酒粕は搾りカスではなく、栄養の宝庫。


酒粕は、“神様のおくりもの”。

ウイスキーやブランデー、ワインを
醸造する時の「天使のわけまえ」と
いう言葉を聞いたことがありますか。

これは製造工程の熟成の段階で、水分
やアルコール分が蒸発したり酒樽に
浸み込んで、製造量が目減りすること
をお洒落に言い表したものです。

日本酒の場合は、
仕込みが終わった後の醪(もろみ)を
搾った時に、酒粕が残ります。

この酒粕の量は、酒米を醸造した時の
重量比で約25%にもなります。

日本酒なので、天使ではなく、
「神様のわけまけ」
といったところでしょうか。

しかし酒粕は、“お酒の副産物”
として普通に市販されているので、
逆に酒の神様からいただく
「神様のおくりもの」ともいえます。

酒粕は健康増進に効果があると
昔からいわれていましたが、
昨今の健康ブームで、
酒粕の栄養価や美肌、
アンチエイジング効果などが話題に。

酒粕は、米、麹、酵母由来の
機能性成分が濃縮された状態で
豊富に含まれている、
とても優秀な食品といえるでしょう。

酒粕に含まれる栄養素と期待できる効能。

酒粕に含まれる栄養素の働きには、
次のような効果が期待できる
といわれています。

〈美肌効果〉
…含有される「ビタミンB群」が肌の
代謝を高め、ターンオーバーを促進。

食物繊維が豊富で、肌荒れ等の原因
となる便秘を解消することにより
美肌効果が期待できます。

併せて、メラニン色素の増殖を防ぐ
とともに、保湿効果によって
肌の乾燥を防ぎます。

また、清酒、酒粕ともに含まれる
「α-EG」が、肌細胞の
コラーゲン産生を促進。

それにより、肌のキメを細かくする
効果が立証されています。

〈免疫力アップ〉
…麹菌や酵母の細胞壁に含まれる
成分に、免疫力をアップさせる効果
があると判明しています。

〈生活習慣病の予防効果〉
…脳梗塞や動脈硬化の原因となる
血栓を溶かすプラスミノーゲン等の
成分を含有。

〈肝臓の保護〉
…「ペプチド」が肝臓の抗酸化力を
高め、活性酸素を取り除いて、
肝臓を保護。

〈便秘の解消効果〉
…酒粕に含まれる不溶性の
「食物繊維」が、腸内の余分な
老廃物を排出。

また、「オリゴ糖」が善玉菌の増殖
を促し、腸内環境を整えます。

〈肩こりや頭痛、冷え性を緩和〉
…血管拡張作用がある「アデノシン」
が、肩こりや頭痛・冷え性などの
症状を緩和。

〈糖尿病、肥満の予防と体質改善〉
…酒粕に含まれる
「難消化性でんぷん」が糖の吸収
を抑え、「難消化性たんぱく質」が
食事で摂った脂肪やコレステロール
を体外へ排出。

〈アレルギー体質の改善〉
…アレルギー症状を引き起こす
カテプシンBの働きを、
酒粕に含まれる「ペプチド」
が阻害し、症状を緩和。

アレルギー体質の改善には
継続的な摂取が必要。

〈高血圧の抑制〉
…高血圧の抑制を促す複数の
「ペプチド」を含有。

〈骨粗しょう症の予防〉
…加齢によって骨の分解を促す
カテプシンLという酵素が増殖。

酒粕は、その酵素の働きを
抑制する機能性成分を含有。

〈悪玉コレステロールの減少〉
…悪玉コレステロールの生成や
脂質の酸化を抑え、過剰な
コレステロールを肝臓に戻す作用
に期待できる機能性成分を含有。

まずは、酒粕をお湯で溶かし、
砂糖を加えた「甘酒」。

いつもの“豚汁”や
鮭の入った白味噌仕立ての“石狩鍋”
に酒粕を溶かした「粕汁」。

酒粕でつくった粕床に魚や肉を漬け
込んで、ひと晩寝かせた後に焼いた
「粕漬け焼き」など、さまざまな料理
にチャレンジし、その効果を
実際に試してみてください。


調味料としての日本酒。

日本料理

“グルメ”という言葉がもたらした、食文化の拡大。

ひと昔前、“食”をテーマにした
漫画で、食通や美食家という
意味で“グルメ”という言葉が
取り上げられたあたりから
一気に広まり、いまでは
“B級グルメ”“格安グルメ”
“OL○○子のグルメレポート”
など、使われ始めた頃の
“高級感”や“素材にこだわった
究極の…”という意味合い
ではなく、広い意味での
「美味しい」を表現する言葉
へと変わっています。

もともと、このグルメは
フランス語の「gourmet」
に由来する言葉で、
“ワイン鑑定士の召使い”
から“ワインに精通した人”
に派生し、“食通”の意味
を持つようになりました。

いずれにしても、
日本での今の使われ方とは、
大きく異なります。

訪日観光の欧米人には、日本での
ニュアンスは伝わり辛そうです。

日本の食文化は時代とともに
変わって来ています。

“外食”が贅沢とされていた
時代から、普通に外食に
出かける時代になった
のは随分と昔のこと。

昨今では、デパ地下などで
総菜を買って帰って家で
食べる“中食(なかしょく)”、
コンビニや複合ショッピング施設
で食べる“イートイン”など、
消費増税の話題とともに
バラエティ豊かな食のスタイルが
テレビで紹介される
機会が増えています。

こうした中、ご家庭での料理シーン
が、やや熱を帯びています。

昔ながらの家でつくって食べる
“内食(うちしょく)”なのですが、
ここ数年のスマホやタブレット利用
の拡大に伴って、動画や画像で
節約や時短レシピ、調理テクニック
などを紹介するレシピサイトの
影響が大きいといえます。

料理レパートリーが広がり、
料理をつくる方たちの視線は、より
美味しくつくるための「調味料」
に注がれるようになりました。

調味料

調味料としての「酒」にもこだわりたいもの。

調味料へのこだわりも、手軽に
調達できるネットショッピング
のおかげでしょうか。

とくに有名シェフが使っていたり、
食通を売りにする著名な芸能人が
すすめると、立ち所に話題に上り、
売り切れになる商品も
少なくありません。

ブランド化された外国産の塩や岩塩、
黒砂糖や三温糖、和三盆、醤油、
味噌、エゴマオイル、エシレバター
…広い意味での調味料を
数えはじめると、枚挙にいとまは
ありません。

こうした中、調味料としての
「酒」も、やはり基本となる
こだわりの調味料のひとつに
位置づけられます。

調味料に使う酒に求められるのは
ブランドというより、その酒質。

お米を多く削り綺麗で端麗な飲み口
となっている大吟醸よりは、
アミノ酸や甘みなどの旨み成分
を多く含む純米酒の方が、
より好ましい選択といえそうです。

調味料としての酒の役割は、
肉や魚などの生臭さを消すとともに、
食材を柔らかくし味を
しみ込みやすくします。

さらにコクと旨みによって
風味を豊かにするだけでなく、
美味しさを料理に閉じ込める
働きがあります。

それでは、市販されている料理酒と
日本酒の違いをご存知でしょうか。

その大きな違いは食塩の有無です。

料理酒は、塩を添加して飲用できない
ようにすることで、酒税の対象外の
“醸造調味料”という位置づけに。

酒税がかからないため安価に購入
できるとともに、酒類販売免許を
持たない店舗での販売ができる
という経緯がありました。

一方、日本酒を調味料にする魅力は、
使う際のシンプルさにあります。

原材料が米と米麹、それ以外には
醸造用アルコールがあるかどうかだけ
(低価格な日本酒の中には、
酸味料、糖類、アミノ酸塩等を
添加したものもあります)。

食塩や他の添加物による味ヘの
影響がないというのが最大の魅力で、
一概には言えませんが、名だたる
和食の名店とされるお店では、
やはり日本酒を使っていることが
多いようです。

料理の基本とされる
「さ(砂糖)・し(塩)・す(酢)
・せ(せうゆ/醤油)・そ(味噌)」
は、調味料を入れる順番です。

お酒を入れるタイミングは、
“最初にお酒”。

とくに、食材をもみ込んだり、お酒に
つけ込むなどの下ごしらえに用いて、
その後の加熱調理の段階で
アルコールと一緒に嫌な臭いを
飛ばすことが目的です。

「冷凍されたエビやイカを解凍して
水分を拭き取り、日本酒でもみ込む」
「肉類に酒をふりかけ、日本酒で
もむ」「魚類を焼く前に、日本酒を
ひと掛け」…ひと手間加えることで、
香りや風味、照りだけでなく、
味が引き締まり、
旨みやコクが格段に変わります。

まだご経験がないのであれば、
ご主人の晩酌用の日本酒を
少し拝借してお試しくださいませ。

冬の愉しみ…鍋と日本酒。

11月7日は、鍋の日。

地球温暖化が議論されるようになって
約30年経ちましたが、先頃、
太陽の黒点活動の減少に伴って
2030年までに小さな氷河期が訪れる
との専門学会の発表がありました。

暑くなるのか、寒くなるのか…
季節ごとの行事や歳時など、
四季にうるさい日本人にとっては、
かなり悩ましいことになりそうです。

現実問題として、11月7日に
立冬を迎えたというのに、
まだ“初雪”の便りが届かず、
朝夕が少し涼しくなった程度で、
冬の気配はそれほど感じません。

11月上旬に初雪の観測がなければ、
1886年以来132年ぶりの
椿事(ちんじ)となります。

今年は台風の当たり年でもあり、
気象庁の“異常気象の年”との
発表があったことを考えると、
少しずつ季節が変わってきて
いるのでしょう。

とはいえ、今年の紅葉の見頃は
北・東日本は平年より少し遅く、
西日本は平年並み程度との予想
なので、これから急激に冬へと
駆け足で突き進んで
いくものと思われます。

11月7日は「鍋の日」でしたが、
それほど冷え込むこともなく、
鍋が恋しい季節には、
少し早いのかも知れません。

「鍋の日」は某食品メーカーに
よって、2001年に制定されました。

“11(いい)7(な)べ”という
語呂合わせと、二十四節気のひとつ
である“立冬”は、毎年変動するもの
の、11月7日になることが多いという
ことで、この日になったそうです。

11月7日は、
日本畜産副産物協会が制定した
「もつ鍋の日」でもあります。

こちらも“11(いい)もつ7(な)べ”
の語呂合わせから来ています。

日本酒の“旨み”と出汁の相乗効果。

日本酒は、他のお酒と比較して、
より多くのアミノ酸やコハク酸などの
旨み成分を持つお酒です。

日本酒の旨みは、複雑な醗酵工程
により生まれるもので、
他のアルコール類と比較した場合に、
その数値は群を抜きます。

この旨みのおかげによる、
和・洋・中…幅広い料理に合う
包容力が日本酒の魅力です。

料理に合った酒質を選ぶことが前提
ですが、日本酒の旨みが料理の旨みと
合わさり、その相乗効果によって
料理の味わいを
より一層引き立てます。

すべての鍋料理が和食という
訳ではありませんが、互いに
“和食に合うお酒”“日本酒に合う料理”
として発展してきた長い歴史の中で、
鍋料理との相性の良さは
抜群といえるでしょう。

鍋料理は、ひとくくりにできない
ほど、そのバラエティは豊富です。

いろんな鍋料理に合う
日本酒の選び方を
ご紹介しましょう。

 

【水炊き】

あっさりとした昆布出汁で素材
そのものの味を楽しみます。

鶏肉や豚肉とたっぷりの季節野菜。

ポン酢でいただく
さっぱりとした鍋です。

    • 素材の味わいを最大限に
      引き出す、飲み口がスッキリ
      とした「本醸造」や
      「生酛純米」がおすすめ。

「本醸造」は燗酒で楽しみたいもの。

【かにすき】

昆布ベースのやや薄めの白出汁。

カニの旨みが溶け出して
香り高い濃厚な出汁に大変身。

締めのカニ雑炊は絶品。

溶き卵を回し入れ、
刻み海苔をお忘れなく。

変わり種としてカニの甲羅に
お酒を注いだ“甲羅酒”に
挑戦してみてください。

  • 出汁の濃厚さに負けない、
    重厚な旨みの
    「生酛純米」が最適。

お好みで冷や、もしくは熱燗、
どちらも楽しめます。

【すき焼き】

砂糖と醤油をベースにした
甘辛さが素材に広がる
全般的に濃い味付け。

まずは牛肉を味わってから、
甘辛い味が浸みた豆腐やお麩、
厚揚げ、シラタキ、キノコ類、
白菜、春菊などを溶き卵に
くぐらせていただきます。

  • すき焼きの濃い味付けに
    合わせるには淡麗では
    料理の味に負けます。

しっかりとした旨みの芳醇な
「樽酒」がベストチョイス。

菊正宗 純米樽酒 720ml

【醤油ちゃんこ寄せ鍋】

醤油ベースのカツオと昆布の
合わせ出汁。

具材の主役は魚介系で。

魚介類から染み出た
たっぷりの旨みと
野菜のエキスにより、
締めの雑炊まで楽しめます。

雑炊にはポン酢をひとかけ。

  • しっかりとした深い旨みの
    「生酛純米」を熱燗で。
    冷やなら「生貯蔵酒」
    がおすすめ。

【もつ鍋】

ショウガとニンニクの風味が、
もつの臭みを取り除いて
旨みを際立たせます。

醤油ベース、味噌ペース
どちらでもお好みで。

  • 濃い味わいと独特なコク
    に負けない厚みのある
    「生酛純米」がおすすめです。

【カキの土手鍋】

海のミルクと称される新鮮なカキは、
白味噌ベースの少し甘み
のある独特な風合い。

冬の醍醐味としてシーズンに
一度は楽しみたいもの。

  • 白味噌独特の甘みとコクには、
    「生酛純米」の厚みのある強い旨み
    がマッチします。

 

せっかくの鍋の季節。

12月が近づく頃には、
少しだけ寒くなって、
コタツを囲んで
“美味しい鍋と日本酒”
といきたいところです。

日本酒の神様を奉る京都・松尾大社。

11月7日は、醸造祈願の「上卯祭」。

日本では、古来より
「八百万(やおよろず)の神」
という考え方が
生活の中に融け込んでいます。

これは自然界すべてに
神が宿っているという
古くからの教えが基本です。

この考え方は、
仏教やキリスト教などの特定の
宗教を信仰されている方にも、
日々の生活の中で意識する
ことなく受け継がれています。

つまり山の神や海の神、
台所の神、便所の神、
普段何気なく食べているお米にも
神様が宿っていると考えられて
いるということです。

最近では、やや希薄になった感も
ありますが、茶碗に米粒を残して
“ごちそうさま”をすると、母親
から「ごはん粒が残っている!
神様の罰が当たるよ」
と叱られたもの。

お正月の初詣をはじめ、プロ野球
球団が開幕前に優勝祈願を行うのも、
受験の時にお守りを持つことも、
玄関にイワシの頭を飾ることさえも、
宗教の敬虔な儀式というよりは、
漠然とした神様に対する参詣や
祈願が、生活習慣に組み込まれて
いるといったところでしょう。

もちろん、お酒にも神様がいます。

ローマ神話のバッカスは有名ですが、
日本にも酒神が存在しています。

京都最古の神社とされる「松尾大社(
まつのおたいしゃ)」に祀られている
「大山咋神(おおやまくいのかみ)」
が酒神として有名です。

松尾大社は、701年(大宝元年)に
文武天皇の勅命により秦氏(はたうじ)
が現在の場所に造営、松尾山の磐座
(いわくら)に祀られていた神霊を
社殿に移して祀ったとされます。

秦氏一族に酒造りに長けた技能者が
多かったことから、室町時代末期
には“酒造第一租神”として崇拝
されるようになりました。

ここ松尾大社では、
「上卯祭(じょううさい)」
「中酉祭(ちゅうゆうさい)」
というお酒にまつわる大きな
神事が毎年行われています。

醸造祈願祭である上卯祭は、
中世から近世にかけて、とくに
江戸時代に全国の醸造家が
「太々神楽(だいだいかぐら)」
を奉納し醸造安全の祈願をした
のが起源とされています。

全国各所の酒神を祀る神社でも
上卯祭を行っているところがあり
ますが、松尾大社では、とくに
蔵元関係者や多くの杜氏が参集する
大きな行事となっています。

毎年、11月上卯の日
(その月の最初の卯の日)
に行われます。

本殿で祝詞奏上などの神事が行われ、
その後、大蔵流茂山社中による
狂言・福の神を奉納することで
醸造安全を祈願し、守札として
大木札(だいもくさつ)
を授かります。

持ち帰ったお札を蔵に奉斎し、
その年の酒造りを開始するのが
通年の慣わしです。

年が明けて酒造りが終盤を迎える
4月中酉の日
(その月の二番目の酉の日)に
醸造完了を感謝する神事の
中酉祭では、山吹の花を携えた
巫女による神楽・倭琴の舞
(やまとごとのまい)が奉納され、
そのシーズンの酒造りを終える
ことになります。

 

松尾大社はパワースポットの宝庫。

松尾大社はパワースポットしても人気
の観光景勝地です。

本殿の参拝とともに、
ぜひ訪れたいものです。

本殿横に位置する「亀の井」は、
湧き水で、“大山咋神がこの水を
汲み置いていたら、一夜にして酒
となり、その酒を諸国の神々に
振る舞った”という伝説が
残されています。

境内から入山できる松尾山には
「霊亀の滝」というパワースポット。

清流が流れ落ちる滝には、
甲羅に文字が刻まれた多くの霊亀が
表れたとされます。

その霊亀を守るようなカタチの
天狗岩も鳥居のすぐ近くに鎮座。

松尾山の山頂近くには、
元々の磐座が残されており、
神秘的な凛とした空気感が漂い、
訪れた人の心を浄化するとか。

観光客で賑わう嵐山・渡月橋から、
南へ徒歩約1kmのところに
松尾大社は位置しています。

のどかな桂川沿いを散策しながら、
ぜひ訪れてみたいものです。

日本酒の定番ともなった「さけパック」。

菊正宗 ピン 2018

毎年11月1日は、キクマサピンの日。

毎年11月1日は
「キクマサピンの日」です。

これは一般社団法人日本記念日協会
に認定された
レッキとした公式の記念日。

秋が深まって
日本酒が美味しくなる季節、
そして「ピン=1」にかけて、
1が3つ並ぶこの日を
「キクマサピンの日」として
登録したものです。

数字の「1」がピンと呼ばれる
由来をご紹介します。

「ピンからキリまで」
という慣用句があり、
“最上のものから最低のものまで”、
または“最初から最後まで”を
表す表現として使われていますが、
「キクマサピン」はこの最上を
願って命名されました。

ピンは“点”を意味するポルトガル語
「pinta(ピンタ)」が語源と
なってカルタやサイコロの目の
「1」をピンと呼ぶようになり、
転じて“初め”“最上”の意味
として広まりました。

「キリ」は“限り”を意味する「切り」
を語源といわれています。

その意味は、
“終わり”“最低”を表しています。

また、花札の“桐”からというのも
有力な説。

花札には12種類の植物が描かれて
いますが、それぞれに月が
当てはめられ、松は1月、梅は2月
…最後の12月が桐。

最後の月を表す“桐”からきている
ということです。

その他にも、“十字架”を意味する
ポルトガル語「cruz(クルス)」
が転じた語で、「十」の意を持ち、
“終わり”を意味するという
説もあります。

キクマサピンの発売は
1983年(昭和58年)9月にまで
さかのぼります。

当初から紙パックのお酒として
販売していましたが、
翌1984年(昭和59年)1月に
「ピン」の愛称がつけられ、
テレビCMなどを通じて、
お茶の間に浸透していきました。

キクマサピン発売から35年
経った今も、菊正宗の“顔”
となる商品としてロングセラー
を続けている訳は、
その深い味わい。

日常飲みの“ケ”のお酒として、
晩酌に欠かせない定番としての
地位を確立している証といえます。

地球に優しい日本酒業界。

江戸の昔、酒屋の店頭に並んだ
樽から、客が持ち込む陶器製の
通い徳利やひょうたん徳利などに
お酒を入れる量り売りスタイル。

それが明治になり、ガラス瓶が
使われるようになりました。

大正時代には、機械による一升瓶の
大量生産が可能になったことで、
瞬く間にガラス瓶が普及。

それまで地産地消が主とされていた
地酒を、他の地域へと容易に運送
できるようになったのも
ガラス瓶の功績のひとつ。

ガラス瓶は、実に100年以上も
前から現在に至る“日本酒の容器”
として定着することとなりました。

計量単位が変更になった今でも、
720mlを「四合瓶」、1.8Lを
「一升瓶」と呼ぶ習慣は、
長い歴史が物語っているといえます。

この長い歴史の背景には、ガラス瓶が
全国統一の規格であったことと、
酒販店や自治体、回収業者の連携に
よるリターナブル瓶(回収再使用瓶)
ということがあげられます。

とくに日本酒の酒瓶は、
“リユースの優等生”に例えられる
ほど回収率が高く、
この瓶回収の仕組みは
早くから確立していました。

現在でも、約8割が
回収瓶を使用しています。

ところで、1.8L瓶の出荷量は
全体の約3割、その他サイズの瓶が
約2割、紙パックは実に約5割を
担っているのをご存知でしょうか。

それほど紙パックの日本酒は、
家庭に定着しているのです。

紙パックの日本酒が最初に登場した
のは、1960年代後半のこと。

最初に180mlの三角形の紙パックが
登場し、やがて1.8L紙パックと
なりましたが、当初はお酒への
紙の臭い移りや日本酒の液漏れが
あったため、全国的な普及には
至りませんでした。

そこから紙パックの構造の研究
が進み、幾重もの多層構造
となって、問題点が解消され、
一気に紙パックの普及へ。

キクマサピンは発売当初から
5層構造で、美味しさをキープ
しています。

紙パックのお酒とはいえ、
侮るなかれ。

35年のロングセラー
「キクマサピン」の深い味わいは、
長い歴史の中で、より一層磨き
をかけ、菊正宗の主力商品として
やがて訪れる50周年、100周年を
見据えています。

11月1日はキクマサピンを
お試しあれ。

菊正宗 ピンパック900ML