夏の甲子園や贔屓チームの球場観戦。テレビとは醍醐味が違います。

少年野球時代から育まれたマナーや礼儀は、プロになっても実践されています。

連日、熱戦が繰り広げられている
全国高校野球・夏の甲子園大会も
間もなく佳境に。

地方大会を勝ち進んで
県の代表として甲子園に出場し、
全国約3700校の頂点に
辿り着くまでの道のりは
かなり険しく苦しいものです。

そして毎年、憧れのプロに進めるのは
甲子園常勝校を中心に
約40人前後の高校球児のみ。

同じくドラフトで選ばれた
大学生をはじめとするルーキーたちと、
1軍のレギュラー定着をめざして
しのぎを削ります。

故障による戦線離脱や
戦力外通告による解雇など、
ある程度の年齢まで
プロ野球選手として活躍できるのは、
ほんのひと握りです。

ここに、
「働きアリの法則」というものがあります。

よく働くアリが2割、
普通に働くアリが6割、
働かないアリが2割
に分かれるという理論です。

このよく働くアリばかりを集めて
集団をつくった場合、
さぞや働き者の集団ができるかというと、
意に反して、その集団は、
よく働くアリ2割、
普通に働くアリ6割、
働かないアリ2割の構成になり、
働かないアリだけで集団をつくった場合も、
その中からよく働くアリ2割が発生します。

この理論をプロ野球に置き換えた場合、
FAによって他球団の4番打者や
エース級ピッチャーを大量に補強した場合、
強力なクリーンアップ(3番・4番・5番打者)
は生まれますが、
期待したほどの
繋がる重量打線にはならない
と理論づけられます。

実際に、移籍後、
期待されたほどの活躍が見られないケースが
多いのかもしれません。

さて、野球の観戦時によく目にするのが、
さまざまな挨拶シーンです。

バッターが最初の打席に入る際に
球審や相手チームのキャッチャーに
“よろしくお願いします”と声をかけ、
ヘルメットのツバをつまんで一礼。

ヒットを打った時は、
陥れた塁上で近くの塁審に声をかけ一礼。

相手チームのその塁を守る選手から
“ナイスバッティング”
などの声をかけられた時は
“ありがとう”の言葉と一緒に一礼。

これは多くのプロ野球選手が
少年野球時代に教えられた
礼儀やマナーがそのまま受け継がれています。

FAなどで他チームに移った選手が
ヒットを打った時に、
元チームの1塁手と言葉は交わさないものの
グローブでボディコンタクトを取るなど、
敵味方に別れても
意外と関係は悪くないようです。

また、高校や大学時代のチームメイト、
先輩後輩などの仲間意識や
縦社会のつながりも強く、
チームを超えた強い絆があります。

ファンにとっては贔屓チーム以外の選手は
すべて敵ですが、
実際に野球をやっている選手にとっては
好敵手。

ひと昔前は乱闘シーンもよく見かけましたが、
いまはヒリつく場面はあるものの、
乱闘に発展するのは
激昂した外国人選手がらみがほとんど。

ライバルに対するリスペクトと
自分を磨く意識が、
WBC優勝へと導いた原動力かも知れません。

球場に、実際に足を運んで、
臨場感や
テレビに映し出されないマナーを観るのも
楽しみ方のひとつといえます。