早いもので今年もあと2カ月。
ちょっと気は早いですが、
今回は
お正月の縁起物の代表格ともいえる
「七福神」について、
ひと足お先に紹介します。
年賀状の図案モチーフなど、
年に一度、目にする頻度が高まるのが
「七福神」です。
「七福神」は、日本に代々伝わる
七人の神様が宝船に乗って
福を届けにくると思いがちなのですが
日本の神は、
西宮・鳴尾の漁師が
漁業の神様として祀っていた
“恵比寿天”のみ。
平安時代になり、
最澄が比叡山で
インドのヒンドゥー教のシヴァ神を
財福の神“大黒天”として祀り始め、
平安以降に
京都鞍馬で信仰されていた
“毘沙門天”が加わって、
三神信仰がまず定着しました。
“毘沙門天”も
インドのヒンドゥー教の神で、
別名“多聞天”と称される
四天王のひとり。
武将の姿で福を運びます。
鎌倉初期辺りに、
近江・竹生島で信仰されていた
インドのヒンドゥー教をルーツとする
“弁財天”が知恵や財宝、
縁結びの女神として加わりました。
その後、室町時代になってから、
弥勒菩薩の化身ともいわれる
富貴繁栄を司る中国仏教の神
“布袋尊”、
中国の道教にルーツを持つ
長寿延命の神“寿老人”、
同じく道教にルーツを持つ
長寿幸福の神“福禄寿”が加わり、
室町末期にそれらをまとめた
七柱の神仏の集合体である
「七福神」が確立。
江戸時代になって
広く定着していきました。
この七人のメンバーは、途中、
吉祥天やお多福、福助、稲荷神、
猩猩、達磨大師、不動明王などの
別の神と入れ替わることも
何度かありましたが、
結局、もとの七人に戻って
今に至っています。
また、日本の「七福神」に似た
インド起源の「八福神」という信仰が
中国に伝わり、
実在した八人の仙人をまとめた
「八仙」が、
中国各地で信仰の対象として
祀られたといいます。
この「八仙」をモチーフにしたのが、
ジャッキーチェンの出世作「酔拳」。
「八仙」一人ひとりの名を冠した
酔八仙拳を繰り出す様は圧巻で、
日本でも大きなブームを
巻き起こしました。
「十日戎」と「酉の市」。東西の商売繁盛の願掛けは、明確に分かれています。
さて、「七福神」のひとりで、
唯一の日本の神様である
「恵比寿天」は、
いわずと知れた商売繁盛の神様。
毎年1月10日に開催される
「十日戎(とおかえびす)」は、
9日の“宵えびす”、
10日の“本えびす”、
11日の“残り福”の3日間で、
約100万人以上もの人が訪れる神社が
あるともいわれるポピュラーな行事です。
参拝の後、
さまざまな縁起物を吊るした
福笹や熊手を買い、
次の「十日戎」まで
1年間のご利益を願うのが
お決まりの参拝スタイル。
また、全国3500社ある
“えびす神社”を束ねる総本山が
兵庫県の西宮神社で、
酒どころの灘五郷とも深い関係があり
毎年、繰り広げられる
“開門神事福男選び”は、
季節の風物詩として
全国区のニュースになるほど有名。
とはいえ、“日本三大えびす神社”
とされる「西宮神社(兵庫)」や
「今宮戎神社(大阪)」、
「京都ゑびす神社(京都)」を中心に、
かなりの賑わいを見せるのは、
やはり大阪、兵庫、京都に点在する
「えびす神社」のようです。
「十日戎」と同じ意味合いの
年中行事として、
名古屋以東の地域、
とりわけ関東エリアを中心に
商売繁盛を願って行われているのが
「酉の市」です。
全国の鳥信仰のある神社仏閣で
行われている行事で、
11月の“酉の日”に開催されます。
十二支が
“日”に順に割り当てられているので
多いときでひと月に3回
“酉の日”が巡り、
1回目を“一の酉”、
2回目を“二の酉”、
3回目を“三の酉”と呼びます。
昔から“三の酉”まである年は
火事が多いという言い伝えがあり、
今年の11月にも3回“酉の日”がある、
いわゆるあたり年。
11月4日が“一の酉”、
11月16日が“二の酉”、
そして11月28日が“三の酉”に
あたるため、火の元には
十分気をつける必要がありそうです。
「酉の市」で有名なのは、
発祥とされる
大鷲神社(東京・足立区)や
関東三大酉の市に数えられる、
鷲神社(東京・台東区)、
花園神社(東京・新宿区)、
大國魂神社(東京・府中市)と、
どれも東京都内ばかり。
しかし、
大鳥信仰の総本山とされるのは、
大阪・堺の「大鳥神社」というから、
やや不思議な感じもします。
もちろん、
ここでも「酉の市」の賑わいを
体感することはできます。
新型コロナ禍で、
商売は大小に関わらず、
少なからずその影響を受けています。
関東エリアの方は11月の「酉の市」、
関西エリアの方は来年1月の
「十日戎」に出向き、
初心に戻って商売繁盛の願掛けを
行ってみてはいかがでしょうか。