漬け込んだ「梅酒」の飲み頃は、どのタイミング?

「梅酒」の飲み頃と梅の実を取り出すタイミング。
6月のシーズンに漬け込んだ「梅酒」が飲めるのは、早くて約3カ月後。ちょうどいい飲み頃になりはじめるのは約6カ月頃からです。2〜3年間は熟成が進んでまろやかな味わいを楽しめますが、それを過ぎたあたりから管理が難しくなるので、3年くらいで飲み切るのが無難。とはいえ、たまたま保管場所が「梅酒」の熟成にマッチした環境の場合もあり、10年物の「梅酒」を飲んでいる方も多く、なかには30年代物というヴィンテージレベルの逸品もちらほら。基本的に「梅酒」はアルコール類なので、賞味期限はなく、基本的に腐りません。しかし、仕込みに失敗していたり、保存状態が悪かったり、雑菌が紛れ込んだりすることで、時間経過とともにツンと酸っぱい臭いがしたり、液面にカビが浮いてくる場合があります。残念ながら、これは腐敗しているので、必ず廃棄してください。
何れにせよ、漬け込んだ梅の実は、種の苦味が出たり、実が崩れて濁らせる原因になったりするため、1年ほどで取り出すのが基本です。取り出した梅の実は、種を取り除いて細かく刻み、鍋で加熱しながら甘みを調整すれば“梅ジャム”、寒天で固めて“梅の寒天ゼリー”、魚と一緒に煮て“煮魚の臭みとり”など、いろいろな使い方があります。もちろん、そのまま食べても熟成した美味しさを楽しめること間違いなしです。

「梅酒」レシピを応用して…お楽しみは、幅広く。
「梅酒」づくりの応用で、アルコールを含まない「梅シロップ」が簡単につくれるのをご存知ですか。「梅酒」をつくった時と同じ分量で同じ工程で作業を進め、最後の“ホワイトリカー”を入れずに準備は完了。人によっては、梅と氷砂糖を瓶に入れる際、梅にフォークで数カ所穴を開けて梅のエキスが出やすくする方もおられるようです。冷暗所に保管しつつ、1日に2〜3回ずつ瓶を傾けながら、梅全体に溶けはじめた砂糖の蜜が行きわたるように回しがけするのがポイント。2週間ほど経って梅シロップが抽出されてきたら混ぜる作業は終わり。あとは冷暗所で味を馴染ませ、ほのかに色が着きはじめた1カ月半から2カ月後に梅の実を取り出します。小分けにして冷蔵庫に入れておくと1年ほどは保存可能。常温保存の場合は、2〜3カ月で使い切るようにしてください。できあがった「梅シロップ」は、“梅ゼリー”や“梅のシャーベット”など、美味しいスイーツづくりに楽しめます。
さらに、「梅酒」づくりのレシピで、果実酒づくりに挑戦する方も多いようです。基本となるレシピは“ホワイトリカー”1.8ℓと密閉式の広口ガラス瓶4ℓ瓶の組み合わせに、季節の果物とそれに応じた氷砂糖の分量を加えてつくります。果物の下ごしらえは「梅酒」と同じように丁寧に水で洗い、ヘタを取り除いた後、乾かしてから漬け込んでください。果物は熟し過ぎていない新鮮なものを選んで、漬け込む果物の糖度に応じて氷砂糖の分量で調整。
●いちご酒/いちご1kg(4パックほど)+氷砂糖約300g
●キウイ酒/キウイ1kg(7〜8個)+氷砂糖約300g
●さくらんぼ酒/さくらんぼ1kg+氷砂糖約300g
氷砂糖の分量は目安です。お好みでレモンの輪切りを数個分入れると、変色を防いでくれます。
このほか、レモンやリンゴ、ゆず、カリンなど、さまざまな果物でつくれるので、お好みのものを選んでください。

ここまで、数回にわたって「梅酒」についてご紹介してきましたが、“漬けた梅の実は取り出さない方が、梅酒のコクや香り、風味ともに増す”“甘いのは苦手なので、氷砂糖の分量は600g”“熟して黄色くなりかけた梅の実を漬ける”など、ご意見はさまざま。つまり、イメージする「梅酒」の味が人それぞれで、一部でいわれる“梅酒づくりにレシピなし”ということなのかも知れません。