実は、“秋分の日”は昼と夜の時間が同じ…ではありません。
現在、私たちは
“新暦(太陽暦/グレゴリオ暦)”
によって日々の生活を送っています。
これは地球が太陽の周りを
約365.24219日かけて1周する
公転周期を1年とする考え方に
基づいた世界の基準で、
小数点以下の誤差を
4年に一度の閏年で調整。
それでも生じる微少な誤差は、
“400で割り切れない
100の倍数年は平年扱い”により、
さらに調整されます。
直近だと、2100年は本来、
閏年にあたりますが、平年扱いに。
この微調整により、その誤差は
10000年に3日ほどのズレという
驚きの正確さとなります。
改暦される前の
“旧暦(太陽太陰暦/天保暦)”は、
地球が太陽の周りを1年かけて
公転するのは“太陽暦”と同じですが
当時の1カ月の基準となるのは、
新月から次の新月までの
月の満ち欠けです。
つまり、新月の日を月の最初の日
(朔日)と定めましたが月の周期は
約29.5日なので、1年は約354日に。
そこで、暦と季節のズレが
約ひと月分に近くなると、
閏月を入れて1年を13カ月で
調整していました。
平均して19年に7回程度の割合で
閏月が設けられたとのことです。
この暦と季節のズレを正す
手がかりとなったのは
“二十四節気”です。
古代中国では、すでに
確立されていました。
それが日本に伝わったのですが、
温暖気候の日本と
大陸気候の中国とでは、
やや季節感が異なるため、
制定する際に日本らしい補足説明を
盛り込みました。
とくに、ひとつの節気を3等分した
“七十二候”では、日本独自の
季節感が色濃く反映されています。
この“二十四節気”で、とりわけ
重要なのが、“夏至”“冬至”の
二至と、“春分”“秋分”の二分を
併せて“二至二分(にしにぶん)”で
これらは、太陽の位置や昼夜の長さに
基づくもので、世界中どこも同じで、
過去も現在も同じ不変な節気で、
ほかの節気などを決める
基準になります。
ご存知のように、“夏至”は
昼の時間がもっとも長く、“冬至”は
逆に夜の時間がもっとも長い日です。
そして、“春分”“秋分”は、
昼夜の時間が同じとされていますが、
実際は昼の時間が10分ほど長いのを
ご存知でしょうか。
これは、太陽の光が地平線に出た瞬間
を“日の出”、太陽が地平線に
沈みきった瞬間を“日の入り”と
定めているためです。
本来なら、太陽が地平線に沈み始めた
瞬間を“日の入り”とすれば
昼夜の時間は同じになります。
つまり、太陽1個分の動く時間だけ
昼が長くなる計算です。
一方、日付に紐づいた七夕や
お盆などは“旧暦”“新暦”で、
どうしても時期のズレが生じます。
そのズレを調整するために、
2011年(平成23年)、
日本気象協会により、
現在の気候に合わせた
“21世紀の二十四節気”制定に向けた
取り組みが行われましたが、
これまでに定着してきた
微妙な季節感を混乱させるとして、
翌年にはその計画が中止に。
この取り組み以前から、
昔のままの“二十四節気”との
共存を表す言葉として、
ニュースでよく耳にする
“暦の上では…”という前置きが
使われています。
意外と、そっちの方が
しっくりとくるのかも知れません。
「秋分の日」は、祖先を敬い、亡くなった人を偲ぶ日です。
この“二十四節気”で、
とても重要な役割ともいえる
“夏至”“冬至”
“春分”“秋分”なのですが、
祝日なのは
“春分”“秋分”のみです。
「春分の日」「秋分の日」ともに、
1948年(昭和23年)に制定された
「国民の祝日に関する法律」で
規定されました。
さらに遡って、1927年(昭和2年)に
制定された「休日ニ関スル件」に
規定されていた“春季皇霊祭”
“秋季皇霊祭”が、
それぞれ改称されたものなのです。
この“皇霊祭”とは、歴代の天皇、
皇后両陛下を祀る儀式のこと。
“彼岸”に由来する儀式で、
宮中行事として特別大きな行事
ということもあり祝日となりました。
この由来となった“彼岸”には、
極楽浄土やあの世という
意味があります。
極楽浄土は西の彼方にあり、
太陽が真東からのぼって真西へ沈む
「春分の日」「秋分の日」は、
この世(此岸)とあの世(彼岸)が
通じやすい日と考えられ、
先祖供養をするようになりました。
また、別のとらえ方として、
「春分の日」には、春の訪れを祝って
自然をたたえ、生物を慈しむ日という
意味があり、一方、「秋分の日」は
祖先を敬い、亡くなった人々を偲ぶ日
という意味合いが強いとされています。
“夏至”“冬至”には、
こうした行事に関わる背景がないため
祝日にはなっていません。
“暑さ寒さも彼岸まで”という言葉で
表現されるように、「秋分の日」
を境に気候は秋めいてきます。
とくに朝夕、
めっきり涼しくなるこの季節は、
熱燗が恋しくなる季節ともいえます。