菊正宗の文化資料施設の第3弾「盃展示館」。お客様の人気も好調です。
菊正宗「盃展示館」が
4月6日にオープンしました。
菊正宗のこうした
文化施設の取り組みは、
今から約60年前の
1960年(昭和35年)に、
御影の本嘉納家本宅屋敷内に
建てられた酒蔵を現在の地に移築した
「旧酒造記念館」に遡ります。
館内には、
国指定・重要有形民俗文化財の
“灘”の酒造用具や
所蔵する小道具類を展示し、
酒造りの長い歴史を伝える
酒造資料館として、
年間5万人もの来館者を
誇っていました。
しかし、1995年(平成7年)の
阪神・淡路大震災で倒壊。
そこに収蔵されていた
酒造用具や小道具類を、
崩れ落ちた瓦礫の中から
手作業で掘り起こして
ひとつずつ確認したところ、
ほとんどが無事。
一部、被害はあったものの
修復可能な状態で、
4年後の1999年(平成11年)には、
現在の「菊正宗酒造記念館」が
復興オープンしました。
昔ながらの酒蔵をイメージさせる
本瓦葺きの屋根、
焼杉板張りを使った外壁や辻塀、
そして何より「旧酒造記念館」
に使われていた樹齢400年以上の
歴史を刻んできた柱や梁が、
さまざまな箇所に利用されている様は
「旧酒造記念館」の意思を
受け継いでいるかのようです。
「菊正宗酒造記念館」に続き、
道を挟んで近接する嘉宝蔵敷地内の
奥まったところに位置する
「樽酒マイスターファクトリー」が
オープンしたのは2017年(平成29年)
“瓶詰樽酒(通称、樽びん)”を
発売して50周年となった記念として
設立したものです。
ここでは、成り手が少なくなった
樽職人を自社内で育成することで、
その伝統技術を継承するとともに、
樽酒を仕込むための樽づくり
ということも兼ねています。
樽づくりの材料となる
吉野杉の展示説明と
実際に樽づくりの現場を見る
体験ツアーも好評です。
微妙に長さや厚さが異なる杉材を、
釘1本使わずに、
専用の道具を巧みに使いながら
樽状に組み合わせる作業は圧巻で、
その技術の細かい精巧さ、
手際の良さに感動すら覚えます。
「菊正宗酒造記念館」で酒造りの伝統
「樽酒マイスターファクトリー」では
酒を貯蔵する“器”づくりの匠の技、
そして、3つ目の「盃展示館」では、
酒を“飲む道具”である
盃や猪口を紹介することで
酒の嗜み方の歴史を紹介しています。
約30分の見学ツアーの内容は濃いめ。見学後の試飲タイムは嬉しいところです。
「盃展示館」があるのは、
嘉宝蔵敷地内の仕込み蔵の一画です。
歴代の社員が集めた
盃コレクションを始め、
蒐集家からの寄贈、
監修をされた市之倉さかづき美術館の
七代目加藤幸兵衛氏からの寄託による
約1600点の収蔵品の中から
カテゴリーごとに、特徴のある
盃や猪口徳利など約400点が
酒造りの歴史を綴ったパネルと一緒に
展示されています。
多くの企業博物館での
館内展示物を自由に見て回るという
スタイルが多い中、「盃展示館」は
1日3回、約30分の無料見学会を実施。
「菊正宗酒造記念館」
スタッフの引率により、
お話を聞きながらの見学会です。
といっても、
堅苦しい説明というよりは、
酒文化にまつわる面白い話で
惹きつけられるので、
あっという間に過ぎる30分。
お酒にまつわる
いくつものうんちくが散りばめられ、
どこかで誰かに話したいものも
たくさんあります。
見学会が終わったら、
「菊正宗酒造記念館」に戻って、
寸胴の“蛇の目猪口”と広口の“盃”
に同じお酒を入れての飲みくらべ
というご褒美もついてくるので、
車での来館は避けたいところ。
飲みくらべて分かるのは、
同じお酒なのかと思うほど、
香りの立ち方や味わいが違うこと。
見聞きした情報を、
実体験で認識する面白い試みです。
さて、「盃展示館」見学会への参加は
見学予定日の2日前までに、
菊正宗HPの予約サイトでの
予約が必要です
(https://www4.revn.jp/kikumasamune_reserve/)
時間が許すのなら、
「樽酒マイスターファクトリー」の
見学会を同時に予約して、
「樽酒マイスターファクトリー」
「盃展示館」の順に、
続けて回るのがオススメ。
ちなみに休館日は年末年始のみです。
- 「樽酒マイスターファクトリー」
見学会(所要時間/30分)
第1回目/10時30分〜、
第2回目/14時00分〜、
第3回目/15時00分〜 - 「盃展示館」
見学会(所要時間/30分)
第1回目/11時10分〜、
第2回目/14時40分〜、
第3回目/15時40分〜
注意したいのは1回の定員が
20名までの人数制限があること。
20名を超える団体の場合は
「菊正宗酒造記念館」に直接、
電話での申し込みとなっています
(予約専用電話/078-277-3493/受付時間午前9:30〜午後4:30)
予約サイトで予約ができない場合も、
この予約専用電話で
お問い合わせの必要があります。
「盃展示館」は、
まだオープンしたばかり。
今後、さまざまな取り組みにも
期待が寄せられます。
まずは、ぜひ一度、「盃展示館」の
見学ツアーにご参加ください。