日々口にする機会が多いのは“白鮭”。“秋鮭”の別名で、今が旬です。
日本で一般的に鮭といえば
“白鮭”を指し、
国内で水揚げされたものが
ほとんどです。
“白鮭”の国内シェアの
約8割を占める北海道は9〜10月、
青森は10〜11月、
岩手は9〜1月と、
旬の時期は微妙に異なります。
その身は淡いオレンジ色で、
他の鮭よりも薄い色をしていることが
名前の由来です。
“白鮭”は
水揚げされる時期などによって、
その名前が変わります。
産卵期前に
川へと戻ってきた“白鮭”は、
9〜11月頃に水揚げされ、
“秋鮭”の名前で全国へと流通。
脂は控えめで
あっさりした味わいの上、
引き締まった身に
うまみが凝縮されているのが
特徴です。
食卓で馴染みの深い
もっともポビュラーな鮭といえます。
お正月に出回る新巻鮭、
鮭缶、筋子などに加工されるのは、
主に“白鮭”です。
5〜7月頃、
海を回遊している時期に
水揚げされる“白鮭”は、
時期外れの意味を持つ
“時鮭(ときしらず)”
と呼ばれています。
この時期の“白鮭”は、
脂のりが非常によく、
身がやわらかくて、
旬の味わいとはまた違った
美味しさが魅力。
また、
“秋鮭”の水揚げ時に獲れるのが
“鮭児(けいじ)”です。
1万尾に1〜2尾しか獲れない
“幻の魚”とも称され、
主に知床の羅臼付近で獲れる
筋子も白子もない
未成熟な若い鮭のことをいいます。
ロシアのアムール川水域の鮭が、
日本の鮭漁の群れに巻き込まれて
捕獲されたもので、
羅臼漁協の認定書が
ついたものなら、
軽く1尾50万円を超え、
切り身1片でも
2〜3万円の値がつく
ブランド高級魚です。
高額取引されているのは
その希少性からだと
思われがちですが、
脂肪の割合が20〜30%と、
一般の鮭の3倍近くある
全身がトロのような
柔らかな口どけで、
旨さがギュッと凝縮され、
食通の中には
その濃厚な味わいを
毎年楽しみにしている方も
おられるとのこと。
これだけ
希少な食材に合わせるのなら、
同じ風格を備えた菊正宗の
「純米大吟醸 治郎右衞門」
がおすすめです。
残念ながら
今年の出荷は終了しましたが、
来年こそは“鮭児”を取り扱う
料亭などにお願いして、
旨い酒を持ち込んで、
ひとときの贅を
楽しんでみてはいかがでしょうか。
さて、
回転寿司の寿司ネタのひとつに
“サーモン”があり、
癖のない美味しさが
ファミリー層を中心に人気です。
その多くは
“トラウトサーモン(にじます)”で、
淡水魚の“にじます”を
海で養殖したもの。
以前は、老舗の寿司屋で
“サーモン”の取り扱いは
ありませんでした。
江戸前握りにおいて、
ネタの鮮度はもっとも大切なこと。
冷凍技術がなかった昔、
新鮮なネタが売りの寿司にとって
産地に近いことは
新鮮さを保つためにとても重要で、
東京湾で鮭が獲れなかったため
寿司ネタにはなりませんでした。
冷凍技術が整った現在はというと、
昔の伝統を重んずる
老舗寿司屋において、
国内産のネタしか扱いたくない
という体裁が
サーモンの取り扱いを
阻んでいたようです。
しかし回転寿司人気が
背中を押す形で、
レーンが回っていない寿司屋でも
サーモンの握りを扱う店が
増えてきました。
回転寿司、老舗寿司屋ともに、
そのベースにあるのは新鮮な魚を
美味しく食べるための
伝統技術です。
ならば、
それに合うのは
日本酒に他なりません。
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