景気が好ましくない今だからこそ、商売繁盛の願掛けを。
正月が明けてすぐの行事に
「十日戎」があります。
名前の通り“1月10日”に行われる
“恵比寿(戎/蛭子)様”に
商売繁盛を祈願するお祭りです。
“恵比寿様”は七福神のひとりで、
西宮・鳴尾で漁業の神様として
祀られていた唯一の日本の神様。
インドのヒンドゥー教から
財福の神“大黒天(シヴァ神)”と
武将姿の招福の象徴
“毘沙門天(多聞天/四天王のひとり)”、
知恵と財宝、縁結びの女神“弁財天”、
中国からは富貴繁栄を司る
中国仏教の神
“布袋尊(弥勒菩薩の化身)”、
中国道教の長寿延命の神“寿老人”、
長寿幸福の神“福禄寿”が
加わって七福神となり、さしずめ
幸福をもたらす戦隊ヒーロー
といったところでしょうか。
「十日戎」の由来は諸説あります。
江戸時代になり、
没落後の豊臣家を崇めている人々への
弾圧を強めていた徳川幕府。
それに対して、豊臣秀吉像を
“恵比寿様を祀っている”と偽って
恵比寿宮に隠して祀っていた風習が
やがて「十日戎」として庶民の間で
定着化したという説が有力です。
江戸の昔、関西の阪神地区は
商業の中心地として栄え、
古来、恵比寿様を祀っていた
西宮神社(兵庫)や
今宮神社(大阪)が
商売繁盛の神様としての信仰を集め、
「十日戎」として大きく発展。
1月9日の“宵戎”を皮切りに、
本番の10日が“本戎”、
その翌日の11日を“残り福”として
3日間行われることが恒例となり、
“えべっさん”の愛称で
主に関西以西を中心に
深く親しまれてきました。
3日間で約100万人以上もの
参拝客を誇るのが西宮神社で、
全国約3500社もある
“えびす神社”を一堂に束ねる、
まさに総本山の風格といえます。
関東以北にも
恵比寿信仰の拠り所となる
神社は多数ありますが、
もともと農業人口が多く、
商業色の色濃い関西とは
まったくの別のお祭りです。
関東以北では“えびす講”という
呼び名で親しまれていて、
その多くは10月20日に
行われることが多いことから
「二十日戎(はつかえびす)」とも
呼ばれています。
しかし、関西ほどの
盛り上がりには届きません。
また、「十日戎」とよく似た
関東地区の商売繁盛のお祭りといえば、
毎年11月の酉の日に開かれる
“酉の市”。
“福をかき集める”
“金運を掻き寄せる”ための縁起物として
招福の飾り物を付けた熊手を買うなど、
商売繁盛祈願という趣旨は同じです。
この縁起物の熊手ですが、
関西の熊手は爪が向こう側、
関東の熊手は爪がこちら側に向いてる
という違いがあることは、
あまり知られていません。
関西以西では「十日戎」、
関東以北では「酉の市」もしくは「えびす講」
という独自の発展を遂げていたため、
長年それぞれを知らずに
お祭りが行われてきました。
しかし、
「十日戎」の10日の早朝に
境内を駆け抜ける
“開門神事福男選び”が
毎年ワイドショーなどで
取り上げられるようになり、
「十日戎」は全国区の話題に。
景気が好ましくない昨今、
「十日戎」の福笹で福を授かり、
2024年(令和6年)を
より明るい年にしたいものです。
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