ワインと同じように、ラベルコレクターがいます。
いつもの菊正宗を買って帰り、
その日の肴に合わせて
“ひや”か“燗”で悩みつつ、
晩酌にご満悦のひとときを楽しむ。
酒瓶が空になったら瓶を洗って、
ゴミ袋に投入。
一般的な晩酌の光景ですが、
ちょっとお待ちを。
なにげなく捨てている酒瓶には、
さっきまで飲んでいたお酒の
プロフィールや情報が、ラベルに
ぎっしりと記載されています。
日本酒に限らずアルコール飲料は、
酒税法などによって、
その記載内容が厳格に定義され、
所轄官庁である国税局の指導の元、
どういうお酒なのかを表示する
ことが義務づけられています。
とくに酒税がからむので、
一般商品の製品表示より格段に
厳格なものとなっています。
日本酒の各情報は、
お酒の名称が大きく書かれた
「胴ラベル(表ラベル)」
と細かい記載の「裏ラベル」
に記載されます。
とくにこの胴ラベル、
ワインと同じように熱狂的な
コレクターが存在しており、
レアな商品ほどマニア垂涎、
人気が高いようです。
もちろん、ラベルのレア度は
味のレア度の証といえます。
菊正宗でもこの年末に向けて
人気の限定商品の発売を行うので、
要チェックです。
おすすめなのは昨年発売を
開始した「可惜夜(あたらよ)」。
今年の販売開始は11月22日。
醸造の詳細は非公開という
遊び心のある商品ですが、
菊正宗の創業から約360年培った
技術の粋を結集した無垢な味わいを
楽しめる逸品に仕上がっています。
明治から大正時代にかけて活躍した
北野恒富の美人画を用いたラベルは、
ネット通販限定200本
ということもありレア度満点。
昨年と同様に、発売早々に
売り切れることも予測されるので、
お早めにお求めください。
このほか
限定醸造200本の「治郎右衞門」や
限定醸造1500本の「嘉宝」は
希少な予約限定商品。
予約数に限りがあるので、売り切れ
次第、予約受付終了となります。
風格あるラベルと味は、
菊正宗を代表する自信作といえます。
予約の締め切りは10月30日なので、
ご興味のある方は、
ぜひお早めにお問い合わせください。
日本酒のラベルは、お酒の履歴書。
酒造法上、胴ラベル、裏ラベルに
記載が義務づけられている項目は
次の項目です。
必ず表記しなければなりません。
【酒類の種類(分類)】
●「清酒」または「日本酒」表記
※ 酒税法における課税上の必要性
から、酒類をその製法等により、
「発泡性酒類」「醸造酒類」
「蒸留酒類」「混成酒類」
の4種類に分類。
醸造酒のうち、米・米麹・水を
醗酵して漉した、アルコール分
が22%未満のもの。
【特定名称】
次の条件に当てはまる場合は
名称を表示します。
● 吟醸酒
(原材料/米、米麹、醸造アルコール
精米歩合/60%以下 麹米割合/15%以上)
● 大吟醸
(原材料/米、米麹、醸造アルコール
精米歩合/50%以下 麹米割合/15%以上)
● 純米酒
(原材料/米、米麹 麹米割合/15%以上)
● 純米吟醸酒
(原材料/米、米麹
精米歩合/60%以下 麹米割合/15%以上)
● 純米大吟醸酒
(原材料/米、米麹
精米歩合/50%以下 麹米割合/15%以上)
● 本醸造
(原材料/米、米麹、醸造アルコール
精米歩合/70%以下 麹米割合/15%以上)
● 特別本醸造
(原材料/米、米麹、醸造アルコール
精米歩合/60%以下または特別な醸造方法
麹米割合/15%以上)
※特定名称の規定から外れたものは、
一般的に「普通酒」に分類。
普通酒の表記は不要。
【原材料名】
使用した原材料を
使用量の多い順に記載。
特定名称を表示する清酒については、
原材料名の表示に近接して
精米歩合を表示。
【製造時期】
「製造年月平成30年10月」
「製造年月30.10」
「製造年月2018.10」
「製造年月18.10」
のいずれかの方法で記載。
※容量300㎖以下の場合は、
「年月」の文字表記の省略が可能。
【保存または飲用上の注意事項】
生酒のように、醸造後に一切加熱処理
をせずに出荷する清酒は、保存もしく
は飲用上の注意事項を記載。
【原産国名】
輸入品の場合は記載。
【外国産清酒を使用したものの表示】
国内において、国内産清酒と
外国産清酒をブレンドして製造した
清酒は、その外国産清酒の原産国
および使用割合を10%単位で記載。
【製造者名称および
製造所在地(所在地の記号表記可)】
【容量(単位/㎖またはℓ)】
【アルコール分(単位/度または%)】
【発泡性を有するものは、
その旨を表記】
【未成年者の飲酒防止に関する事項】
「お酒は20歳になってから」
「未成年者の飲酒は法律で
禁止されています」など
次の項目は、該当する場合などに表記
できる任意記載事項です。
【原料米の品種名】
原料米の使用割合が50%を超えている
場合に、使用割合と併記できます
(例/山田錦100%)
【日本酒の産地名】
100%その産地で醸造されている
場合に表示可。
他産地のものをブレンドした
場合は不可。
【貯蔵年数】
1年以上貯蔵した日本酒に表示可。
表示は年単位。
【原酒】
醸造後、水を加えてアルコール分を
調整しない日本酒に対して表示可。
【生酒】
醸造後、一切加熱処理
をしない日本酒に表示可。
【生貯蔵】
醸造後、加熱をせずに貯蔵し、出荷時
に加熱処理をした日本酒に表示可。
【生一本】
単一の製造場だけで醸造した
純米酒にだけ表示可。
【樽酒】
木製の樽で貯蔵し、木香のついた
日本酒に表示可。
【妊産婦への啓発項目】
「妊娠中や授乳時の飲酒は、
胎児・乳児の発育に悪影響を
与えるおそれがあります」など
※2018年10月現在の
「清酒の製法品質表示基準」
から抜粋・要約
以上の項目について、胴ラベル、
裏ラベルのいずれかに
表記されています。
また、これら以外にも蔵元の歴史や
商品特性など、読み込めば、もっと
商品のことが理解でき、自分にあった
お酒と出会えるチャンスが
隠されているとも考えられます。
一般的に、胴ラベルにはお客様に
もっともお伝えしたいこと、
裏ラベルには、より詳しく商品を
理解していただきたいこと
が記載されています。
“生き様が顔に表れる”などと
いいますが、日本酒の場合、
裏ラベルだけに、“背中で語る”
といったところでしょうか。