デジタル時代に求められる新たな年賀状の役割。

未来へ紡ぐ、伝統と革新が交差する年賀状のこれから。

年賀ハガキを取り巻く環境は
年々厳しくなっています。

年賀状を送るのは中高年層が多く、
20代以下では約40%が
“年賀状を送らない”との回答もあり
若年層の利用減少が顕著です。

かつて2003年には約44億枚に
達した発行枚数も、
2024年には約13.5億枚、
2025年は郵便料金値上げの影響もあり
約10億枚にまで減少すると
予測されています。

ピーク時の2003年は、
パソコンやプリンターの普及で
手づくり年賀状が増加する一方、
携帯電話の普及で
メールによる挨拶が広がり、
若い層の年賀状離れも進行しました。

その後、スマートフォンへと移行し、
LINEやSNSの充実した機能により、
紙の年賀状の役割はさらに縮小しています。

そんな中、2015年の未年の年賀ハガキが
突如SNSで話題に。

年賀ハガキの切手部分の
“編み棒を持ち、
首にマフラーを巻いた羊”のデザインが
12年前の2003年の
“羊がマフラーを編んでいる”
図案と同じ羊であることに気づいた人が
SNSに両方の画像を投稿。

“12年越しでマフラーを完成させた”
として大きな反響を集めました。

翌年の申年には、2004年の
“温泉に入る猿”の横に
小猿が一頭増えるという変化が。

翌2017年の酉年は、
2005年のニワトリと
同じタッチの卵の図案が描かれ、
その卵の影を拡大して見ると
“あけましておめでとうございます”の
文字で描かれる工夫が。

このような遊び心のあるデザインは、
たった8人しかいない
切手デザイナーによるものです。

年賀状文化にユーモアと
温かみを与える好例といえるでしょう。

こうした年賀状文化を
次世代に伝えるためには、
新たな形が望まれるところ。

たとえば、時代を象徴した
環境配慮型年賀状。

紙に植物の種が埋め込まれて、
使用後に植えることで
花やハーブを育てられる
「シードペーパー年賀状」は、
サステナブルを具現化する
ユニークな考え方です。

AR(拡張現実)を活用した年賀状では、
受け取った人がスマホをかざすと、
年賀状上に立体的な
アニメーションが浮かび上がるなど、
紙とデジタルの融合を象徴するものです。

日本郵便の「AR年賀状サービス」では
動物やキャラクターが
動く演出が好評です。

また、VR(仮想現実)を
取り入れた年賀状では、QRコードを通じて
バーチャル初詣や新年パーティーの
仮想空間にアクセスする体験も可能で、
360度写真や動画を共有する形で
利用され始めています。

伝統と現代技術の融合が進む
年賀状の未来にとって、
このような新たなスタイルが普及すれば、
年賀状文化の再生と、
より豊かな新年の挨拶が
実現する可能性があります。

年賀状の背景にある
“新年の挨拶を大切な人に届ける”
という思いは普遍で、
デジタル時代においても、
この伝統を新しい形で
紡いでいくことが重要です。

年賀状は単なる紙ではなく、
人と人をつなぐ文化の
一端を担っています。
これからもその価値を見直し、
後世へ受け継いでいきたいものです。

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