世界から絶賛されたそのプレースタイルとマナー。パリ五輪での活躍が期待。
オーストラリア・ニュージーランド
共催の女子ワールドカップで、
日本女子サッカーチーム
「なでしこJAPAN」は、
惜しくもベスト8で大会を終えました。
開催直前まで
日本での放送日程が決まらず、
NHKが日本戦を地上波で放送したのは
予選第3戦のスペイン戦からで、
それまではBS放送のみ。
今回の女子ワールドカップは、
事前の応援告知も希薄で、
日本国内での
盛り上がりに欠ける印象は
否めません。
しかしその分、
海外メディアや
FIFA運営組織などのコメントが
ストレートに届き、
今大会における「なでしこJAPAN」の
存在の大きさを実感できます。
海外メディアや海外チームからは、
“個人の技術はトップクラスに並び、
鉄壁のディフェンスラインから
繰り出すカウンターなど、
試合展開に応じた
柔軟な戦い方が脅威”と、
進化したその高い技術を評し、
FIFAのインファンティーノ会長は
SNSで
“今回の大会が史上最高の
FIFA女子ワールドカップに
なったことへの貢献は、
フィールド内外で誰もが忘れない”
と異例ともいえる感謝メッセージを
日本チームに贈りました。
辛口コメントで知られる
元日本代表の内田篤人は
MFの長谷川唯の
足首で切り返すドリブルや
回転をかけて落とすボールを
“一緒に日本代表でプレーした
長谷部誠より巧い”と絶賛。
MFの宮澤ひなたは5得点を挙げて、
得点王に贈られる
“ゴールデンブーツ賞”
に輝きました。
これは、
日本が優勝した2011年ドイツ大会の
澤穂希以来、日本人2人目の快挙。
また、予選4試合をすべて
無失点で切り抜けて、
決勝リーグへと駒を進めたことも、
高いポテンシャルの証といえます。
「なでしこJAPAN」が、
世界から好かれる魅力のひとつに
品格のあるフェアプレーがあります。
とくに今回の大会は
VAR(ビデオ検証)導入もあって
悪質で危険なラフプレーが目立つ中、
予選リーグで敗退したチームを含めた
全32チームで、唯一、
警告(イエロー)と
退場(レッド)がなく、
ファウルも予選4試合でわずかに20回。
他チームと比べると小柄な選手が多く、
フィジカルで劣るため、
相手に触れない、
触れさせない戦い方は
清々しさすら感じられます。
そうした試合運びは、
チームを超えたアスリートとしての
深い交流に。
対戦後に相手チームと、
笑顔で讃え合うシーンを
幾度となく目にしているはずです。
さらに、「なでしこJAPAN」に限らず、
国際大会でいつも話題になるのが、
日本の選手と観客のマナーの良さ。
試合後にゴミを拾い集める
サポーターの姿は恒例で、
選手たちも
使用したロッカールームを
綺麗に片付け、
感謝のメッセージや
心を込めて折った折り鶴が
必ずといって良いほど
添えられています。
戦うグランドを神聖な場所ととらえ、
その場所で戦えることへの感謝や
戦う相手への敬意など、
そんな気持ちを胸に抱くからこそ、
もっと強くなるものと思われます。
その聖地に再び舞い降りる、
次の舞台はパリ五輪。
さらに進化した
「なでしこJAPAN」の活躍への期待は
高まるばかりです。