失敗しない「梅酒」づくりのために大切なのは、梅の実を傷つけないこと。

容器と梅の下準備は、細心の注意を払って丁寧に。

数回にわたって
「梅酒」づくりの道具や
漬け込む酒類、
梅の品種、砂糖などについて
掲載してきましたが、
今回は全体を通した
青梅を漬け込む工程や注意点を
おさらいとともにご紹介します。

まずは、漬け込む容器。

まずは以前のコラムのおさらいです。

  • 持ち運びに便利な吊り手がついた、
    洗いやすい“密閉式の広口ガラス瓶”
    がオススメ。
  • 漬ける梅の約4倍の大きさが目安。
    青梅1kgには4ℓ瓶が妥当なサイズ。
    ただし、あまり大きいと
    取り扱いや保存に不便なので、
    青梅を500gずつ
    2ℓ瓶2本に分けるのも
    賢い選択です。
    容器を準備するにあたり、もっとも
    気をつけなければならないことは
    雑菌の繁殖を抑えることです。
    まずしっかりと台所用洗剤で洗い、
    水気を拭き取ってから天日干しに。
    完全に乾いてから、
    除菌アルコール消毒します。
    また、漬け込むホワイトリカーを
    清潔なペーパータオルに染ませて、
    そのアルコール成分で
    消毒する方も多いようです。

続いて、「梅酒」づくりで
失敗しないための、
青梅の選択と下ごしらえです。

  • 「梅酒」づくりシーズンとともに
    スーパーなどに設置される
    「梅酒」コーナーで
    販売されている青梅ならば、
    過去の販売実績によって
    入荷することが多いのでほぼOK。
    心配ならば、販売員に
    相談するのもいいでしょう。
    オススメは、流通量の多く
    市販の「梅酒」にも
    よく使われている「南高梅」。
    希少種「古城梅」も
    「梅酒」づくりに適しているので、
    見つけたら即買いです。
  • 青梅は、キズのない鮮やかな緑色の
    少し硬い梅を選ぶことが大切。
    収穫後についたキズは「梅酒」の味
    に大きく影響するだけでなく、
    そのキズから実が崩れて
    「梅酒」を濁らせる原因に。
    透き通った琥珀色の
    「梅酒」づくりにキズは厳禁です。
    また、収穫後の梅の実は
    足が早いので、
    新鮮でツヤと張りがある
    瑞々しい青梅を選びましょう。
    張りがなくシワのよっているものや
    黄色く熟しはじめているものは
    避けてください。
  • 2Lサイズなど、大きな梅ほど
    果肉部分が多く、
    梅エキスがより多量に
    抽出されます。

青梅の下ごしらえは、
青梅は流水でやさしく手洗いし、
たっぷりの水に2〜3時間漬けて
アク抜きをします。

ザルにあけた後、
一粒ずつ竹串などで
実をキズつけないように
ヘタを取り除きます。

ヘタを残したまま漬け込むと
エグ味の原因となるので
丁寧に取り除いてください。

その後、乾いた布で
一粒ずつ水気を拭き取ってください。

これで青梅を漬け込む
下ごしらえは完了です。

ここでひと手間。

下ごしらえの完了した
青梅をビニール袋などに入れて
冷凍庫でひと晩凍らせると、
梅のエキスが出やすくなり、
早く漬かります。

仕上がった梅の食感が良いのも
魅力なのですが、
香りが少々落ちるのが難点。

早く「梅酒」を飲みたいという方
にオススメの隠し技です。

 

「梅酒」づくりに氷砂糖を使うのには、チャントした理由があります。

次は、一般的に
氷砂糖を使う理由です。

これも、
以前のコラムのおさらいです。

氷砂糖が使われる理由は、
一気に溶けないので、
アルコール濃度を薄める
スピードが遅く、浸透圧で
梅のエキスを十分に
アルコールに溶け出させる役割が
あるという利点です。

一般家庭で、
「梅酒」を漬ける酒類は、
アルコール度数20%以上の蒸留酒
という“酒税法の例外規定”
があるので注意が必要です。

この規定を遵守したうえで、
梅を漬け込むお酒の選択にあたり、
とくに初心者の方は
アルコール分35%の
“ホワイトリカー(甲類焼酎)”
を使うのが無難です。

「梅酒」づくりに慣れてから、
ウォッカやジン、ブランデーなどの
酒類に幅を広げましょう。

これで「梅酒」づくりの
準備はできました。

あとは瓶に下ごしらえ済みの青梅と
氷砂糖を交互に入れ、
梅と氷砂糖の層を
幾重にも重ねていきます。

一番上の層は氷砂糖に。

そのあと、
上からホワイトリカーを、
一気にではなく、
ゆっくりと回し入れます。

そして、きっちりと蓋を閉めて、
漬け込んだ日付、梅の品種名、
仕込んだレシピを書き込んだ
メモを瓶に貼り付けて、
冷暗所に保管してください。

あとは、3カ月から半年、
「梅酒」ができあがるのを
待つばかり。

「梅酒」づくりは、
それほど難しくありません。

製造工程は
シンプルで簡単そのもの。

大切なのは、より丁寧で
細心の注意を払った下ごしらえに
かかっているようです。