謎めいたお酒「可惜夜(あたらよ)」。残りはあと僅かです。
2017年(平成29年)に登場した
「可惜夜(あたらよ)」も、今年で
早、6年目を迎えます。
“嘉納会特A地区産の山田錦を
100%使用”“アルコール分16%”
ということ以外、酒質、精米歩合、
日本酒度、味わいなど、すべて謎の
ミステリアスなお酒。
これは、先入観にとらわれることなく、
飲む方の五感で、日本酒本来の
美味しさを楽しんでいただこうという
“魅せる菊正宗”を
コンセプトに醸した、遊び心のある
お酒です。
謎に包まれた「可惜夜」の美味しさを
少しだけ紹介すると、
すっきりとフルーティな鼻に抜ける
香りと口に広がる深い味わいで、
特有の上品な余韻が楽しめる
自慢の逸品に仕上げています。
「可惜夜」は、手間暇をかけて、
懇切丁寧に仕込んでいるため、
ご用意できる本数に限りがあります。
現在は、菊正宗ネットショップと
菊正宗酒造記念館での
期間・数量限定販売のみの取り扱いで、
販売早々、すぐに売り切れてしまう
ことも、過去には度々。
そんななか、「可惜夜」の旨さに
惚れ込んでいただいているお客様も
多く、リピート購入率の高い商品へと
成長しました。
また、その希少性もあって、
贈答品としてもご利用いただいています。
2021年度版は、そうした人気に
お応えする意味で、いつもの年より、
やや多めに仕込んだのですが、
残りもあと僅か。
売り切れる前に、ぜひお早めに
お買い求めください。
さて、「可惜夜」の名前の由来
となったのは、万葉集に収められた
“玉櫛笥 明けまく惜しき あたら夜を
衣手離れて 独りかも寝む”という
詠み人知らずの歌です。
この歌の意味は、“(玉櫛笥/枕詞)
明けてゆくのがもったいないような
良い夜に、お前と遠く離れて一人で
寝ないといけないだろうか”という、
やや意味深な内容。
お酒には“明けてしまうのが惜しい、
すばらしい夜”という広い意味で
「可惜夜」と命名し、
“このお酒を飲む楽しいひとときは
儚く、夜が明けるのも惜しいほどの
すばらしい時間を過ごしてほしい”
という願いが込められています。
また、この歌が詠まれた情景を
思い浮かべてみると、
部屋の明かりは消して、満天の星空の
中でひと際明るく輝く月に照らされた
部屋の風情豊かな様子を
うかがい知ることができます。
また、そのときの月は、
ずっと眺めていたい
満月だったかも知れません。
「中秋の名月」は、旧暦の秋のど真ん中の日である8月15日のことを指しています。
さて、今年の「中秋の名月
(十五夜)」は、9月10日。
新月から次の新月までの周期(月が
満ちて欠けるまで)で、新月の日を
1日目としたときのちょうど真ん中の
15日目が十五夜です。
月の周期は約29.5日とされ、新月から
満月まではその半分の約14.8日。
そこに、月の軌道がやや楕円を
描くことや閏月(うるうつき)など、
いろいろな理由が重なって、
1日ずれることになります。
たまたま、2021年から2023年は
「中秋の名月」の日と満月が
一致しますが、そのほかの年は、
満月が1〜2日遅れてやってくることに
なります。
つまり、“中秋の名月”であって
“中秋の満月”ではないということは、
意外と知られていないようです。
旧暦では、7〜9月が秋と
されていたので、秋のちょうど真ん中の
8月15日が中秋にあたり、
「中秋の名月」は“8月15日の名月”
のことをいいます。
一方、「仲秋」と書く場合は、
「7月(初秋)、8月(仲秋)、
9月(晩秋)」の8月の別称である
仲秋を使い、“8月の名月”を
表すことになります。
さらに、春夏秋冬それぞれの季節で、
名月を見ることはできますが、
夏の月の軌道は低く、
逆に冬の軌道は高すぎるため、
ちょうど見上げるのに適した高さ
となると、春と秋。
天気の優れない春よりは
天気の良い日が多い秋が、
月見に向いた季節として
定着したとされています。
今年の「中秋の名月」は満月です。
グラスに注いだ「可惜夜」に
月を映して、万葉の時代の気持ちを
味わってみるのも一興かと。
忙し過ぎる現代の時間の流れを
巻き戻して、風情豊かにゆったりと
過ごすひと時をお楽しみください。