住環境の変化により、“コタツでミカン”の習慣も薄れつつあります。
“コタツでミカン”は、
昔ながらの定番ともいえる
冬の風物詩のひとつです。
しかし、
コタツの市場規模は
昔とくらべると減少傾向に。
これは、
生活スタイルの変化が
大きく関係しているようです。
昭和から平成にかけて、
土地が必要な戸建て住宅から、
高さを競うかのように
上へと伸びる集合住宅へと
住環境は大きく変化。
昭和の“畳の暮らし”から、
テーブルに椅子、ソファー
という“LDKの暮らし”へ…
純和風から和風モダンや
洋風スタイルへと、時代とともに
大きく変わっていきました。
冬の暖房について、
マンションなどの集合住宅は
気密性が高く、部屋全体を
快適に暖めてくれるエアコンが
主流となっています。
現在も一定数の
コタツ利用者はいるものの、
部屋全体が暖かいので、
コタツ本来の目的は薄れ気味です。
また、
ミカンの市場規模についても、
なだらかながら
減少傾向にあります。
これは果物を含む
スイーツ市場全体の多様化による
消費量の減少に加え、
ミカン農家を継ぐ
後継者不足問題も大きく影響し、
栽培面積や生産量も
年を追うごとに
少なくなっているようです。
とはいうものの、
長年にわたって続けられてきた
馴染み深い“コタツでミカン”の
習慣が、そう簡単に
なくなった訳ではありません。
たとえば、コタツ。
冬のバタバタした朝など、
コタツで朝食を済ます家庭も
少なくありません。
食後にコタツに入って
うたた寝というのも
至福のひととき。
暖房の主流とまではいえませんが、
コタツ文化は、根強く
残り続けて欲しいものです。
一方、ミカンも
品種改良によって
昔よりも格段に糖度が高く
美味しくなっています。
果物の消費量ランキングでは、
バナナ、リンゴに次いで
第3位の消費量を誇っているものの、
昔とくらべると果物の種類も増え、
好みの多様化によって
全体的な消費が分散している
というのが実情のようです。
“コタツでミカン”は、
足元の冷えを解消して
血行をよくすることで
身体全体の冷えを和らげる
“頭寒足熱”の環境をつくり、
そこでビタミンCを多く含んだ
ミカンを食べることにより、
風邪を予防するという、
理に叶った習慣といえます。
ミカンの親戚にあたるキンカンで、冬場の栄養補給を。
さて、ミカンについて、
剝いて捨てる皮にこそ
栄養があるという話を
聞いたことはありませんか。
みかんの皮を
“外果皮(がいかひ)”と呼び、
高い栄養素を含んでいます。
もちろん、
普段食べている実の部分にも
風邪予防や肌荒れに
効果が期待できる
ビタミンCをはじめ、
便秘改善の作用があるペクチンなど
栄養価は豊富です。
ミカンの“外果皮”にも、
強い抗酸化作用のある
βークリプトキサンチンをはじめ、
抗炎症作用のあるヘスペリジン、
βカロテン、ビタミンC、
ビタミンE、食物繊維などの
豊富な栄養素が含まれ、
実と皮の間にある
白い筋“アルベド”にも
ヘスペリジンと呼ばれる
ビタミンPが多く含まれています。
ミカンは甘く
品種改良されているので、
そのまま食べても
皮の酸味や苦味が加わり、
慣れれば柑橘類ならではの
味や香りを楽しめるようになります。
国産ミカンであれば、
しっかりと水洗いすればOK。
そのまま食べるのは
チョット苦手という方は、
ミカンジュースにしたり、
ミカンジャムもオススメです。
さらに、
この時期に食べたいのが
キンカンです。
大きく柑橘類に分類されますが、
ミカン属とは異なる
キンカン属という別の分類。
風邪の予防はもちろんのこと、
喉の炎症などにも
効果が高いとされる栄養の宝庫。
苦味があるイメージですが、
甘く完熟したものや
甘みを強く品種改良したものなど、
スーパー店頭で売られています。
皮ごと食べるのが
一般的なキンカンは、
別名“食べるビタミン剤”。
ミカンが持つ栄養価に加え、
果物としては珍しく
カルシウムを多く
含んでいるのが特徴です。
そのまま生食でもいいのですが、
相性のいいハチミツに漬け込めば、
より高い栄養価が期待できます。
皮がついたまま
輪切りにしたキンカンを
ハチミツに漬け込んで
1日冷蔵庫に寝かせれば完了。
輪切りにする際、
ヘタや種を取り除くのを
お忘れなく。
キンカンのハチミツ漬けを
お湯で溶いて飲んだり、
ヨーグルトにかけて食べるだけで、
キンカンの栄養価を
丸ごと摂取できます。
“コタツでキンカン”。
新しい習慣になりそうな気がします。