬間でした。

このCMソングの日をきっかけに、あらためて日本のCM文化を振り返ってみると、そこには独自の進化と美意識が見えてきます。まず注目すべきは、海外との違いです。欧米では“イメージを損なう”との理由で、映画俳優がCM出演を敬遠する傾向がありますが、日本では国民的スターから世界的俳優まで自然に登場します。海外から訪れた人々が、日本のテレビでアメリカの有名俳優が缶コーヒーや家電製品を紹介している様子に驚くのも無理はありません。

また、日本のCMは“短編映画”のような感動を与えることで知られています。わずか15秒から30秒ほどの中に、人生のドラマや家族の情愛を描き出し、その背後に流れる情感豊かな音楽が視聴者の心を揺さぶります。こうした演出は単なる宣伝を超えた映像芸術としても評価されることがあり、日本独自のCM美学ともいえるでしょう。

その一方で、日本ではCMソングがヒット曲として大きな成功を収めることは、もはや必然の事実。とくに80年代から90年代にかけて、CMソングが際立って華やかな時代でした。JR東海のキャンペーンで使用された松任谷由実「シンデレラ・エクスプレス」や、山下達郎「クリスマス・イブ」は、その映像と楽曲が一体となった世界観が話題を呼び、広告業界においても大きなインパクトを残しました。

同じくJALの夏の沖縄キャンペーンでは、米米CLUB「浪漫飛行」や上々颱風「愛より青い海」もCMをきっかけに大ヒット。とくに化粧品会社の季節キャンペーンソングは注目されました。桑名正博「セクシャルバイオレットNo.1」やラッツ&スター「め組のひと」、堀内孝雄「君のひとみは10000ボルト」、渡辺真知子「唇よ、熱く君を語れ」など、今なお愛される楽曲の多くが、CMをきっかけに世に広まりました。

こうした季節ごとの広告と異なる菊正宗のCMソングの特徴はロングランです。1975年から約30年間にわたり放映された菊正宗のCMでは、紫の風呂敷をシンボリックに“甘口が多いとお嘆きの貴兄に…”というナレーションとともに、西田佐知子の「初めての街で」が流れました。その後、映像が変わっても同じ曲が流れることで、伝統と一貫性を印象づける効果は高く、ブランドの歴史そのものを表現する役割を果たしたといえるでしょう。

CMの映像と曲調、そして歌詞のフレーズがぴたりと一致すると、その相乗効果は絶大です。まさに“ヒット曲はCMから生まれる”といわれた時代でした。何より、それまで気にも留めていなかったアーティストの楽曲がふと耳に残り、気づけば口ずさんでいた…そんな新しい音楽との出会いの場でもあったのです。CMは、商品紹介を超えて記憶や人生のワンシーンに結びつく存在です。9月7日のCMソングの日には、そんな“音と記憶の結びつき”に、少し耳を澄ませてみてはいかがでしょうか。

「菊正宗 超特撰 嘉宝蔵 雅 1.8L」
菊正宗のCMとして登場していたのが、純米酒「雅」!
現代風にリニューアルして、現在も日本酒ファンに大変人気の商品です。
兵庫県三木市吉川・口吉川 「嘉納会」特A地区産 山田錦100%使用。
酒蔵を継承することは、先人達の想いを継承すること。山田錦のポテンシャルを高度に引き出す、嘉宝蔵・生酛の寒造り。最高の素材と変わらぬ造りが「百年変わらぬ味わい」を未来へと引き継ぎます。
奥深いうまみと余韻が綺麗に引き締まる、官能的なフルボディ。これが、菊正宗が誇るうまい辛口の王道。究極の「灘の生一本」です。

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寄席ブーム再燃の兆し!世知辛い世の中に、笑いの風が吹く。

ライブの魅力と、懐かしさの再発見が寄席文化を次の世代へと導いています。

落語の寄席が再び脚光を浴びています。生の話芸、観客との一体感、舞台と客席の距離の近さなど…これらすべてが、ライブ感を重視する現代の感性と見事にマッチしたのです。東京では新宿末廣亭や浅草演芸ホールなどの定席寄席が昔から根づいており、日常の中に落語文化が自然に溶け込んでいます。一方、関西では長らく常設の寄席が途絶えていましたが、2006年に天満天神繁昌亭が復活。

さらに2018年には神戸・新開地に喜楽館が誕生しました。新開地といえば、かつて“東の浅草、西の新開地”と呼ばれたモダンな演芸の街。大衆演劇や映画のメッカとして知られ、華やかな賑わいを見せていました。その面影が、いま寄席文化とともに息を吹き返しているのです。近年ではカフェやお寺、さらには銭湯までもが寄席の会場となるなど、小さなハコを活用した“街角寄席”が全国各地で増加中。とくに注目すべきは、経営難に陥った老舗銭湯がクラウドファンディングを通じて演芸場としての新たな価値を生み出しているケースです。銭湯は“入浴の場”であると同時に、“地域の記憶と交流の場”でもあります。落語が描いてきた庶民の暮らしと銭湯の空間は、どちらも昭和の香りと郷愁にあふれた民間の“文化遺産”。

若い世代には懐かしさの発見を、年配者には思い出の共有をもたらしています。世代を超えた交流が、自然と生まれているのです。

落語界の伝統もまた、世代を超えて受け継がれています。江戸落語には柳家、三遊亭、古今亭、林家などの大きな一門があり、上方には桂、笑福亭、月亭など、代々の芸風を守る流派が存在します。なかでも先代の名を受け継ぐ“三代目○○”といった襲名は、大名跡(だいみょうせき)と呼ばれ、その名にふさわしい芸を求められる重責を背負う存在。とはいえ、必ずしも実力順に継がれるわけではなく、入門順や一門の方針など複雑な背景があります。名跡を継がず、独自の芸風で頂点に立った名人たちも少なくありません。また、江戸と上方では噺のスタイルにも違いが見られます。江戸はキレ味鋭く粋な語り口、上方は情感豊かな人情噺。それぞれに異なる魅力が育まれています。演目の内容や登場人物も、地域の生活文化が色濃く反映されています。

古典落語であっても、演者によっては現代的な枕話で観客を引き込み、そのまま古典の世界へと誘う粋な技も。こうした細かい違いを見出すのも落語の醍醐味です。

かつて夏の寄席といえば怪談噺が定番でしたが、怪談は長尺で演技力も求められ、観客の“怖さ”の基準も変化したことで上演機会が減少。今は「青菜」「井戸の茶碗」など、涼やかな情景が描かれる噺が良くかかります。「青菜」に登場する“柳蔭(やなぎかげ)”は、夏の風情を象徴する存在。井戸で冷やされた甘みのある酒風の飲み物で、江戸時代にはみりんを水で割って楽しむ粋な夏の嗜みでした。今に置き換えると、菊正宗の「れもん冷酒」や「すだち冷酒」など、現代でも、その涼感と粋な風情は、冷酒の一杯にしっかりと受け継がれているのです。

れもん冷酒1.8L
日本酒に「瀬戸内れもん果汁」の他、「大分県産かぼす果汁」のまろやかな酸味と、「沖縄県産シークワーサー果汁」のほろ苦さを絶妙にブレンド。
飲みやすく、爽やかな味わいに仕上げました。

すだち冷酒1.8L
日本酒に爽やかな香りと酸味が特徴の「徳島県産すだち果汁」をブレンド。
軽快な口当たりと爽快なのど越しをお楽しみいただけます。
おすすめの飲み方は、氷に注いでお楽しみください。

寄席や落語が映し出すのは、時代を越えても変わらない人の暮らしと笑い。場所は変われど、言葉と間で紡がれるその世界は、これからもきっと多くの人の心を揺らし続けていくはずです。

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地蔵盆は、関西の風土に育まれた子どもたちの夏の終わりの一大イベント。

地蔵盆の翌日から、一気に夏休みの宿題モードに突入した思い出。

一般的に、8月23日、24日の両日は地蔵盆。この行事、実は全国的なものではなく、関西圏特有の文化だということをご存知でしょうか。もともと地蔵盆は、地蔵菩薩の縁日にあたる日を中心に、町内でお地蔵さんを祀り、子どもたちの無病息災や成長を願う行事として定着しました。仏教の盛んな関西では、地域ごとにお地蔵さんが祀られ、町内の人々が中心となって夏の終わりの一大イベントとして開催されてきました。

一方、関東では地蔵盆という行事はあまり知られていません。似たような信仰として、子どもを食べていた鬼女が改心し、子育てと安産の守護神になったという鬼子母神信仰が根づいています。関東の一部では、鬼子母神と地蔵菩薩を並べて祀り、子どもを守る神仏として個人信仰や寺院の法要を中心に大切にされています。

しかし関西の地蔵盆は、もっと地域ぐるみの“子ども主体の行事”です。平成初期の頃までは、地蔵盆といえば“夏休み最後のイベント”でした。子どもたちの名前が書かれた提灯が軒先やお地蔵さんの周りに吊るされ、お菓子やスイカが供えられます。夜になると、小さな盆踊りの輪ができ、子どもたちは夜でも“堂々と遊べる特別な日”としてはしゃいだものです。

そして、この日を境に“そろそろ宿題やらなきゃ”という空気が漂いはじめる、二学期への“助走期間”でもありました。まさに失われつつある昭和の原風景なのかもしれません。地蔵盆の準備もまた、子どもにとっては楽しみのひとつでした。前日や当日の昼間に町内の大人たちと一緒に提灯の紐を張ったり、お菓子を袋に詰めたりする作業は、まるでお祭りの裏方になったようなワクワク感がありました。地蔵盆は、ただ与えられる行事ではなく、子どもたちが“参加する”ことで学び、大人たちと交流できる行事だったのです。

だからこそ、記憶の奥に強く残っているのかもしれません。近年では、こうした風景も少しずつ姿を消しつつあります。

近年では、戸建て住宅からマンション住まいへと生活様式が変化し、町のあちらこちらにあったお地蔵さんが撤去されたり、祠だけが残されたまま管理されていないケースも増えました。町内会の活動も縮小傾向で、大人と子どもが自然に交わる機会が減り、地蔵盆のような町ぐるみの行事そのものが成り立ちにくくなってきています。

もちろん、時代が変われば風景も変わります。行事がなくなったことも時代が変化する通過点に過ぎません。

ただ、地蔵盆がもっていた“地域の中で子どもを見守る”という優しいまなざしとつながりは、形を変えてでも残していけたら…と思いたいものです。

夏の終わりの夜、提灯の光に照らされた小さな輪の中で踊る子どもたち。その原風景を思い出しながら、ほんの少しだけ、ご近所とのつながりを大切にしたい。そんな気持ちになる8月の終わりです。

「正宗印・冷用酒720mL」
冷やすほどにうまみとキレが調和。
ブルーグリーンのレトロな丸型ボトルに昭和初期のラベルをアレンジした樹脂ラベルを採用し、古くて新しい雰囲気を表現。
辛口酒に樽酒をブレンドしているため、ほんのり樽の香りを感じられます。

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変わりゆく時代とともに、お盆の新しい風景。

形を問わない、心を結ぶ夏の供養。故人への深い想いを届けるために。

夏の盛り、蝉の声とともに訪れるお盆。仏教由来のこの行事は、古くから“ご先祖さまを迎え、感謝を伝える”特別な時期として受け継がれてきました。一方で、全国に共通した夏休みの時期として、帰省や旅行の予定に重ねて意識されることの方が主流ともいえます。少子高齢化や都市部への人口集中といった昨今の社会変化の中で、お盆の過ごし方や供養の形は大きく変化しているのです。かつては、家族そろって実家に帰省し、墓参りや仏壇に手を合わせるのが当たり前の習慣。地域ごとの風習が重んじられ、土地土地のお盆のしきたりに沿った供養をしていました。

しかし最近は、“帰省せず旅行をする”など、従来のお盆とは大きく様変わりしています。その背景には、継承者不在による墓じまいや、都市部への一極集中による実家の空洞化など現代特有の事情があります。さらに近年は、災害や感染症の影響で帰省そのものが制限された時期もあり、集まることを重要視したお盆の形を考え直す機会も増えました。

お盆の本質は“帰省して墓参りをすること”に限りません。距離があっても、形が違っていても、ご先祖さまへの感謝と家族のつながりを確かめる心があれば、どんな場所でも供養はできるのです。そんな社会事情も関係して、現代のライフスタイルに寄り添ったさまざまな供養の方法が登場しています。

都市型の納骨堂や永代供養墓では、お盆の法要をお寺が合同で執り行い、家族がその場にいなくても供養ができる仕組みが整いつつあります。仏壇がない家庭で写真や思い出の品を飾って静かに手を合わせる“自宅供養”や、小さな祀りのスペースをつくる“手元供養”など、新しい供養スタイルの登場です。オンラインのリモート法要も注目されています。離れて暮らす家族が画面越しに読経に参加し、ともに手を合わせる。“どう供養するか”へと価値観が移り変わっているのです。実際に、お盆の時期に親しい人が集まって、故人を語るだけでも立派な供養になります。故人の好きだった料理を囲み、思い出話を交わすだけでも、心に残るお盆のひとときになるはずです。そこには、形式にとらわれない新しい温かさがあります。

昔ながらのお盆の習慣とは異なる新しい供養の形に、どこか違和感や物足りなさを感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし大切なのは、形そのものではなく、故人を想い、心を込めて手を合わせること。その深い想いこそが、何よりも尊い供養となるのです。

今、私たちはお盆を通じて“供養とは何か”という問いに、あらためて向き合っているのかもしれません。時代が変わっても、私たちの根底にある“人を想う心”は、変わることはありません。その想いを大切にすることこそが、お盆の本質なのではないでしょうか。

帰省ができなくても、お墓がなくても、仏壇がなくても…どんな形であれ、故人や先祖に手を合わせるという行為に込められた気持ちは、必ず届きます。お盆は、過去と今、そして未来をつなぐ心のリレー。私たち一人ひとりの想いが、静かに、しかし確かに、時代を越えて受け継がれていくのです。

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