南高梅が主流の家庭用「梅酒」。レアな古城梅を見つけたら、即買いです。

南高梅

初めての「梅酒」づくりは、一般的な材料と定番のレシピが無難。

5月中旬から下旬にかけて
スタートする
「梅酒」シーズンともなると、
「梅酒」用の青梅がスーパー店頭に
チラホラと並びはじめます。

すべてという訳ではありませんが、
比較的大きなスーパーや
ショッピングセンターには、
「梅酒」のPOPを掲げた
専用コーナーが
設けられる場合が多いので、
すぐに青梅売り場を
見つけることができるでしょう。

「梅酒」用の青梅を買う際に
注意したいポイントは、
大きくふたつあります。

店頭に並んでいる
“青梅の状態”と
“青梅の品種”です。

まず、青梅の状態ですが、
基本的にはキズのない
鮮やかな緑色の
少し硬いくらいの梅
を選ぶことが大切です。

とくに収穫時以降についたキズは、
味の仕上がりに
大きく影響するだけでなく、
「梅酒」独特の透き通った
キレイな琥珀色に仕上がりません。

実が崩れて果肉が流れ出して、
「梅酒」が濁ってしまうからです。

青梅を選ぶ際は、果肉と果汁が
ぎっしりと詰まっている
大きなサイズ(2L)を
選ぶのもポイント。

さらにいえば、均等に
梅のエキスを抽出するためには、
粒の大きさが揃っているに
越したことはありません。

収穫後の梅の実は足が早く、
すぐに鮮度が落ちるのですが、
出はじめの青梅には“未熟果”が
含まれている場合があり、
梅のエキスが十分に抽出されない
こともあるのでご注意を。

“未熟果”の見分けは難しく、
時間の経過とともに、
表皮が乾燥するのが特徴で、
店頭ですでに
シワが出てきているものや
購入後に数日で
シワがよってくる実は、
残念ながら“未熟果”なので、
取り除いてください。

通常の青梅は
収穫後もシワがよることなく、
時間とともに黄変していきます。

また、黄色く熟した完熟梅でも
「梅酒」はつくることができ、
酸味が少なく、口当たりの良い
甘い仕上がりになりますが、
漬け込む時や保管時に
細心の注意が必要なほど
デリケートなので、
最初の挑戦としては、
あまりオススメはできません。

次に青梅の種類ですが、
圧倒的な収穫量を誇る
「南高梅」を使うのが、
失敗が少なく無難な選択。

「南高梅」は
種が小さく果肉が多いため、
どちらかというと
梅干しに適した品種ですが、
「梅酒」用としても人気の品種です。

「南高梅」と同じ
和歌山県の南部地区で収穫される
「古城梅(ごじろうめ)」は、
別名“青いダイヤ”と呼ばれる
希少品種です。

古城梅

収穫量が少なく、
なかなか店頭で見かけることは
少ないのですが、実が硬く、
「梅酒」づくりに
好適の品種なので、
店頭で見かけたら迷わず
「梅酒」づくりに使ってみることを
オススメします。

前回のコラムで紹介した菊正宗の
「古城梅酒 原酒(ごじろうめしゅ)」
は、名前にあるように
この「古城梅」を使用しています。

じっくりと三年間貯蔵した
芳醇な「梅酒」を原酒のまま瓶詰め。

まろやかな口当たりと、
やや抑えた甘さ、爽やかな酸味に
ご好評をいただいています。

この二大品種以外にも、
種が小さく果肉が厚い「白加賀」や
実が大きい「豊後」のほか、
「青軸」「竜峡」「光陽」
「七折」「玉英」など、
それぞれ特徴的な品種が
店頭に並んでいることもあるのので、
購入時に店員さんにその特徴を
聞いてみるのも良いでしょう。

また、全国各地の梅の産地
近くにお住まいなら、
梅の観光農園で“梅狩り”というのも
よろしいかと思います。

自分の手で収穫した梅を
漬け込んだ「梅酒」も、
なかなかオツなものです。

 

「梅酒」づくりに氷砂糖を使うのには、ちゃんとした理由があります。

砂糖については、
純度が高い氷砂糖を使うのが
「梅酒」の定番のレシピ。

クセがない分、
上品な甘味に仕上がります。

氷砂糖が定番的に使われる理由は、
一気に溶けないので、
アルコール濃度を
薄めるスピードが遅く、
浸透圧で梅のエキスを十分に
アルコールに溶け出させる役割がある
という利点です。

その効果で、漬け込んだ
梅の実の表皮がシワっぽくならず、
キレイな形を保つ役割を
成しているのです。

同じ系統のグラニュー糖も、
クセがなく
梅の味を邪魔しない砂糖ですが、
溶ける速度が早く
アルコール度数を
一気に下げる恐れがあり、
薄まったことで
梅の実が浮いてしまい、
しっかりと漬かりません。

何らかの理由で
グラニュー糖を使う場合は、
仕込み終えた後、
すぐにかき混ぜないこと。

そっとしておいてアルコール度数を
できるだけ保つようにしてください。

精製されていない
黒砂糖や赤ザラメを使うと、
一般的な「梅酒」と異なる
風味やコクが楽しめるのですが、
アクがあり、
やや渋みを感じる味になります。

砂糖の代わりに
ハチミツを使うことも可能です。

ハチミツは溶けにくいので、
漬け込んでから2週間ほどは、
毎日、瓶を揺らして、
底に沈澱したハチミツを
少しずつ溶かす手間がかかります。

しかし、2カ月程度で飲めるのと、
酸味が抑えられた
マイルドな優しい味に仕上がり、
ほんのりとハチミツの風味も
楽しめます。

最初の「梅酒」づくりに
挑戦するのなら、
まずは定番のレシピで挑戦を。

何年か試す中で、
梅の品種を変えたり、
砂糖の分量を調整するなど、
自分の好みを見つけてみては
いかがでしょうか。