食卓を彩る日本の焼き物。使い勝手はもちろん、アートな魅力もふんだんに。

陶器、磁器、炻器、土器。それぞれの歴史が紡ぐ個性豊かな機能性。

寒さが厳しくなった冬の夜、
湯気が立ち上る鍋料理と
熱燗で晩酌を楽しむ時間は、
心も身体も温まるひとときです。

鍋や銚子、猪口など、
テーブルを彩る食器をよく見ると、
日本の焼き物の
バラエティ豊かな魅力が
詰まっていることに気づきます。

焼き物の総称として
“陶磁器”
という言葉がよく使われますが、
陶器、磁器以外にも、
炻器(せっき)、土器があります。

もっともポピュラーな
「陶器」の主な原料は
陶土と呼ばれる粘土で、
柔らかい質感と暖かい手触りが、
湯呑みや茶碗にぴったり。

有名な益子焼や丹波焼は、
素朴で使いやすい
日常の食器として親しまれています。

一方、「磁器」は
石を主原料にしているため、
硬くて薄く、
光沢があるのが特徴です。

有田焼や九谷焼は
その美しい繊細な絵付けと
透けるような白さが魅力で、
特別な食卓を彩る場面でも
大活躍します。

「炻器(せっき)」の
主な原料は鉄分の多い陶土などで、
釉薬をかけずに焼かれることが多く、
陶器と磁器の中間のような
性質を持っています。

耐熱性が高く、
厚みのある堅牢なつくりや
ザラっとした無骨な質感が魅力で、
とくに土鍋や耐熱容器として活躍。

一般的に、信楽焼や備前焼は
陶器に分類されていますが、
釉薬を使わず高温で焼成される
焼締め陶器である性質などから
炻器に分類されることもあります。

「土器」は、焼成温度が低く、
素焼きの状態で仕上げられる焼き物で、
古代の縄文土器や弥生土器などの
考古学的遺物の側面が強い焼き物です。

梅干しの壺や
水を入れる甕(かめ)などは
現在もつくられています。

これらの素材ごとの特徴を知ると、
焼き物がどれほど
奥深いものかが見えてきます。

各素材が生み出す質感や機能性が、
食器としての用途に
影響を与えているのです。

陶器の茶碗で食べるご飯は
口当たりが柔らかく感じられ、
磁器の皿に盛りつけた料理は
その光沢で華やかに見えます。

一方、炻器の土鍋は
食材をじっくりと温めることで、
煮込み料理の味わいを
一層引き立ててくれます。

たとえば、燗酒を飲む際、
猪口の材質で味わいが
大きく変化するから不思議です。

かつて昭和の時代、
家庭用食器は
「瀬戸物」と呼ばれていました。

これは、愛知県瀬戸市が
一大陶器産地であったことに
由来します。

当時、全国の
家庭で使われていた食器の多くが
瀬戸から供給されていたため、
瀬戸物が食器全般をさす言葉
になったのです。

今でも瀬戸物という言葉に
親しみを感じる方も
多いのではないでしょうか。

近年では、
美濃焼の岐阜県多治見市や
土岐市が家庭用食器の
一大生産地として名を馳せています。

シンプルで実用的なデザインが多く、
手頃な価格帯で揃うため、
日常使いに最適です。

有名な蛇の目猪口の多くは
美濃焼です。

焼き物は見た目の美しさだけでなく、
料理や飲み物の味わいを
一層引き立てる機能性が魅力。

今夜あたり、
鍋の温もりや猪口の手触りを通じて、
日本の伝統工芸の深さや豊かさを
再認識してみてはいかがでしょうか。

新たな感動が見つかるはずです。

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