美味しい日本酒づくり…「二十歳の山田錦物語」第二章、稲刈り。

“秋雨の晴れ間”、稲刈り日和に恵まれて。

千葉県全域に大きな被害をもたらした
台風15号の傷も癒えないまま、
観測史上最大クラスの台風19号が
東日本を包み込むように直撃し、
数多くの一級河川の氾濫による水害が
甚大な被害を与えたことは、
記憶に新しいところです。

2019年(令和元年)6月9日の田植え
とともにスタートした
「二十歳の山田錦物語」
プロジェクト。

その次のステップとなる
“稲刈り”作業が行われたのは、
10月20日(日)のこと。

関東エリアほどの被害は
なかったものの少なからず
台風の影響があり、
長引く秋雨も懸念されました。

しかし、稲刈り当日は、
前日まで降り続いた雨も上がり、
昼頃には晴れ間も
顔をのぞかせる好天に。

まさに、農作業日和です。

山田錦は食米とくらべて“稈
(かん/稲や竹などの中空の茎
のこと)”が長く、
実る米の大きさも大きい
という特徴があります。

今年は、例年にくらべて
10cmほど稈が長く育ち、
雨が降り注いだため、
稲はやや倒伏ぎみ。

まさに“実るほど
頭を垂れる稲穂かな”
を地でいっている感が
ありましたが、
穂の部分が水に浸かって
いる訳ではなく、
稲刈りには好適な
タイミングとのこと。

たわわに実った稲穂を蓄え、
葉の緑と稲穂のこがね色の
鮮やかなグラデーションの波を
織りなしているかのようです。

参加した学生たちは作業着に着替えて
、生産者からのレクチャーを受けた後
、稲刈りをスタート。

鎌を手に田んぼへ入る者と
刈り取った稲を束ねる者に分かれて、
約2時間。

慣れない姿勢での作業に加えて、
前日までの雨で田んぼがぬかるんで
いたこともあり、かなり疲れた様子で
、言葉も少なめ。

それでも、参加した21名の学生たちは
やりとげた充実感による心地よい疲労
とともに田んぼ1枚分の稲刈りを
終了しました。

残っているもう1枚の田んぼの
稲刈りには、コンバインが登場。

コンバインは、“稲を刈り取り、
籾の脱穀、ワラの処理”
を一度にこなす農業機械。

なんとか余力の残っている
好奇心あふれる女子学生数人が
コンバインに乗り込んで、
稲刈り体験。

手作業よりはるかに早い
作業効率に驚くばかり。

脱穀後のワラは小さく裁断され
コンバイン背面から
田んぼに撒かれます。

これは、昔から伝わっている
“その田んぼで収穫したものを、
その田んぼに戻す”
という考え方で、
撒かれたワラ屑が腐って、
田んぼをより肥沃に
してくれるそうです。

ちなみに、刈り取って束ねた稲も、
このコンバインを通して脱穀し、
次の乾燥工程に進みます。

「二十歳の山田錦物語」は、心に刻まれる貴重な体験。

「二十歳の山田錦物語」
プロジェクトとは、
19歳以上の大学生が
田植えや稲刈りなどの
酒米づくりから、
収穫した酒米による醸造、
商品化までを体験する年間を通した
体験型のプロジェクトです。

参加しているのは、
県下5つの大学で農業や微生物、
醗酵を学ぶ学生を中心
としたメンバーたち。

そして、参加学生たちが
農作業に勤しむのは、
菊正宗が長年にわたって契約している
三木市吉川町前田地区の中で
“特A地区”。

普段なかなか足を踏み入れることの
できない、とても貴重なエリア
といえます。

「二十歳の山田錦物語」
プロジェクトは、
若い世代に酒米や日本酒に
触れる機会を設けることで、
伝統的な“日本酒文化”の
貴重な体験の物語です。

生産者組織「吉川町山田錦村米部会」
と兵庫県、三木市、JAみのり等が
手をとり
“二十歳の山田錦物語実行委員会”
を発足したもの。

この背景には、
明治から連綿と続く
酒蔵と生産農家との
「村米制度」があります。

酒蔵との酒米の契約栽培によって
培われた長年にわたる信頼関係により
、山田錦は最高品質の酒米として
育まれてきたことが、
このプロジェクトを実現した
といっても過言ではありません。

また、学生さんたちの
田植えや稲刈りなどの体験を
支えているのは、
プロジェクト期間中の田んぼを
日常的に管理する契約農家の協力
があってのお話です。

「二十歳の山田錦物語」
プロジェクトは、
1月半ばの醸造体験と
3月に入ってからの商品化の、
残すとこあと2回。

自分たちが造り上げた
「二十歳の山田錦物語」
を冠したお酒なので、
美味しくない訳はありません。

「即位の礼」を祝う、“菊”を冠した日本酒。

厳かに披露される時代の大きな節目となる「即位の礼」。

間もなく、新しい天皇陛下の
御即位を披露する「即位の礼」が、
国の儀式として行われます。

さかのぼること約5ヵ月前、
日本全国が“新元号への改元”
に沸きました。

改元前の“改元される元号”の
予想ブームにはじまり、
“令和”改元後の、
出典を巡る賛否さまざまな
コメントが交わされる中、
意外にも若い世代の多くが
“意外とクール”という受け入れ
ムードであったことが印象的でした。

あの大騒ぎが随分前のお話であった
かのように、新元号・令和は
スムーズに受け入れられたようです。

平成から令和になるにあたって、
改元ばかりにスポットが当たって
いますが、本来は、
新天皇の即位に伴う改元で、
時代の節目として大切なのは
「即位の礼」といえます。

「即位の礼」は、
10月22日(火)から31日(木)まで
の9日間にわたり儀式が行われます。

儀式の内容、日程については、
政府公報より次のように
発表されました。

 

● 「即位礼正殿の儀(そくいれいせいでんのぎ)」

日程/10月22日(火)

御即位を公に宣明され、
その御即位を内外の代表が
お祝いする儀式で、
宮中で行われます。

儀式には、200近い外国の
元首・祝賀使節が参列されます。

● 「祝賀御列の儀(しゅくがおんれつのぎ)パレード」

日程/10月22日(火)

国民に広く御即位を披露され、
祝福を受けられるため、
天皇皇后両陛下のパレード
が行われます。

即位礼正殿の儀の終了後、
午後3時半に皇居・宮殿を御出発
になり、おおむね午後4時に
赤坂御所に御到着になる予定です。

  • 当日に台風などによる荒天
    の場合は、10月26日(土)に延期
    (御出発・御到着時は同時刻)。
  • 変更がある場合は、
    前日10月21日(月)の18時30分
    に発表されます。

 

● 「饗宴の儀(きょうえんのぎ)」

日程/10月22日(火)、25日(金)、29日(火)、31日(木)の計4日。

御即位を披露され、祝福を受けられるための饗宴が、宮中で行われます。

● 「内閣総理大臣夫妻主催晩餐会」

日程/10月23日(木)夕刻

内閣総理大臣夫妻の主催により、
外国元首・祝賀使節に日本の伝統文化を
披露し、理解を深めていただくとともに
、来日に謝意を表する晩餐会が
都内で行われます。

なお、「即位礼正殿の儀
(そくいれいせいでんのぎ)」が
開催される10月22日(火)は、
今年に限りの休日(国民の祝日扱い)
となり、官公庁、銀行なども
お休みになります。

さらに、日程をずらして、
「即位礼正殿の儀」で用いられた
高御座(たかみくら)等の一般参観が
東京、京都にて行われます。
  • 東京国立博物館

日程/令和元年12月22日(日)~25日(水)
、令和2年1月2日(木)~19日(日)

令和2年1月6日(月)と
14日(火)は休館日

  • 京都御所

日程/令和2年3月1日(日)~22日(日)

令和2年3月9日(月)と
16日(月)は休園日

世界最古の国・日本は、海外の脅威を受けず独自に発展した歴史。

一般的な見識として、
日本が、現存している
“世界最古の国”ということを、
以前のコラムでご紹介しました。

これは、“皇室(天皇家)”という
王朝が一度も滅びることなく、
現代へと続く“世界唯一の国”
ということを意味しています。

3000年とも、4000年とも
いわれる起源を有する中国ですが、
現在の中華人民共和国という
国家の樹立は1949年。

世界四大文明のひとつとされる
エジプトも、さまざまな大国の
侵略を受け、現在の国家が
樹立されたのは1919年と、
100年の歴史しかありません。

日本の歴史が長く続いている背景
には、極東に位置する島国
であったことが挙げられます。

大陸諸国のように陸続きではない
ので、海外列強国の侵略を
受けなかったということです。

日本でも数多くの内乱が
ありましたが、皇室(天皇家)
だけは絶えることなく続いている
ということです。

歴史上のさまざまな出来事を裏づける
のは、文献や史跡等に限られるので、
諸説ありますが、「古事記」
「日本書紀」によると、
初代天皇は神武天皇。

そこから数えて、今回の「即位の礼」は
、126代の今上天皇陛下の即位
を披露するものです。

この時期ばかりは、
“菊”を冠した菊正宗の「通の極み」で
お祝いしてはいかがでしょうか。

菊正宗が誇る「超特撰 嘉宝蔵 雅」
「超特撰 生酛 純米大吟醸」
「超特撰 超特撰 嘉宝蔵 極上」を
セットにお値打ち価格で
ご提供させていただいております。

どれも新しい時代を迎えるに
ふさわしい逸品ぞろいです。

GI灘五郷.3 地域を代表する日本酒ブランドにふさわしい“灘の生一本”。

灘酒プロジェクトの「灘の生一本」は、灘酒の“顔”。

今年で9年目を迎える2019年版
「灘酒研究会推奨の灘の生一本」
の発売を開始しました。

「灘酒研究会推奨の灘の生一本」
とは、灘酒研究会にて
2011年(平成23年)に発足した
“灘酒プロジェクト”によって
認定されるブランドです。

灘酒研究会の歴史は古く、
1917年(大正6年)に
灘五郷を中心に
近隣地区の酒造技術者が集まって
発足した組織です。

この灘酒研究会に加盟する、
菊正宗をはじめとする
灘五郷の酒造メーカーが
特徴と個性を出した純米酒を
毎年、統一ラベルによる
商品シリーズとして発表
しているのが
「灘酒研究会推奨の灘の生一本」
という訳です。

長年にわたって培った
伝統の技を受け継ぎ、
最新の技術を身につけた
醸造技術者が、
企業の枠を超えて
「灘研酒質審査委員会」
として集結。

その組織によって、
原料・製法、酒質表現などの
評価申請項目や
味・香りに関する特徴表現が
適切な用語で申請されているかを
確認の上で“評価シート”を作成。

さらに利き酒による味や香り、
酒質の厳しい評価の上、その年の
「灘酒研究会推奨の灘の生一本」
が認定され、
推奨マークが与えられます。

この審査の認定基準を
満たさない場合は不合格となり、
推奨マークは付与されません。

2019年の
「灘酒研究会推奨の灘の生一本」
には、菊正宗のほか、
沢の鶴、剣菱、白鶴、櫻正宗、
浜福鶴、道灌、白鹿、日本盛、大関
の全部で10の酒造メーカーの
純米酒が認定されました。

そして、今年度からすべての
「灘酒研究会推奨の灘の生一本」が、
灘五郷でつくられた日本酒を保護する
国税庁指定の地理的表示「GI灘五郷」
に認定されています。

「GI灘五郷」を管理する
灘五郷酒造組合が、
組織として推奨マークを与える
「灘酒研究会推奨の灘の生一本」は、
まさに地域に根付いた灘酒を代表する
“顔”といったところでしょうか。

ちなみに、菊正宗の
「灘酒研究会推奨の灘の生一本」
の評価内容は

“このお酒は、原料米に
兵庫恋錦を100%使用した
特別純米酒です。
生酛造り特有の押し味とキレの良さを
併せ持つおだやかな香りのお酒
であることを認定します”

という評価となっています。

そして、菊正宗には、もうひとつ
「灘の生一本」という名を
冠したお酒があります。

「嘉宝蔵 灘の生一本 生酛純米酒」。

厳冬期に菊正宗の嘉宝蔵で、
丹波杜氏伝承の技術によって
醸した純米酒。

生酛特有のキレと、
ふくらみのあるコクを楽しめる
「灘の生一本」の名にふさわしい
本流の辛口酒に仕上がっています。

“灘の生一本”ブランドは、江戸より続く本物の証。

“灘の生一本”の歴史をひも解くと、
江戸の“下り酒”にたどり着きます。

六甲おろしが吹き降りる
寒造りに適した地形と、
播州の酒米や宮水など、
良い日本酒を造る条件が
“灘”には揃っていました。

そして、港が近いという地の利
によって、江戸に“下り酒”を運ぶ
樽廻船などの海運が栄えました。

それによって灘酒が
江戸に流通するようになり、
江戸中期以降になると、
灘酒は江戸の町に
その名を轟かせるように。

その人気に便乗した
江戸近郊の酒が、
灘の銘柄を偽装して
出回りはじめたため、
灘のブランドを守る目的で
“灘の生一本”という意匠が
使われたのが起源。

“灘で生まれ育った
生粋の混じりけのない酒”
を意味しています。

また、“生一本”には、
“純粋で混じり気のないこと”
“いちずに物事に打ち込んでいく
さま”などの意味があり、
丹波杜氏の無骨ながら
黙々とした仕事ぶりや、
男酒といわれる灘の酒質の
イメージにも重なっています。

現在、“生一本”の製法品質基準
として、“単一の製造場のみで
醸造した純米酒であること”
という規定があり、
灘以外の酒の産地でも
“生一本”を名乗ることができます。

銘酒の産地として歴史を重ねてきた
“灘”の地で育まれた
「嘉宝蔵 灘の生一本 生酛純米酒」と
「灘酒研究会推奨の灘の生一本」
…この時期のお楽しみは、
旬を極めたふたつの「灘の生一本」
の飲みくらべにつきます。

GI灘五郷.2 地理的表示が伝える“灘”の日本酒の底力。

日本だけでなく、幅広く海外に向けて、日本酒の価値を向上する「GI」。

日本酒の「地理的表示制度」は、
酒の品質や社会的な評価が、
その“お酒の産地”と明確に
繋がっていることが認知されて
いる場合に、その産地名を
商品名として表示することが
できる制度です。

日本酒の地理的表示は
国税庁長官によって指定され、
その商品には「GI
(Geographical Indication)」
表示が許可されています。

「GI灘五郷」は、2018年
(平成30年)6月28日に、
“味わいの要素の調和がとれており
、後味の切れの良さをもつ日本酒”
を生産する「灘五郷」が、
国税庁長官の指定を受けました。

この日本酒の「地理的表示制度」は、
ヨーロッパを中心とした、
ワインをはじめとする
原産地呼称制度に由来します。

たとえば、ワインのラベル表示は、
ワインの産地や品質を選ぶ際の
判断要素として消費者の
判断基準とされてきましたが、
著名になった産地名を名乗る
安価なブレンドワインが
流通したことなどから、
それを保護する法的な対応が
必要となったといえます。

フランスの
「AOC(アペラシオン・
ドリジーヌ・コントロレ)/
原産地呼称統制制度」や
イタリアの
「DOCG(デノミナツィオーネ・
ディ・オリージネ・
コントロッラータ・
エ・ガランティータ)/
保証つき原産地呼称統制」など、
ワインをはじめ、
農産品やチーズなどに課した
各国独自の認定制度が元となり、
欧州連合(EU)がそれらを
統括する制度として法律に定めた
「原産地名称保護制度」が、それ。

1992年、EU法に制定されました。

具体的には、よく耳にする
ゴルゴンゾーラ、パルミジャーノ・
レッジャーノ、ロックフォール
などのチーズ、
シャンパン、ボルドー、マルゴー、
ブルゴーニュなどのワインなどの
名称がこの制度に保護されています。

日本では、WTO(世界貿易機関)が
1994年に設立の合意が行われた際に、
ぶどう酒と蒸留酒の地理的表示の保護
が加盟国の義務とされたことを受けて、
国税庁が
「地理的表示に関する表示基準」
を平成6年に制定。

国内外の地理的表示について
適正化が図られ、
さらなる制度活用のため、
平成27年10月に
地理的表示の指定を受けるための
基準の明確化が行われ、
すべての酒類が制度の対象となりました。

 

「GI灘五郷」表示は、灘五郷の中の“灘五郷”。

灘五郷は、
「西郷(にしごう)」
「御影郷」
「魚崎郷」
「西宮郷」
「今津郷」
の5地域の総称です。

 

寒造りに適している
六甲山から吹き降りる“六甲おろし”や、
酒造りに最適な“宮水”、
酒造りに適した“山田錦”
をはじめとする酒造好適米が
数多く収穫されるなど、
酒造りに直接的に適した環境は
もちろんのこと、
丹波杜氏の高度な酒造りの技術が
受け継がれた歴史があります。

また、海に隣接していたことから、
江戸の昔より、
下り酒を運ぶ樽廻船の要衝地である
ことで、酒造りが盛んになりました。

そして、現在も日本一の生産量
を誇る酒どころであることが、
「GI灘五郷」の指定を受けた背景にあります。

「GI灘五郷」の基準となる
原料および製法には、
次のような厳しい基準が
設けられています。

【原料】
・ 米、米麹は国内産米であること
(国内産米は、農産物検査法
(昭和26年法律第144号)により
3等以上に 格付けされたものに限る)。

・ 灘五郷内で採水した水のみを
使用していること。

・ 清酒原料のうち、アルコール以外
は用いることができない
(原料中、アルコールの重量が
米(麹米を含む)の重量の
100分の25を超えない量で
用いる場合に限る)。

【製法】
・ 灘五郷内で醸造、貯蔵および
容器詰めが行われていること。

菊正宗では、
「超特撰 嘉宝蔵 雅」が、
その確かな品質を保証するもの
として、この「GI灘五郷」に
認可されています。

灘五郷そのものが信頼のブランド
として全国に認知されているなかで、
「GI灘五郷」マークを冠したものは、
まさに“灘五郷の中の灘五郷”として、
旨さの頂点にあるといえるでしょう。

GI灘五郷.1 日本酒の歴史の重みを、地理的に裏づけられる“信頼”。

世界遺産は、歴史的価値を保全する共通認識。

2019年7月6日、
アゼルバイジャンのバクーで開催
された第43回世界遺産委員会
において、「百舌鳥・古市古墳群」
がユネスコの“世界文化遺産”に
登録されました。

今回の登録で日本の世界遺産は
23件(そのうち、文化遺産は19件、
自然遺産は4件)となりました。

現在1121件の世界遺産
(うち文化遺産869件、
自然遺産213件、
複合遺産39件)
が登録されています。

歴史をさかのぼると、第1回目の
世界遺産条約締約国会議が
開催されたのは1976年11月。

1978年には、ガラパゴス諸島や
西ドイツのアーヘン大聖堂など
12ヵ所の世界遺産リスト登録
が行われました。

先ごろ登録された大阪府堺市の
「百舌鳥・古市古墳群」は
大阪府で第1号となる“世界遺産”で、
今後、観光名所として、この地を
訪れる人が増えることが予測されます
が、古墳はことのほか大きく、
写真でお馴染みの全体像は、空から、
もしくは高層ビルの高層階のみに
許されたロケーション。

また、古墳そのものが
天皇陵をはじめとする
古代人のお墓にあたるため、
中に入ることはできません。

観光資源として“世界遺産”を
どうアピールしていくかが、
今後の大阪府や堺市に課せされた
目標のひとつといえるでしょう。

“世界遺産”は、ユネスコ
(国際連合教育科学文化機関)が、
古くからの歴史や文化を刻む
景観をはじめ、自然環境などを
“普遍的な価値を持つ物件”として、
世界的に保護を指定したものです。

世界遺産の他にも、和食や和紙、
来訪神などが登録されている
“無形文化遺産”や、
筑豊の炭坑画や
慶長遣欧使節関係資料などの
“世界の記憶”があります。

過去の歴史価値を後世に伝えるもの
として、大切な役割を担っている一方
で、“歴史建造物遺産の現状維持と
バリアフリー改築の問題”や
“参加国の政治的な思惑が
のぞき見える選考の不透明さ”など、
今後の課題もいくつかあるようです。

“世界遺産”に登録された歴史建造物
を維持するのには、新しく建てるより
費用がかかるという話もチラホラ。

でも、できることなら、後世まで
維持し続けて欲しいものです。

また世界の歴史遺産以外でも、
関係団体や組織が“伝統の保護”を
目的に、長年にわたって培った歴史を
後世に伝える活動を行っています。

そのひとつに世界貿易機構(WTO)の
「地理的表示」があります。

その代表的なものとして、
フランスのボルドーワイン
(ボルドー産)、
イタリアのゴルゴンゾーラチーズ
(ゴルゴンゾーラ産)、
スイスのエメンタールチーズ
(エメンタール産)など、
商品の名称が地理的表示や原産地表示
となり、品質や特性がその産地に
由来することを表しています。

こうした取り組みも、
代々技術を受け継いだものを
大切に守り続けている
“遺産”のひとつといえます。

「GI灘五郷」表示は、長い歴史の“信頼”のブランド。

日本でも、昔から文化財保護法に
基づいて国宝、重要文化財、史跡、
名勝、天然記念物などの指定や
選定、登録が行われてきました。

“国宝”という言葉が最初に使われた
のは、1897年(明治30年)の
「古社寺保存法」制定時。

その後1929年(昭和4年)に
「国宝保存法」が制定されました。

1950年(昭和25年)に
「文化財保護法」が施行されるまでは
、国宝と重要文化財の区別がないため
“旧国宝”とされ、
「文化財保護法」制定後のものを
“新国宝”として区別しています。

そして、世界貿易機構(WTO)の
「地理的表示」に準じた
「地理的表示(GI)保護制度」
の運用も開始しています。

業界の統括官庁によって
取り組みは異なります。

農林水産省では
「神戸ビーフ(兵庫県内)」
「夕張メロン(北海道夕張市)」
「八女伝統本玉露(福岡県内)」
などを登録。

日本酒の統括官庁は国税庁。

国税庁長官が指定した
酒類の地理的表示に
「灘五郷(神戸市灘区、
東灘区、芦屋市、西宮市)」
が登録されています。

「GI灘五郷」を表示するためには、
厳しい生産基準があり、
それをクリアした灘の酒のみに
許された勲章といえます。

江戸の昔より、
人々のくらしに根付いた
“灘五郷”ブランド。

「GI灘五郷」表示は、
その長い歴史に対する
“信頼の証”として、
自信を持って
旨い酒をお届けします。