日本酒づくりと六甲おろし。

“六甲おろし”は、言わずと知れた阪神タイガースの応援歌。

“六甲おろしに 颯爽と…♪”。

熱狂的な阪神ファンだけでなく、
アンチファンの耳にも残るメロディー
と歌詞は、プロ野球12球団の中でも、
トップクラスの広く知られた曲です。

この力強い応援歌に後押しされた
阪神タイガースですが、
昨シーズンは最下位という結果に。

広島カープがリーグ3連覇を果たし、
CSを勝ち上がった
福岡ソフトバンクホークスが
日本シリーズを制しました。

ヤクルトスワローズ・山田のトリプル
スリー(3割30本30盗塁以上)の
史上初3回目の達成や
“甲斐キャノン”と呼ばれ、
流行語大賞にノミネートされた
福岡ソフトバンクホークスの
キャッチャー・甲斐の強肩など、
何かと話題に事欠かない
シーズンでした。

野球に限らず、ロシアW杯で活躍した
大迫をはじめとする世代交代が
上手く機能したサッカー日本代表
「森保ジャパン」の快進撃や、
世界を舞台に戦えるレベルの選手層が
厚い卓球やバドミントン男女の活躍、
女子水泳の池江璃花子の史上初アジア
競技大会日本選手6冠達成、
その巧みなテクニックが神技と
称されるボクシングの井上尚弥、
プロテニスの錦織圭、大坂なおみなど
、各スポーツ界に天才肌の選手が
続々と登場しています。

努力と根性でその技術を高める、
いわゆる“体育会系”が主軸であった
各種スポーツ界に、突然変異的に
登場する“時代の寵児たち”。

欧米人と比べて体格的に劣る日本人
ですが、環境や食生活、
科学的なトレーニングに加え、
もともと秘めていた才能やセンスが
開花していったように感じます。

その突然変異の発端をさかのぼって
みると、野球のイチロー、競馬の武豊
、サッカーの中田英寿などに見出す
ことができるのではないでしょうか。

さて、お話を
「六甲おろし」に戻しましょう。

漢字で“六甲颪”と書きます。

“おろし”とは、
山から吹き下りてくる滑降風で、
冷たさが特徴です。

「○○おろし」と呼ばれる“○○”
には吹き下ろされる山の名が冠される
ことが多く、“八甲田おろし”
“浅間おろし”“富士おろし”
“比叡おろし”など、“おろし”の名
を持つ滑降風は全国に点在します。

「六甲おろし」は、その名の通り
六甲山系から吹き下りる
北風のことを指しています。

応援歌「六甲おろし」の歌詞から
伺える“苦境に負けずに
勝利をつかみ取る”感は、
現在のトップアスリートには
そぐわないのかも知れません。

六甲おろしが、旨い日本酒を造る。

灘五郷の酒造りは、その名を全国に
知られる酒造好適米「山田錦」と
醸造に適した名水「宮水」という
類い稀な好条件が揃っていること
に加え、冬の厳しい「六甲おろし」
も大きく影響しています。

灘は昔から寒造りが主体で、年間
を通してもっとも寒い季節を選んで
酒の仕込みが行われている地域です。

あえて低温下で醸造することで、
雑菌の繁殖を抑えて酒質を
より一層高めることが、その名を
一躍全国に広めることとなりました。

さまざまな自然の恩恵が、
全国に認められる旨さを造り出して
いることにほかなりません。

菊正宗では、極上の高級酒
「治郎右衞門」「嘉宝」の仕込みを、
厳しい六甲おろしが吹く
この寒い季節に行います。

2019年の年末に限定販売する
「治郎右衞門」「嘉宝」は、手間ひま
をかけ、現在、仕込み真っ最中。

 

 

スポーツの世界と酒造の世界、
めざすのは同じく、“巧い”と“旨い”。

今年も美酒に酔いしれる
瞬間が目白押しです。