儚く、切ない“春”だけど、なんとなく心温まる季節。
春は旅立ち、別れの季節。
大学を卒業して新社会人に、
人事異動で知らない土地に転勤など、
大きな人生の岐路を迎える機会が多い
のが、この「春」という季節です。
ここ数年、離婚が一番多い月が3月。
2位の月が毎年変動する中、
不動の1位を保っています。
“年度が変わる”“子どもの巣立ち”
などの理由が多いようですが、
やはり春は、別離の季節
といえるのでしょうか。
ところで、「君の膵臓をたべたい」
という作品をご存知でしょうか。
「第13回本屋大賞(2016年)」
で2位に輝いた「住野よる」の
ライトノベルで、この作品の
背景モチーフとなるのが「春」です。
ホラー作品かと見まがうような
衝撃的なタイトルですが、内容は、
心を揺さぶる青春恋愛小説
といったところ。
原作に、それぞれオリジナルアレンジ
を加えたコミカライズ(漫画化)、
実写映画化、アニメ化とさまざまな
メディアスタイルに展開され、すべて
大ヒットというから驚くばかりです。
「キミスイ」と略され、SNSなどの
ファンサイトで、それぞれの作品を
推す活発な交流が行われていたことも
人気に拍車をかけたようです。
意見は分かれると思いますが、
心にストレートに届きやすいのは、
リアルな映像で物語を魅せる映画版
ではないでしょうか。
とくに映画版は、舞台を12年後
に移し、現在と過去を回想により
つなぐ構成に。
よりドラマチックに進行される
脚本が功を奏して、2017年度に
公開された邦画ランキング第2位、
興行収入30億円超えという
大ヒットを記録しました。
物語は、人と接するのが苦手で孤立
しがち、読書だけが楽しみという
主人公の“僕”こと「春樹」が、
クラスの人気者で天真爛漫な女子
「桜良」の日記を偶然読んで
しまったことを軸に展開します。
彼女が重度の膵臓疾患をもつこと
を知る数少ない友人として、
“彼女が死ぬまでにやっておきたい
こと”をかなえるために、
僕と彼女の交流がはじまりました。
“好き”とか“愛している”などの
言葉のやり取りがなく、お互いが
名前で呼び合うことすらないのに、
ほのかな恋愛感情が時折見え隠れする
ところに、一般的な恋愛ドラマ
ではないことがうかがい知れます。
場面を彩る桜のシーンや
主人公二人の名前など、
いたるところに「春」のイメージ
が寄り添っているのが印象的。
スクリーンを通して、ぽかぽかとした
春の暖かさすら感じさせられます。
巧みな心の動きや台詞まわしを
通して、“別れの悲しさ”ではなく、
“旅立ちの儚さ”“別れの切なさ”
が見事に描かれた作品に
仕上がっています。
時間を気にしない“家飲みパーティ”が流行っています。
小説や映画に限らず、春に訪れる
“別れ”の場面はさまざまです。
現実は映画のようにドラマチック
とはならず、意外と普通。
死別しない限り、“永遠の別れ”とは
ならないようで、その気にさえなれ
ば、毎日のようにスマホを通じて
会話ができるなど、距離感を
感じさせない付き合いも
可能といえるでしょう。
4月からの新しい生活に向け、
できるなら明るくお別れを
告げたいものです。
飲食店は時間制限もあり、周囲に
別のお客さんグループも居られる
ので、じっくりと別れを惜しむ
のなら、最近流行っている
「家飲み」がおすすめです。
新社会人になる子どもの巣立ちには、
慣れ親しんだ“おふくろの味”を肴に
、思い出話と一緒に、
家族みんなで楽しく飲み明かす
のも、心に刻まれる大切な時間。
二十歳を過ぎてお酒の味を覚え
はじめた子どもと、差し向かいで
じっくりと酒を酌み交わすことで、
“親子”から“大人同士”の付き合い
に変わる、嬉しい儀式の瞬間
といえます。
また、転勤や退職で、遠くの土地に
転居する、気のおけない友人や
職場仲間との別れには、
「持ち寄りパーティ」など
いかがでしょうか。
土曜日の早い時間に仲間が集い、
持ち寄った料理に舌鼓。
肉やソーセージを買ってきて
バーベキューに興じるのも、
より強い仲間意識を芽生えさせて
くれるに違いありません。
みんなの笑顔がこぼれる
和やかに過ごす時間は、
この先の長いお付き合いの
予感さえします。
そんな腹を割ったシーンにおすすめ
なのが、スパークリング
純米大吟醸酒「天使の吐息」です。
開栓してグラスに注いだ
シュワシュワ感は、シャンパン
のような上質な発泡感。
甘い飲み口なので、
ついついグラスがすすみます。
清涼感を愉しんだ後は、
美味しいコクと深い香りを醸す、
沈殿したオリの「うすにごり」で、
もう一興。
1本で2度楽しめるおトク感が
嬉しい限りです。
ライト感覚の日本酒なので、
入門用のお酒にはピッタリ。
併せてご用意いただきたいのは、
菊正宗の「ネオカップシリーズ」。
「超特撰 生酛大吟醸」
「上撰 純米酒 香醸」
「上撰 樽酒」
「清酒 しぼりたてギンカップ」
「リキュール すだち冷酒」
それぞれ180㎖入りで
5種類をラインアップ。
利き酒による味くらべで、
別れを惜しむひとときを。
宴もたけなわとなる頃には、
ほろ酔い加減もピークに。
楽しい“別れの盃”は、
きっと良い思い出として、
深く心に刻まれるはずです。
春は、別れの季節であると同時に、
別れた数と同じだけの
新しい出会いの季節ともいえます。
家族や古い友人たちとは必ず訪れる
再会を誓い、後ろを振り返る
ことなく、新しい出会いに
乾杯したいものですね。