夏のお便り「かもめ〜る」は、昨年、ひっそりとサービスを終了。
長年親しまれて来た
暑中見舞い用のくじ付きはがき
「かもめ〜る」が、
昨年の2020年を最後に、
その歴史にひっそりと
幕を下ろしました。
「かもめ〜る」は、
1950年(昭和25年)に
販売を開始した
“暑中見舞い用郵便はがき”
がそのルーツです。
1950年(昭和25年)の年始用
“お年玉付き年賀はがき”に続く、
郵政の新しいサービスとして
登場しました。
“お年玉付き年賀はがき”の
サービス開始時の
発行枚数は1億8000万枚。
1964年(昭和39年)
には10億枚、
1973年(昭和48年)
には20億枚と、
経済成長や人口増加とともに
発行枚数は増え、そのピークは
2003年(平成15年)に
44億5936万枚を数えました。
もともと年始挨拶の文書を
飛脚などで送る習慣は
江戸時代からあり、
明治になって郵便制度が確立し、
1873年(明治6年)に
郵便はがきが発行されて以降、
郵便はがきで年賀状を送る習慣が
急速に広まりました。
1887年(明治20年)頃には、
年賀状を出すことが
年末年始の行事のひとつとして定着。
その習慣を背景に、
相手に幸運を届けることになる
“お年玉付き年賀はがき”が
受け入れられるのは
当然のことといえるでしょう。
こうした
“お年玉付き年賀はがき”の
安定した販売実績を参考に、
1986年(昭和61年)から
スタートしたのが、
くじ付きはがき「かもめ〜る」です。
発売枚数は、
1993年(平成5年)の
3億4000万枚をピークに
下降を始め、
2008年(平成20年)に
2億1530万枚と、
一旦底を打ちます。
その翌年の
2009年(平成21年)、
「かもめ〜る」をDMとして使う
“かもめタウン”
というサービスを開始。
顧客リストなしに、
町や丁目などにより
地域指定することで、
“〇〇町にお住いのみなさまへ”
と銘打った「かもめ〜る」が
〇〇町全戸へ配布される仕組みで、
2015年(平成27年)は
2億7138万枚、
2016年(平成28年)は
2億7246万枚まで回復しますが、
“お年玉付き年賀はがき”と
比較すると、
その数は1/20にも満たない
発行枚数。
「かもめ〜る」の最後となった
2020年(令和2年)の発行枚数は
1億4005万枚となりました。
暑中見舞いと残暑見舞いの境目は?
“かもめ〜る”は
廃止となりましたが、
2021年(令和3年)は
暑中見舞いや残暑見舞いとして使える
「絵入りはがき」が登場。
表の宛名面の料金表示個所に
ジンベイザメ、
裏の通信面には
青空とひまわりが描かれ、
夏のメッセージには
最適の図柄となっています。
さて、悩ましいのは
暑中見舞いと残暑見舞いを
出すタイミング。
その境目となるのは
二十四節気の“立秋”です。
2021年(令和3年)の暦によると
、次の区分けとなり、
厳密には、その期間内に
相手に届くように送ります。
●暑中見舞い…“小暑(7月6日火曜日)”から“立秋の前日(8月6日土曜日)”。
※地域によっては雑節の“土用(7月28日水曜日)”が起点。
●残暑見舞い…“立秋(8月7日日曜日)”から8月末頃までに届くように送付。
※残暑が厳しい年は、9月初旬の送付も可能。
というのが、
一般的なマナーとされています。
また、最近多いのが、
お中元代わりに“夏ギフト”を贈り、
それが暑中見舞いや残暑見舞いを
兼ねるケースです。
この場合、
のし紙の表書きに「暑中御見舞」、
目上の人に贈る際は、
「暑中御伺」と書きます。
菊正宗でも、
暑中見舞いや残暑見舞いを兼ねた
“夏ギフト”のご注文が
年を追うごとに増えていますので、
夏のご挨拶に
是非ご利用くださいませ。
さて、
“お年玉付き年賀はがき”とて、
電子メールやSNSの普及によって、
2021年(令和3年)の
発行枚数は19億4198万枚と、
ピーク時の半分以下の時代。
この先、コミュニケーション手法が
大きく変わるのは必至ですが、せめて
“はがきによって
文字で挨拶を送る文化”
は残しておきたいものですね。