「芒種」に見られるゲンジボタルは、世界でも珍しい希少種。

「芒種」の次候「腐草為蛍」。
平安時代、すでにホタルは夏の風物詩でした。

立春を始まりとする二十四節気で、
今年は6月6日から6月20日までは
「芒種(ぼうしゅ)」にあたり、
次の「夏至(げし)」辺りから
夏本番へと向かう、
大きく季節が変わる節目といえます。

「芒種」の“芒(のぎ)”とは、
米や麦などイネ科の植物の
穂先に生える針のような毛のことで、
“芒”を持つ米や麦などの穀物の種を
蒔く季節を表しているのですが、
実際の種蒔きは、
これよりも早い時期に行います。

二十四節気を三分割した七十二候だと
このコラムが掲載される時期は、
ちょうど「芒種」次候の「腐草為螢
(くされたるくさ ほたるとなる)」
の頃。

この意味は、
川辺の雑草が暑さによってしおれ、
それが折り重なって
蒸れて腐った草の隙間から、
ホタルが光を放ちながら
飛び立つ姿を見て、
朽ちた草が蛍になるという情景を
表した言葉です。

実際には、
昼間でもホタルは葉陰などに
生息していますが、
ホタルの生態など知られていない
昔のこと、
夜を明るく照らす街灯などはなく、
暗い漆黒の夜に
幻想的な光を灯すホタルは、
不思議な自然現象のひとつだった
のかも知れません。

ホタルの別名が“朽草(くちくさ)”
ということからも、
当時のホタルに対する捉え方が
分かります。

さて、ホタルの歴史を辿ってみると、
奈良時代の「日本書紀」に
“蛍”という文字が
初めて登場します。
しかし、この時代に
ホタルが存在していたかどうかは
不明。

というのも、ホタルのことを
ハッキリと説明する文献がないのと、
ホタルの化石が
発掘されていないからです。

ところが、平安時代には、
“万葉集”や“源氏物語”に、
ホタルが水辺にいて光るものと
表記され、
また、“枕草子”では
“夏は夜。
月のころはさらなり。
やみもなほ、
蛍の多く飛びちがひたる”
と、もうすでに夏の風物詩として
ホタルは知られていたようです。

江戸時代になると、
浮世絵にホタル狩りの情景などが
当たり前のように描かれ、
“ホ、ホ、ホ〜タル来い”という
お馴染みのわらべ唄が歌われるほど、
ホタルの存在感は
大きくなっていました。

もしかすると、
都市化が進んだ現在よりも、
江戸時代のホタルは、
ポピュラーな存在だったのかも
知れません。

世界の希少種ともいえる、ゲンジボタルは“水生ホタル”のひとつの種類。

世界には約2000種以上のホタルが
生息しています。

そのほとんどが、
幼虫時代を陸上の湿地で過ごす
“陸生ホタル”で、
幼虫時代を水中で過ごす
“水生ホタル”は、
世界でもわずか10種ほど。

ところが、日本でよく見られる
ゲンジボタルやヘイケボタルは
“水生ホタル”という、
世界でも珍しい
ホタル分布エリアなのです。

ちなみに日本には
約50種類のホタルが生息。

その生息域のほとんどが
南西諸島に集中しており、
九州、四国、本州に生息するのは
9種類。

そしてその多くが、
ゲンジボタル、ヘイケボタル
ということになります。

日本でホタルといえば
ゲンジボタルを指すほど一般的で、
本州以南に生息する日本固有種です。

ゲンジボタルが見られるのは
5月から7月にかけてのこと。

赤い頭部に
黒い十字模様があるのが特徴で、
きれいな水が流れる川辺に生息し、
曲線的に飛びます。

メスは1秒に1回発光しますが、
オスの発光の間隔は、
関東と関西では異なるという
おもしろい調査結果が。

関東では4秒に1回発光するのにくらべ
関西では2秒に1回と、
やや短めの発光間隔。

これは遺伝子の違いによるものが、
それぞれの地域で繁殖したため
とされています。

一方、ヘイケボタルは、
ゲンジボタルよりも後から発見された
種類。

ゲンジボタルより身体が小さく、
発光も弱いため、
源平合戦で負けた平家の名称を
冠したという一説が有力のようです。

ヘイケボタルの幼虫は
水の流れが少ない水田や池、沼で
成長します。

成虫はゲンジボタルよりやや遅い
7月から8月にかけて活動を開始。

前述したように
ゲンジボタルよりひと回り小さく、
赤い頭部に
黒くて太い縦の線があるのが特徴で、
直線的に飛ぶところが、
ゲンジボタルとは異なる点です。

また、
発光間隔はオスメスともに1秒に1回で
光は弱く、儚さを感じるほど。

都市部で生活していると、
ホタルを見かける機会は
なかなかありませんが、
郊外に足を運ぶと、
意外とさまざまな場所で
ホタル狩りを楽しめるスポットが
あります。

これは、山間部や農村部エリアの
町おこしとして“ホタルの里”を
進めていることも多く、
そういうエリアでは、
川をきれいにして
ホタルが生息しやすい環境を整備し、
ホタルの幼虫や餌となるカワニナを
放流し、
ホタルの繁殖を
行なっているようです。

成虫になってから、
1週間から10日しか見られない
ホタルの儚い光に、
さまざまな思いを馳せて。

ホタル狩りは、
人生100年時代ともいわれる
今を見つめる、
いい機会ともいえます。

「父の日」ギフトは、嬉しいお父さんの笑顔を想像できるかどうかが決め手。

冷酒を注ぐと盃の底に絵が浮かぶ“冷感盃”。
限定販売のレア・アイテム。

毎年6月の第3日曜日は「父の日」、
今年(2022年)は6月19日です。

毎年恒例ともなった、菊正宗の
“いつもありがとう、の感謝を伝える”
「父の日」ギフトですが、
今年もお父さんの喜ぶ笑顔が
思い浮かぶようなセット商品が
ラインナップされています。

まず、注目したいのは、
菊正宗の“顔”ともいえる
嘉宝蔵ブランドのトップに並び立つ
「嘉宝蔵 雅」と「嘉宝蔵 極上」に、
オリジナル「冷感盃」をセットにした
「オリジナル盃 雅・極上セット」です。

とくに今回の目玉は、
素朴な白地の盃に、
約17℃以下の冷酒を注ぐと
盃の底に絵柄が浮かび上がる
不思議な「冷感盃」。

温度変化に敏感な
特殊な塗料で絵付けをしたもので、
父の日ギフトのために
特別に準備させていただいた、
ここでしか手に入らない
レア・アイテムです。

浮かび上がるのは、
菊正宗所蔵の
「清酒菊正宗
酒者天之美禄
唐子人形酒造絵図」
から抜粋した、
“唐子人形”と呼ばれる
中国風童子のコミカルな絵柄。

この
「清酒菊正宗
酒者天之美禄
唐子人形酒造絵図」
は、幕末から明治へと
時代が移り変わる時期に描かれた
貴重な額装図版で、
米洗いから新酒ができあがるまでの
酒造りの一連の流れを、
工程ごとに“唐子人形”を使って
図案化したものの組み合わせで
構成されており、
今回はその一部の
甑(こしき)を使った
“蒸米”の工程が
盃の底に浮かび上がります。

また、このセットの日本酒は
どちらも菊正宗が誇る
嘉宝蔵ブランド商品です。

嘉宝蔵ブランドは、
熟練した丹波杜氏による、
昔ながらの丹精込めた
生酛造りによる酒造りを継承する
季節蔵“嘉宝蔵”で、懇切丁寧に
旨いお酒を醸しているのが
特徴といえます。

「嘉宝蔵 雅」は、
原料米に菊正宗と
長年にわたって契約栽培を行っている
兵庫県吉川特A地区で収穫された
酒米の最高峰“山田錦”を100%使用。

生酛造りで醸した
特別純米酒を
原酒のまま瓶詰めにした
贅沢なお酒。

素材にこだわり、
技を尽くした濃醇で雅やかな味わいは
まさに“灘の生一本”の
極致といえます。

一方、「嘉宝蔵 極上」も同じように
“山田錦”を100%使い、
手間暇をかけて丁寧に醸した
特別本醸造酒。

飲みごたえのあるコクとキレ味が
大きな魅力で、
“冷酒”“ひや(常温)”“燗酒”
それぞれの旨さが楽しめると、
根強いファンに支えられた
人気のお酒です。

オリジナルの「冷感盃」は
数量限定でのご用意となります。

早期売り切れも予測されるため、
お早めにお求めください。

 

爽やかなお酒と美味しいおつまみの充実セットもご用意。

続くオススメのセットは、
「大吟醸と
すだちスパークリングと
お楽しみセット♪」。

「超特撰 しぼりたて大吟醸」は
、火入れ回数を減らすことで
豊かな香りを閉じ込めたお酒で、
口に含んだ瞬間に、
軽やかでスッキリとした飲み口と
鼻に抜ける
華やかでフルーティーな香り。

淡麗ながら
キリッとした味わいが
魅力のお酒です。

また、徳島県産すだち果汁を使った
爽やかな酸味の
「すだちスパークリング」は、
“和のリキュール”ともいえる、
普段お酒を口にしない方にも
飲みやすい爽快スパークリング。

これらのお酒にぴったりな
おつまみも入ったセットなので、
届いてすぐに
「父の日」パーティができる、
手間いらずのセットです。

また、飲みくらべが楽しめる、
もはや定番となった
「思いを伝えるネオカップセット
〜父の日〜」
も毎年大好評のギフトパッケージです

箱を開封したときに
5種類全20本が並ぶダイナミックさと
蓋に貼られたメッセージに
感動されるお父さんもおられるようで
リピートのお客様も年々増えている
人気の「父の日」ギフトといえます。

また、5種類のお酒を、
家族が揃ったときに飲みくらべて、
自分の好みのお酒を選んでみる
良い機会というのも
好評のポイントです。

「母の日」とくらべると、
なんとなく印象が薄いと
考えられがちな「父の日」ですが、
日頃頑張っている
お父さんのためのギフトとして、
家族団らんの会話が弾む
キッカケになるような商品を
取り揃えさせていただきました。

これまでの「父の日」ギフトの
ご用命では、自分へのご褒美として
お父さんご自身で注文される方も
少なからずおられます。

いずれにせよ、
「父の日」に間に合うよう、
ぜひお早めのご注文を
お待ちしております。

賢い“衣替え”のススメ。事前準備と、整理ついでの“断捨離。

“衣替え”の歴史は古く、厄祓いの神事の意味もあった平安時代に遡ります。

夏の“衣替え”は、もうお済みですか。

夏は6月1日、冬は10月1日が
一般的な“衣替え”として
暦に載っています。

“衣替え”が暦の行事として
取り上げられるようになったのは、
明治時代になってからのことで、
軍人や警察官、役人の制服が
洋服と定められたことから、
夏服と冬服の衣替えの時期も
一緒に制度化したことが発端です。

同じように“衣替え”は
学生服にも適用され、
やがて一般庶民にも
この習慣が広まったとされ、
“衣替えの日”として
暦に載るようになりました。

しかし、
“衣替え”そのものの歴史は
もっと古く
中国の習慣が平安時代に
日本に伝わり、宮中行事の
“更衣(こうい)”として定着。

4月1日に冬から夏装束、
10月1日に夏から冬装束に替える、
最初の“衣替え”が行われました。

季節に応じて装束を替える以外に、
“穢れ(けがれ)”を祓う
という目的もあったようです。

厄災を招き入れる“穢れ”は
時間とともに身体や家に
溜まっていくものと考えられ、
“更衣”は宮中から厄を祓う
重要な神事のひとつとされていました。

また、“更衣”という言葉は
天皇のお召替えを行う女官の
役職名として使われていたため、
“衣替え”という呼び名に
変化したともいわれています。

鎌倉時代になると、
衣装だけでなく調度品の
“衣替え”が行われるようになり、
江戸時代には、5月5日、9月9日が
加わって、“衣替え”は、
年4回の行事となりました。

“衣替え”は暦の上のことで、
あくまで目安です。

日本列島は細長く、
地域によって寒暖差があるため、
北に位置する寒い地域では、
夏が6月15日、冬が9月15日と
夏服の期間がひと月短く、
逆に南に位置する暖かい地域では、
夏が5月1日、冬が11月1日と
夏服の期間が2カ月長くなるなど、
その地域の気候に応じたタイミングで
“衣替え”が行われています。

さらに、天候が不順ともいえる
昨今の気象状況に加え、
同じ市域であっても地形により
微妙に異なることもあり、
“衣替え”のタイミングは、
“蒸し暑さ”や“肌寒さ”など、
自分の体感による判断が大切です。

その際、ひとつの判断基準として、
自宅周辺の最高気温が、
“25℃以上が続くようなら
薄手の夏物、
20℃前後は春秋の合い物、
15℃以下なら冬物”というのを
参考にしてみるのも、
いいかもしれません。

“衣替え”時の洗濯は、鉄則。
次の“衣替え”のときに、差が出ます

さて、
“衣替え”をスムーズに行うために、
いくつかのポイントがあります。

まずは、
汚れたまま収納しない
ということです。

食べこぼしの汚れや汗は
時間とともにシミとなり、
虫食いの原因ともなるので、
収納する前に、
必ず洗濯やクリーニングでキレイに。

これを怠ると、
落とし切れていない汚れが
数カ月放置したままとなり、
首回りや袖口などが黄色く変色、
次の“衣替え”の際に
結局捨てる羽目に、なんてことも
よく聞くお話です。

また、洗濯後は
十分に乾燥させることも
大事なポイント。

湿気が残ったまま収納してしまうと、
カビが繁殖する原因になるからです。

そういう意味で、“衣替え”は
天気の良い日に行うのが
一般的とされています。

とくに、“衣替え”など、
一度にまとめて行う衣類の収納に
効果を発揮するのが、
透明な引き出しタイプの収納ケースです。

透明なので中に何が入っているか
一目瞭然。

同じサイズのものを
押し入れの下段に並べて置けば、
引き出しを入れ替えるだけで、
大まかな“衣替え”は完了。

しまっておく服の上に、
必ず防虫剤を置くことを忘れないように。

ここでひと手間となりますが、
これから着る服も一度、
天日干しすることで、
収納時の嫌な臭いが消え、
素材の風合いが元に戻るので
オススメです。

さらに、気をつけたいのが、
それぞれの衣類に合った
方法での収納です。

ジャケット類などは畳むと
肩周りの立体感が損なわれるので
ハンガーに掛けて収納ダンスの奥へ。

逆にニット系は、
ハンガーに吊るすと編み目が伸びて
シルエットが崩れるため
畳んで収納を行います。

シワがよる生地なども
吊るして収納してください。

“衣替え”と同時に行いたいのが
“断捨離”。

着なくなったものを取り除いて
スペースを空けておけば、
新しい服を置く場所が確保できます。

ただし、
“断捨離”の際に気をつけたいのは、
覚悟を決めてしまうと、
次から次へと捨てることに
夢中になることです。

あくまで“衣替え”なので、
たとえ着なくても、
思い出深い衣類などは、
キレイに保存しておけば良いでしょう。

まだ“衣替え”がお済みでない方は、
入れ替えるだけの“衣替え”から
一歩踏み込んだ“衣替え”に
挑戦してみてください。

ちょっと賢い整理整頓で、
気持ちの良い生活を実現してみましょう。

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睡眠不足を溜め込んだ“睡眠負債”の解消に、短い“昼寝”が効果的。

睡眠不足が慢性化した“睡眠負債”。
働き過ぎの日本人にとって、大きな課題。

“最近徹夜続きで、
ちゃんと寝てないから、
休みの日に寝溜めをする”
などという徹夜自慢の話を、
よく耳にします。

ちょっと無理をした程度の
睡眠不足というのであれば、
それほど気にかけることは
ありません。

しかし、慢性的な睡眠不足は、
“睡眠負債”として、
身体や精神に影響を及ぼします。

“睡眠負債”とは、眠らないことで、
その負担が徐々に
身体へと蓄積している状態。

休日に寝溜めをしても、
長く蓄積された“睡眠負債”は
一気に解消せず、
そのまま生活改善をしないと、
やがて、自律神経の
バランスが崩れることで
イライラがつのり、
疲労感や倦怠感として現れ始めます。

また、自律神経のバランスの崩れは
高血圧や不整脈を誘発し、
肥満による生活習慣病を引き起こす
リスクが高いともいわれます。

フランスのヘルスケア企業が
2年前におこなった
世界主要国14カ国の
平均睡眠時間の調査データによると、
14カ国の平均睡眠時間は7時間8分。

なかでも、日本人の平均睡眠時間は、
6時間22分と世界最短で、
その調査対象の約3割が
6時間を下回った
ショートスリーパー率が高いとの
不名誉な結果に。

日本に続く中国は6時間32分と
日本に近い数値ですが、
3位のイタリアは
30分も多い7時間2分、
14位(最下位)の
ベルギーに至っては7時間34分と、
日本との差は1時間以上もあります。

これまで“日本人は働き過ぎ”と、
ずっと揶揄されてきたことからも、
睡眠と仕事は密接な関係にある
といえるようです。

昔と比べると、祝日法の改正や
ハッピーマンデー制度の導入で、
休日がかなり増えている
にも関わらず休日出勤で働き、
働き方改革が叫ばれると、
定時退社が義務付けられる中、
自宅に仕事を持ち帰って、
家で仕事をする人も
少なくありません。

もともと日本人は、
働くことを美徳とする考え方が
根底にあるため、休むのが苦手。

身体を壊してまで働く、
日本人特有のワーカホリック
(仕事中毒)の気質を
本気で考え直す時期に
きているのかもしれません。

ところが、
世界の平均寿命ランキングを見ると、
日本は世界一の長寿国で、
医療水準も先進国の中では
ダントツの一位。

歴代の長寿世界一記録
(その時の世界最高齢者)を
多数輩出しているなど、
ずっと働きづくめで、
その影響により、確実に
“睡眠負債”を抱えている人が
多い日本にとって、
ちょっと皮肉なお話ともいえます。

暑い盛りの農作業を、
理にかなった“昼寝”によって、
効果的な体力温存。

戦後の復興期を経て
高度成長期の頃は、
国民全体が昼夜を問わず働き、
日本を世界トップクラスの経済大国の
位置にまで押し上げたのですから、
その働き方には
想像を絶するものがあります。

古来、
農業を中心に発展してきた日本は、
各種農作業機械が導入される
わずか数十年前まで、
農作業のほとんどが手仕事で、
朝から晩まで、休む暇などなく、
睡眠時間も、かなり短いものでした。

とくに、毎年5〜6月頃、
その村落全体の共同作業として
田植えが始まると
そこから約ひと月は
厳しい農作業が続きます。

丁度、夏に切り替わり
暑くなり始める時期。

そこに梅雨の蒸し暑い湿気が加わり、
農作業にかかるはずの
体力を奪っていきます。

そうしたことへの対策として、
江戸初期頃、主に関西の
田植えの時期に許されたのが
“昼寝”の風習です。

もっとも暑い時間帯の“昼寝”は、
暑気払いと体力維持という、
とても理にかなった
考え方といえるでしょう。

“昼寝”の開始は、
“八十八夜”
“半夏生(はんげしょう)”など、
その村落の制度によって
異なりますが、
“昼寝”の終わりは、
必ず「八朔(はっさく)」
と決まっていました。

「八朔」とは、
“八月の朔日(旧暦8月1日)”
のことで、
現在の8月末から9月辺りの
季節の感覚。

稲穂が実り始める時期で、
農家にとってその秋の豊作祈願の
行事が行われる節目の日です。

田の実りを祈願する意味から
“田の実の節句”とも呼ばれ、
“田の実”が“頼み”に通じ、
お世話になっている親族など、
普段、頼みごとをする人に
“初穂”を贈る風習も
あったようです。

併せて、徳川家康の江戸城入城が
1590年(天保18年)8月1日
であったことから
「八朔」は祝日となり、
正月に次ぐ重要な日として
毎年祝うようになりました。

農村では、「八朔」の日に
秋の豊穣を願ってつく餅を
食べる風習がありますが、
“八朔のニガモチ”
“昼寝のトリアゲモチ”
などと陰では呼ばれ、
この日で“昼寝”が終わることを
嘆く声の方が多かったようです。

この昔ながらの“昼寝”の習慣、
最近ビジネスの現場でも
見直されているそうです。

昼食後の30分程度の短い仮眠は、
寝覚めも良く睡眠不足の解消にも
つながるとのこと。

まずは「良い睡眠」の条件である
“良い寝つき”“ぐっすり眠る”
“スッキリとした寝起き”
の対策を講じ、足りない場合は、
昼休みの仮眠でカバーというのが、
意外と効果的なようです。