正確には「五黄土星の壬寅」年。厳冬で蓄えた力強さが、新しい芽吹きを誕生。
2022年の干支は「寅」、
正確には
「壬寅(みずのえとら)」です。
以前に
ここで紹介させていただいたように、
干支は、“十干(じっかん)”と
“十二支(じゅうにし)”を
組み合わせたものをいいます。
その起源は古代中国へと遡り、
後に陰陽五行説と結びついて、
それぞれの組み合わせによって、
意味をなして行きました。
陰陽五行説では、
“十干”は太陽の動き、
“十二支”は月や星の動きを象徴的に
表しているとのことです。
干支はある種の統計学ともいえます。
長年にわたって積み重ねられた
“世の理(よのことわり)”を知り、
明日に備える拠り所となる
暦といったところでしょうか。
この干支に、さらに星の動きによって
運勢を示唆する“九星”が加わり、
その年がどういう運勢を持つ年なのかを
より詳しく知ることができます。
改めて、
2022年は「五黄土星の壬寅」年です。
まずは「五黄土星(ごおうどせい)」。
2022年(令和4年)は、
土の強いエネルギーを持った
他の八星を支配する
帝王の星が巡る年です。
破壊力、腐敗などの意味を持ち、
変化と育成、
つまり大きな変化に伴って
新しいものが生まれる予感があります。
続いて「壬寅(みずのえとら)」。
「壬」の文字が意味するのは、
“妊”という文字に通じて、
厳しい冬の寒さに
耐えて蓄えた陽の気で、
次の代の基礎を固めている様子。
イメージとしては、
種から発芽した芽が土の下で膨らみ、
土が盛り上がった様子です。
また、「壬」は十干の9番目にあたり、
生き物の成長サイクルに当てはめると、
次の命を育むための
準備をする時期といえます。
一方、「寅」は十二支の3番目で、
新しい生命の誕生の時期。
「寅」の文字は、
“螾(ミミズ)”に通じ、
春の胎動の様子を表しています。
暖かくなった春先に
ミミズが土の中で動き始め、
発芽を促し、
秋の豊穣へと繋がるイメージです。
冬が厳しければ厳しいほど、
春の陽気に包まれた発芽は力強く、
新しい生命の
誕生を予感させてくれるのが、
“壬寅”の組み合わせといえます。
長かった新型コロナ禍の
自粛生活から生まれた
新しい生活様式に
期待が持てる1年になりそうです。
より広く周知するために割り当てられたのが、十二支の動物たち。
十二支の概念は、
もともと古代中国紀元前の
殷から戦国時代にかけて
確立された天文学に基づく
“暦(れき)”が起源。
天空を12等分して
年や月などの周期的な
時間の流れを表す体系を、
より広く周知するために
身近な動物をあてはめたものです。
つまり、それまで記号で表していた
十二支に動物を割り当てることで、
一般庶民の理解を深め、
普及させることが狙い。
より分かりやすく説くために、
その動物を割り当てた物語を広めました。
その物語の内容は
長い歳月をかけて口伝で広がるうちに、
微妙に変化しているようですが、
本筋は変わらないようです。
大昔のこと。
神様が動物たちにお触れを出しました。
“元日の朝、
新年の挨拶に私の元へ出向け。
一番から十二番目までに
来たものを一年間、
動物の大将にしてやろう”と。
それを聞いた動物たちは、
元旦を心待ちにします。
ネコはネズミから
“挨拶に行くのは、1月2日の朝”と
聞いていたので、出発しませんでした。
そして元日の朝、日が昇る前に、
動物たちは一斉にスタートしました。
歩くのが遅いことを自覚していたウシは
夜の暗いうちに出発。
そのため、新年の太陽が昇った時に
一番に現れたのはウシでした。
しかし、神様のお社の門が
開くと同時に、ウシの背に乗っていた
ネズミがいち早く一番で到着。
実は、牛小屋の天井で牛の身支度の
様子を見ていたネズミが、
出発の際に、ウシの背中に
ピョンと飛び乗っていたのでした。
こうして、牛は二番となり、
トラ、ウサギ、リュウ、ヘビ、ウマ、
ヒツジと続きました。
また、挨拶に向かう途中、
サルとイヌが大喧嘩を始めたので
到着が遅れ、
その仲裁に入ったのが
トリということで、サル、トリ、イヌ
そして十二番目に到着した
イノシシを最後に、
十二支の順番が決まったというお話です。
ネコは嘘を教えたネズミを恨んで
今でもネズミを追い回し、
十三番目に到着したイタチは、
何度も神様にお願いして、
みんなに内緒で、月の最初の日を
“つ・イタチ”と
呼んでもらうことになった、
カエルも参加していたが
途中でヘビに呑み込まれたという話も
寓話として伝わっています。
十二支は古代中国から
日本に伝わったものなので、
十二支があるのは、
中国と日本だけと思いがちですが、
実は、韓国、台湾、チベット、タイ、
ベトナム、ロシア、モンゴル、
ベラルーシ、ブルガリア、トルコ、
インド、アラビア、イランなどにも
十二支はあり、それぞれの国によって
十二支を構成する動物が
微妙に異なっています。
長くなるので、このお話は、
またの機会に。
2022年(令和4年)は、
前述したように、期待が持てる年。
ただし、「五黄土星の壬寅」と
個人の運勢の巡り合わせや
相性によっては、
期待通りの年になるかどうかは、
また別物といえます。
あまり運気の上昇を実感できないときは
“当たるも八卦、当たらぬも八卦”
と割り切ることも大切です。