何もかも失った終戦直後、“負(マイナス)”の脅威であるゴジラが降臨。
空をつんざくような野太い咆哮から
少しでも遠くへ離れようと
逃げ惑う人々を描いたのは、
1954年(昭和29年)に
東宝特撮陣が
その技術を駆使して世に送り出した
「ゴジラ」のワンシーンでした。
その公開日である11月3日を記念して、
「ゴジラの日」が制定されました。
初代ゴジラが公開されたのは、
終戦から9年が経って
戦禍の傷も癒え、
街の復興を成し遂げた頃のお話、
娯楽として楽しむ余裕が生まれた人々は、
未知なる巨大生物である
ゴジラの登場に熱狂しました。
初代ゴジラは、
前の年に公開されたアメリカ映画
「原子怪獣現わる」をヒントに、
プロデューサーの田中友幸が
恐竜型怪獣が登場する映画づくりを構想。
特撮監督として白羽の矢が当たったのは
戦争特撮映画で実績を積んでいた
円谷英二。
1933年(昭和8年)、
アメリカで公開された
「キング・コング」で使われた
ストップモーション・アニメーションに
感銘を受けていた彼は、
ひとコマずつ動かして撮影をする
その技法を行う予定でしたが、
撮影期間や予算の都合により断念。
特撮ジオラマと着ぐるみによる
全体の滑らかな動きに加えて、
顔のアップシーンには小さなギニョール
(胴体に手を入れて指の動きで口を開閉)
を採用したことで、
生物感のあるリアルさが増し、
世界的なヒット作品となりました。
そして、着ぐるみと精巧な特撮ジオラマは、
日本のお家芸として
世界に認知されることになります。
もし、潤沢な予算と
余裕のある撮影期間があったら、
これほどまでの人気作品に
なっていたかどうかは
分かりません。
日本でも昭和ゴジラシリーズ、
平成ゴジラシリーズ、
ミレニアムゴジラと続きました。
そして近年、CGによるシン・ゴジラや
ハリウッド版ゴジラ、
2023年(令和5年)11月3日の
ゴジラの日に公開される
「ゴジラ -1.0(ゴジラ マイナスワン)」
へと、その思想は受け継がれています。
時代とともに、ゴジラの顔つきや体格、
人類の敵または味方など…
設定も大きく変わりました。
初代ゴジラの身長が50mという設定は
ずっと受け継がれてきましたが、
高層ビルが林立する現代において、
ビル群にゴジラが埋もれてしまうため、
平成ゴジラ辺りから60〜80m、
シン・ゴジラやハリウッド版ゴジラは
100mを超えるサイズへの
設定変更が行われています。
さて、生誕70周年に先駆け、
日本で製作30作品目となる
「ゴジラ -1.0」の見所は、
初代ゴジラが登場したのと同じ戦後の日本。
終戦直後、
焼け野原と化した東京を舞台に、
何もかも失った“無(ゼロ)”に、
追い打ちをかけるように
絶望を与える“負(マイナス)”の存在で、
脅威の象徴がゴジラ。
人の目線で見上げるカメラワークが、
これまでの“観る”から“体験する”映像となり
より一層の恐怖を与えます。
また、2023年度上半期の
NHK朝のテレビ小説「らんまん」で、
植物学者の夫婦役を演じた
神木隆之介と浜辺美波が主役というのも
面白い設定です。
つい先日まで、
二人の視線の先にあった“植物”が
“ゴジラ”に変わる11月3日以降、
二人がどんな演技をするのか、
期待は高まるばかりです。
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