「ハロウィン」のカボチャは、カブの代用。その理由は?

日本に「ハロウィン」文化を定着させたのは、SNSの“映え”拡散の後押し。

昨年は新型コロナの影響での
「ハロウィン」イベントの
ほとんどが中止となりました。

今年は、緊急事態宣言などの
外出制限が解かれ、
有名テーマパークなどでは、
2年ぶりとなる
「ハロウィン」イベントを開催。

また全般的に、街中でも、
マスク着用などの
自粛をしつつの仮装ですが、
少しは華やかな活気が
戻ったような気がします。

ちゃんとした記録が
残っているものとして、
「ハロウィン」を取り扱ったのは、
1970年代キディランド原宿店が最初。

そして、1997年の
東京ディズニランドで開催した
“ディズニー・ハッピー・ハロウィン”
の仮装イベントが一気に
「ハロウィン」を広めました。

その後、オレンジや紫、黒を
ベースカラーにしたハロウィン商品や
仮装用品の販売が多方面で広まり、
昨今のSNSの普及が、「ハロウィン」の
“映え”イメージ拡散の
後押しをしたといえるでしょう。

もともとハロウィンは、
アイルランドやスコットランドに
暮らしていた古代ケルト人の
信仰が起源で、これがキリスト教に
取り込まれたものです。

ケルト人文化で1年の最終日となる
10月31日は秋の収穫を
祝う日であるとともに、
現世と霊界を行き来できる日で、
死者の霊が戻るとされていました。

この時、悪霊が一緒に来るので、
不気味な衣装をまとい、
仮面をかぶって、
悪霊を驚かせて追い払ったというのが
仮装の由来。

一方、キリスト教では11月1日は
“諸聖者の日(All Hallowe’s Day)”
という全ての成人、
殉教者を記念する祝日で、
その前夜に当たる10月31日は
“諸聖者の日の前夜
(All Hallowe’s Even)”と呼ばれ、
それが“Hallowe’en”と略されたのが
「ハロウィン」の語源です。

現在、アメリカなどでは
宗教的要素はほとんどなく、
季節催事のようなイベントとして
親しまれています。

さて、
「ハロウィン」に付きものといえば、
“ジャック・オー・ランタン”。

カボチャの中をくり抜いて、
中でロウソクを灯し、
ランプのように魔除けがわりに軒先に
吊るすのが正しいスタイル。

実は、ケルト人が魔除けとして
使っていたのはカボチャではくカブ。

では、なぜ「ハロウィン=カボチャ」の
イメージが定着したのでしょうか。

それは、キリスト教の行事として
世界に広まる中、
アメリカに伝わるのとほぼ同時に
カボチャに差し代わったといいます。

その理由は、「ハロウィン」の時期に、
アメリカはカブの生産量が少なく、
カボチャが多く
収穫されていたというもの。

それが全世界へと広まり、
現在の「ハロウィン=カボチャ」の
イメージの定着に
つながったとのことです。

「ハロウィン」が開催される初冬に
多く収穫されるカボチャは、
別の意味での旬の野菜といえます。

 

旬の野菜が美味しく身体に良いのには訳がある。

当然、海外にも旬の野菜はありますが
日本ほど、“旬の感覚”への
こだわりはありません。

輸出入や品種改良などにより、
1年を通して常備野菜が
店頭に並ぶのは、多少の差はあれ、
外国も日本と同じような状況です。

世界と大きく異なる点は、日本では、
“旬の時期に美味しくいただく”
という考え方がかなり徹底して
浸透しているということ。

これは、季節や歳時記などが
生活にしっかりと根付いている
日本独特の感覚といえます。

また、“旬の野菜は身体に良い”と、
よく耳にしますが、
それはなぜなのでしょうか。

野菜にとっての旬は、
もっとも生育に適した条件が
整った環境で生育し、
もっとも成熟した時期といえ、
旬の野菜は味が濃く、
栄養価も高い状態にあります。
旬のモノと季節外れのモノを比べると、
その栄養価は倍ほども異なるとの
研究発表もあるようです。

また、旬の期間とともに収穫量が増え、
近隣エリアで収穫されたものが
店頭に並ぶ機会も増えます。

そのため、
野菜そのものの価格ばかりでなく、
輸送コストも抑えられることとなり、
よりリーズナブルに、
新鮮な旬の味わいを
楽しむことができるのも、旬を迎えた
野菜の恩恵のひとつでしょう。

さらに、
季節のその時期に身体が欲する成分が
旬の野菜に含まれているといえます。

“新緑の春”は新しい環境で
ストレスをうけやすく、
体調不良を起こすことがあります。

旬の野菜で、
スムーズに体を目覚めさせ、
心身ともにリラックス効果を
高めることが必要です。

“疲労の夏”は、梅雨の食中毒、
猛暑期の体力消耗や食欲不振などの
季節病を引き起こしやすい時期。

夏に旬を迎える栄養価の高い食材を
上手に料理に取り入れ、
夏バテや紫外線に負けない
身体づくりが大切。

抗酸化作用の高い緑黄色野菜や
水分を多く含む野菜の
摂取を心がけましょう。

“実りの秋”は、
きのこや木の実、根菜類など、
消化器系の働きを活発にしてくれる
食材が旬を迎える、まさに食欲の秋。

“凍てつく冬”は、
野菜が冬の寒さを乗り切るために、
糖分や栄養素を多く蓄積するため、
この時期の野菜は、
自然の甘みを強く感じるとともに、
体温保持効果への期待が高まります。

旬の野菜は、健康増進という意味で、
私たちの暮らしに欠かせない
食材となっているのです。

「ハロウィン」の
“ジャック・オー・ランタン”を見て
“美味しそうなカボチャ”と
旬を感じるようになったら
立派なもの。

今夜はカボチャの煮物を肴に、
燗酒でもいかがでしょうか。