ネット環境の充実が導いた「おせち料理」市場の拡大。まだまだ続きそうです。
毎年、秋頃から
「おせち料理」商戦は
スタートします。
「おせち料理」の市場規模ですが、
一説では約718億円という
試算があります
(東京・富士経済調べ/2021年)。
平均単価を約10,000円とした場合、
718万セットになる計算。
独身世帯も含めた
一般世帯総数4885万世帯なので、
約7軒に1軒は、「おせち料理」を
購入していることになり、
この試算の数値は
妥当なものだと納得がいきます。
また、新型コロナ前と比べると、
「おせち料理」の市場規模は
増加傾向にあります。
これは、新型コロナ禍による
密を避けるための外出自粛
というのが大きな要因
ともいえるでしょう。
この2年間は、
年末年始の海外旅行や
国内の温泉旅行、
実家への帰省はもちろん、
外食すらままならない
全国的な巣ごもり状態に。
これらにあてていた
予算を使えることで、
料理の匠プロデュースに
よるものや伊勢エビ、
キャビアなど高価な食材を
ふんだんに使った
高級志向の「おせち料理」を
選ばれる方も多かったとか。
また、「おせち料理」市場は、
新型コロナ以前から、
拡大傾向にありました。
SNSをはじめとする
ネット環境の急速な進化によって、
販売業者はネットを通じて、
個別に「おせち料理」の
情報発信が行え、またスマホで
気軽に注文できるように。
こうした背景を受けて、
全国津々浦々にまで
物流ネットワークが
整えられていたことも
「おせち料理」市場拡大に
大きく貢献したといっても
過言ではありません。
その昔、百貨店の
地下食料品売り場や仕出し屋、
市場の総菜店で、
重箱に詰める惣菜単品を
いくつか購入する程度だったものが、
現在では、「おせち料理」の食材が
彩り豊かに並べられ、
購入した重箱を模したトレーのまま
食卓に…という時代。
「おせち料理」の販売も、
百貨店やスーパーはもちろんのこと、
老舗ホテル、老舗旅館、コンビニ、
弁当チェーン、老舗料亭、
レストランチェーン、
テレビショッピングなど、
さまざまな業種が参入し、
実店舗だけでなく、
ネット通販などでも気軽に
購入できるようになりました。
販売競合が増えたことへの
対策として、より早い
顧客確保を狙った
早期予約割引特典の
設定などにより、
「おせち料理」の
予約開始時期も
年々早くなっています。
また、
ふるさと納税の返礼品や
郵便局のネットショップ、
鮮度を保った冷凍おせちなど、
新しいスタイルの
「おせち料理」も登場。
皮肉にも新型コロナの自粛で
急速に拡大した
「おせち料理」市場ですが、
新型コロナ自粛がない
2023年(令和4年)の市場動向が
どうなるのか、注目されています。
起源は古いが、「おせち料理」と呼ばれるようになったのは、戦後になってから。
さて、
「おせち料理」の起源は
弥生時代にまで遡ります。
古代中国からもたらされた
暦の季節の変わり目である
“節”に由来します。
収穫した作物を神様に
お供えする“節供(せちく)”という
風習が始まりとされています。
それが定着したのは
奈良から平安にかけての時代で、
邪気を払い、不老長寿を願う
宮中行事として、五節句を祝う
“節会(せちえ)”が執り行われ、
“御節供(おせちく)”
と呼ばれるお祝い料理が
振る舞われたといいます。
このときの五節句は、
現在のものとは異なり、
元旦(1月1日)、
白馬(あおうま/1月7日)、
踏歌(とうか/1月16日)、
端午(たんご/5月5日)、
豊明(とよのあかり
/11月新嘗祭翌日の辰の日)
を指しています。
時代は移り、江戸に。
五節句は現在の人日(1月7日)、
上巳(3月3日)、端午(5月5日)、
七夕(7月7日)、重陽(9月9日)
へと変わり、新年を迎える
もっとも大切な人日の料理が、
いつしか料理の一つひとつに
意味が込められた
“正月料理”として
定着していきました。
また、重箱に詰める様式が
確立したのは江戸末期から
明治にかけてのこと。
意外にも、「おせち料理」と
呼ばれるようになったのは
第二次世界大戦以降のこと。
それまでは、
“食積(くいつみ) ”や
“蓬莱(ほうらい)”と
呼ばれていました。
終戦後にデパートで重箱入りの
“正月料理”を「おせち料理」
という名前で売り出したことが
キッカケで「おせち料理」という
名前が全国に広まったようです。
もともとは、
和風の「おせち料理」なのですが、
海鮮づくしや会席仕立て、
寿司膳、和洋中オードブル、
さらにはスイーツ重など、
「おせち料理」はどんどん美味しく、
多様化し続けています。
旨い酒と「おせち料理」で、
美味しい豊かな新年をお迎えください。