サンマの漁獲量が激減していますが、それでも家計に優しい旬の味覚です。

産卵前の旬のサンマは、秋が旬。熱燗との相性は抜群です。

まだまだ夏の暑さは残るものの、
朝夕の風に涼しさを
感じる季節となりました。

とくに肌寒く感じる夜に
いただく熱燗は格別です。

旬を迎える秋の味覚を肴に
至極のひと時といきたいところ。

暑い夏を乗り切り、
やや涼しくなった秋の気候とともに、
夏バテで疲れた身体が
本能的に栄養を補うかのように訪れる
“食欲の秋”。

もしかすると、秋に食欲が増して、
食べ物を一層美味しく感じるのは、
自然の摂理なのかも知れません。

そんな秋の味覚の
代表格ともいえるのが、サンマです。

サンマは太平洋の真ん中に位置する
ハワイ諸島北の海域辺りに生息。

秋になって産卵のために
回遊する群の一部が
日本近海を通過するのを狙って
一斉に漁獲するのが、
秋のサンマです。

この時期にしか獲れない
産卵前のサンマは、
脂がのって肉厚で栄養たっぷり、
まさに旬の美味しさが魅力です。

そんなサンマですが、
ここ近年不漁が続き、
その原因はいくつか挙げられます。

冷たい水温を好むサンマは
北海道の東側から三陸に向けて
流れる親潮の潮流に乗って
日本の近海を回遊するのですが、
地球温暖化の影響で海水温が上昇して
北海道の東海域に
“暖水塊(暖かい海水域)”エリアが
広がったことでサンマの回遊ルートが
日本近海から遠ざかったことが
ひとつめの理由です。

またサンマの寿命は約1〜2年と短く、
産卵した卵の生き残る数によって
漁獲資源の量が決まりますが、
調査を開始した2003年(平成15年)は
467万tの漁獲高だったのに対して、
2022年(令和4年)には
1万8000tあまりにまで
落ち込んでいます。

この原因はマイワシが増えたから
という説が有力です。

マイワシは、サンマと同じ
プランクトンを餌にしているため、
サンマ本来の生息エリアから
追いやられて、分布域が狭まり、
繁殖の絶対数が大きく減っているとの
見方が有力です。

さらに、世界全体の漁獲量の
約80%は日本の独占状態でした。

光に集まるサンマの習性を利用して、
誘導灯でサンマを集めて網に追い込む
“棒受け網漁”という漁法により、
日本近海のものだけを
夜間に獲る日帰りなので、
主に中型船での操業。

しかし、近年になって、
中国や台湾、ロシアが冷凍設備を
備えた大型漁船で公海にまで
進出するようになり、
サンマが日本近海に来るまでに
獲られるため漁獲量が
激減していのが実状。

ただしサンマの資源管理を話し合う
国際会議が開かれ、
年間の漁獲上限25万tで合意。

日本の漁獲上限は約11万8000tまで
承認されています。

かつて、安定した低価格で
流通することから
“物価の優等生”と称された卵は、
鳥インフルエンザの影響や
餌となる飼料の高騰から
1パック10個入りが200円前後から
300円超へと値上がりしました。

サンマも長きにわたって
“庶民の魚”として1尾70円台から
200円前後と高くなっていますが、
それでも高級魚とまではいかず、
家計をやりくりすれば
普通に手が届く価格帯です。

食生活が多様化し、
魚を食べる機会が以前と比べて
かなり減っている今、
脂ののった美味しい
旬のサンマをこんがりと焼いて、
熱燗の肴にいただくとしましょうか。