過去のエチゼンクラゲ大量発生による被害総額は、100億円にも。
11月6日の松葉ガニ解禁日が
近づく中、日本海沿岸では
思わぬ異変が発生しています。
その異変とは、
能登半島西沿岸から兵庫、
鳥取にかけて、日本海沖で
エチゼンクラゲが大量に
発生していることです。
エチゼンクラゲの大量発生は、
15年前の2009年(平成21年)にも
報じられ、その際は
漁獲量の減少や漁網の修理費用が
100億円に達するなど、
大きな被害をもたらしました。
エチゼンクラゲは最大級のクラゲで、
傘の直径が2mを超えることもあり、
その重さは約200kgにも達します。
大量発生時には、
直径1mほどのクラゲが海面近くに
大量に浮かんでいる姿が頻繁に
目撃されることも少なくありません。
今年の8月中旬以降、
鳥取県などの日本海沿岸での漁業に
深刻な影響が出ており、
小型漁船の操業では、
クラゲの重みで網が破れたり、
漁獲された魚が傷んで
商品価値が下がるなどの
問題が発生しています。
そのため、漁師たちは
出漁を控えるケースが
増えていました。
この事態を打開するために、
鳥取県漁協は9月半ばから漁を休み、
クラゲの駆除作業を開始。
駆除方法は2隻の船で網を引き、
そこにかかったクラゲを
水圧で粉砕するというものです。
この作業は1日8時間もかかり、
水揚げができない日が続くため、
漁師たちにとっては
大きな打撃となっています。
とくに、11月に解禁される
松葉ガニ漁への大きな影響が
懸念されるところです。
クラゲが深海に移動し、
カニ漁の網に大量にかかると、
その重さで漁網が破損したり、
漁師たちがクラゲを取り除くための
時間や労力が増え、
漁の効率が著しく低下します。
また、クラゲの触手に絡んだ
カニが傷ついたり、
死んだりすることで、
漁獲されたカニの品質が下がり、
商品価値が下がるのも
大きな打撃です。
カニ漁師たちにとっては
依然として大きな課題が
残されています。
エチゼンクラゲが
大量発生する原因としては、
いくつかの要因が考えられます。
まず、
温暖化による海水温の上昇が
クラゲの繁殖を
活発化させていることです。
これにより、
クラゲの生息範囲が広がり、
発生頻度も増加していると
考えられています。
また、
クラゲが生まれる中国沿岸部での
農業や都市からの栄養塩
(窒素やリン)の排出が増加し、
それがクラゲの餌となる
プランクトンの増加をもたらします。
さらに、過剰漁業により
エチゼンクラゲの幼生を
捕食する魚が減少し、
天敵が少なくなることで、
クラゲの生存率が上がるのも
一因です。
さらに、海洋では、
デッドゾーンと呼ばれる
低酸素状態のエリアが一部で拡大。
こうした環境に適応する
クラゲが他の生物に競り勝つ状況が
増えているという訳です。
今年のカニ漁の成否は、
エチゼンクラゲの数がどれだけ
抑えられるかにかかっています。
今後の海水温の低下と
効果的なクラゲ駆除対策が、
カニの豊漁を左右する
重要な鍵となります。
漁師たちにとって、
エチゼンクラゲとの戦いは、
まだ序章に過ぎません。