残暑が続く9月。ここはひとつ、怪談やホラーで納涼のひとときを。

混同しがちな、お化け、幽霊、妖怪の定義。

9月に入ってもまだ残暑は厳しく、
秋の穏やかな気候に癒されるのは
もう少し先になりそうです。

そんな中、猛暑や熱帯夜を和らげる
夏の風物詩として
怪談や幽霊話などがあります。

恐怖で背筋が凍りつき、
暑さを一時的に忘れるからだと
思われがちですが、
実は別の理由があります。

江戸時代、お盆の時期には、先祖の
霊とともに恨みを抱いた怨霊も
この世に戻ってくると
考えられていました。

その怨霊を成仏させるために
「盆狂言」が上演され、
その影響を受けながら、
怪談や残忍な演目で
人気を集めたのが歌舞伎の
夏の興行「涼み芝居」です。

古来、
死や幽霊、妖怪などに関する物語は
神話や土着信仰として根付いており、
平安末期の「今昔物語集」や
鎌倉前期の「宇治拾遺物語」など、
古い文献には数多くの
怪談話が収録されています。

怪談話が庶民に広まったのは
江戸中期から後期にかけてのこと。

古典文学を題材にまとめた
上田秋成の読み本「雨月物語」、
歌舞伎狂言や浄瑠璃、
大衆演劇の演目として人気を博した
「東海道四谷怪談」や「番町皿屋敷」、
四代目鶴屋南北、初代林屋正蔵や
三遊亭円朝など落語の怪談噺として
庶民を惹きつけた「牡丹灯籠」など、
現在も語り継がれる怪談が
確立されました。

昭和に入って以降、
映画やテレビなどで映像化されることで、
より広く庶民の娯楽として
広まったともいえるでしょう。

昭和から平成へと時代が移り変わる中、
1988年(平成10年)に映画化された
「リング」は、のちに続く
新しいジャパニーズホラーの
火付け役となった作品です。

数年後にはほぼ同じストーリーで、
ハリウッドでリメークされるほど
大きな話題を呼びました。

しかし、呪いの化身である
貞子(米版はサマラ)の描かれ方は
日米で大きく異なります。

怪談の流れを汲んで
精神的な怖さが迫り来る貞子と
ゾンビ風のアレンジがなされた
サマラの恐怖。

日本と欧米との生活スタイルや
宗教観の違いを反映しており、
恐怖の質が大きく異なる
とても興味深い作品といえます。

混同しがちですが、
お化けや幽霊は霊的な存在で、
この世に残した恨みで成仏できない
死んだ人が生前の姿で、
対象者の前に現れます。

一方、
妖怪は人が心に思い描いたイメージ、
神が姿を変えたもの、
不思議な自然現象などの象徴で、
地域で語り継がれた伝説などが
基になっています。

妖怪伝道の第一人者は
漫画家・水木しげるで
「ゲゲゲの鬼太郎」の作者として
あまりにも有名です。

全国各地に伝わる妖怪にまつわる
伝説や言い伝えを
漫画というスタイルで描き、
アニメ化されたことで、子供を中心に
妖怪への認知は瞬く間に
全国へと拡がりました。

子供時代に誰もが一度は
「ゲゲゲの鬼太郎」を観て
育っていることもあり、
水木が描いた妖怪は
知れわたっています。

主人公の鬼太郎の仲間として
脇を固める、子泣き爺、砂かけ婆、
一反木綿、ぬりかべに対峙する
悪い妖怪の総大将「ぬらりひょん」など、
シルバー世代とその孫世代が
共通の話題で熱く語り合える
珍しい世界観が大きな魅力といえます。

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