広い経済水域、地形が入り組んだ大陸棚、交差する海流が運ぶ、豊かな海産資源。
日本の国土面積は世界第61位で、
約38万㎢の小さな島国です。
ところが周りを
海に囲まれているおかげで、
排他的経済水域
(日本の領海を含めて
沿岸から200海里(約370km))、
つまり日本が自ら管理し
漁業を行うことができる範囲は、
国土面積の約12倍にも拡大し、
世界第6位の広さを誇ります。
この広大な水域を、
南からの暖流
(黒潮、対馬海流など)と
北からの寒流
(親潮、リマン海流など)
が交わるように流れ、
この流れに乗って
日本沿岸を多くの魚が回遊。
また、複雑に入り組んだ海岸線や
地形と水深200mほどの大陸棚は、
さまざまな魚介類が棲息するのに
適した環境が整っている
海産資源に恵まれた国、
それが日本です。
暖流と寒流では、
一部を除いて回遊する
魚の種類が異なります。
そのため、
日本海、太平洋に面している各県では
、季節ごとに漁れる
魚の種類がそれぞれ異なり、
それがかえって各県の特産として
全国に流通する魅力づくりに
繋がっているといえます。
なかでも菊正宗本社のある兵庫県は、
南に太平洋から流れ込む瀬戸内海、
北に日本海と、
両沿岸総延長800kmにもおよぶ
変化に富んだ漁場を持つ
日本でも珍しい県で、
1年を通して魚介類が楽しめる、
まさに海の味覚の宝庫ともいえます。
漁師が選ぶ“プライドフィッシュ”
という全国の美味しい自慢の魚を
選ぶプロジェクトがあり、
兵庫県では12種類が
選ばれています。
春/“瀬戸内海のイカナゴ”、
浜坂産ホタルイカ“浜ほたる”、
“兵庫のハタハタ”
夏/“明石だこ”、
“淡路島の生シラス”、
“兵庫瀬戸内の鱧(はも)”
秋/“淡路島のサワラ”、
“明石浦のもみじ鯛”、
“香住ガニ(ベニズワイガニ)”
冬/“兵庫のり”、
“播磨灘産1年牡蠣”、
“兵庫の赤ガレイ”
これ以外にも、日本海側では、
ズワイガニ(松葉ガニ)やカレイ、
イカ(スルメイカ、シロイカ、
アカイカなど)、アジ、ブリが、
瀬戸内側では、エビ、アナゴ、
タチウオ、マダイ、マコガレイが
豊富に漁れ、季節を堪能できる
旬の味が全国へと届けられています。
幻想的な富山湾の「ホタルイカ」漁は有名ですが、漁獲量は兵庫がダントツ。
兵庫県で漁れる
春の味覚の代表格といえば、
瀬戸内海の「イカナゴ」と
浜坂産の「ホタルイカ」が有名です。
「イカナゴ」の漁獲量は、
2002年(平成14年)を境に
漁獲量が減って1万トン前後で推移。
さらに、2017年(平成29年)以降は、
10分の1の1000トンにまで激減し、
2020年(令和2年)はさらに減って、
わずかに147トン。
あまりに不漁だったため、
1週間で終漁となりました。
激減した大きな要因は、
瀬戸内海の水質が
キレイになったことにより
「イカナゴ」の棲息に
そぐわなかったようで、
今後の対策が待たれています。
一方、「ホタルイカ」については、
「イカナゴ」ほどの激減はないものの、
近年の年間漁獲高は2000〜5300トンと
やや不安定気味。
漁の期間は1月から5月までと
長期におよびますが、
そのピークは3月から5月あたり。
産地である日本海側の各県では
安定した水揚げをめざして、
その生態調査に
取り組みはじめました。
「ホタルイカ」は、
日本海の水域(冷水)と
対馬暖流との境界層を遊泳しながら、
産卵のために北の海域から到来。
水温約3~5℃、
水深約180~240m付近で、
境界層と海底の斜面がぶつかるところに
「ホタルイカ」の漁場があることが
解明されています。
「ホタルイカ」というと、
富山県滑川市の定置網漁が有名で、
暗い夜の海に浮かび上がる
青く発光する「ホタルイカ」の様子は
幻想的で、春の風物詩として
観光船が期間限定で出航し、
人気を博しています。
ところが、漁獲量については
富山県滑川市より
兵庫県浜坂漁港の方が上。
2017年(平成29年)、
兵庫県の浜坂漁港での水揚げは
2734トンで日本一だったのに対して、
富山県全体の水揚げ1299トンと
半分以下の漁獲量と
記録されています。
昔の人気グルメ漫画で、
「ホタルイカ」を生きたまま食べる
描写がありましたが、
旋尾線虫が寄生しているため、
生食の際は
“-30℃で4日間以上、もしくは
それと同等の殺虫能力を有する条件で
凍結すること”
“凍結処理を行った場合、
製品にその旨表示を行うこと”
“内臓を除去すること、または、
内臓除去が必要である旨を
表示すること”
などの、厳しい基準が
厚生労働省により定められています。
“菜の花とホタルイカの辛子酢味噌和え”
“ホタルイカとウドのぬた和え”など、
春らしい肴と
辛口の菊正宗との相性は抜群。
キリッと冷やした冷酒、
または、ぬる𤏐がおすすめです。