11月7日は、鍋の日。
地球温暖化が議論されるようになって
約30年経ちましたが、先頃、
太陽の黒点活動の減少に伴って
2030年までに小さな氷河期が訪れる
との専門学会の発表がありました。
暑くなるのか、寒くなるのか…
季節ごとの行事や歳時など、
四季にうるさい日本人にとっては、
かなり悩ましいことになりそうです。
現実問題として、11月7日に
立冬を迎えたというのに、
まだ“初雪”の便りが届かず、
朝夕が少し涼しくなった程度で、
冬の気配はそれほど感じません。
11月上旬に初雪の観測がなければ、
1886年以来132年ぶりの
椿事(ちんじ)となります。
今年は台風の当たり年でもあり、
気象庁の“異常気象の年”との
発表があったことを考えると、
少しずつ季節が変わってきて
いるのでしょう。
とはいえ、今年の紅葉の見頃は
北・東日本は平年より少し遅く、
西日本は平年並み程度との予想
なので、これから急激に冬へと
駆け足で突き進んで
いくものと思われます。
11月7日は「鍋の日」でしたが、
それほど冷え込むこともなく、
鍋が恋しい季節には、
少し早いのかも知れません。
「鍋の日」は某食品メーカーに
よって、2001年に制定されました。
“11(いい)7(な)べ”という
語呂合わせと、二十四節気のひとつ
である“立冬”は、毎年変動するもの
の、11月7日になることが多いという
ことで、この日になったそうです。
11月7日は、
日本畜産副産物協会が制定した
「もつ鍋の日」でもあります。
こちらも“11(いい)もつ7(な)べ”
の語呂合わせから来ています。
日本酒の“旨み”と出汁の相乗効果。
日本酒は、他のお酒と比較して、
より多くのアミノ酸やコハク酸などの
旨み成分を持つお酒です。
日本酒の旨みは、複雑な醗酵工程
により生まれるもので、
他のアルコール類と比較した場合に、
その数値は群を抜きます。
この旨みのおかげによる、
和・洋・中…幅広い料理に合う
包容力が日本酒の魅力です。
料理に合った酒質を選ぶことが前提
ですが、日本酒の旨みが料理の旨みと
合わさり、その相乗効果によって
料理の味わいを
より一層引き立てます。
すべての鍋料理が和食という
訳ではありませんが、互いに
“和食に合うお酒”“日本酒に合う料理”
として発展してきた長い歴史の中で、
鍋料理との相性の良さは
抜群といえるでしょう。
鍋料理は、ひとくくりにできない
ほど、そのバラエティは豊富です。
いろんな鍋料理に合う
日本酒の選び方を
ご紹介しましょう。
【水炊き】
あっさりとした昆布出汁で素材
そのものの味を楽しみます。
鶏肉や豚肉とたっぷりの季節野菜。
ポン酢でいただく
さっぱりとした鍋です。
-
- 素材の味わいを最大限に
引き出す、飲み口がスッキリ
とした「本醸造」や
「生酛純米」がおすすめ。
「本醸造」は燗酒で楽しみたいもの。
【かにすき】
昆布ベースのやや薄めの白出汁。
カニの旨みが溶け出して
香り高い濃厚な出汁に大変身。
締めのカニ雑炊は絶品。
溶き卵を回し入れ、
刻み海苔をお忘れなく。
変わり種としてカニの甲羅に
お酒を注いだ“甲羅酒”に
挑戦してみてください。
- 出汁の濃厚さに負けない、
重厚な旨みの
「生酛純米」が最適。
お好みで冷や、もしくは熱燗、
どちらも楽しめます。
【すき焼き】
砂糖と醤油をベースにした
甘辛さが素材に広がる
全般的に濃い味付け。
まずは牛肉を味わってから、
甘辛い味が浸みた豆腐やお麩、
厚揚げ、シラタキ、キノコ類、
白菜、春菊などを溶き卵に
くぐらせていただきます。
- すき焼きの濃い味付けに
合わせるには淡麗では
料理の味に負けます。
しっかりとした旨みの芳醇な
「樽酒」がベストチョイス。
【醤油ちゃんこ寄せ鍋】
醤油ベースのカツオと昆布の
合わせ出汁。
具材の主役は魚介系で。
魚介類から染み出た
たっぷりの旨みと
野菜のエキスにより、
締めの雑炊まで楽しめます。
雑炊にはポン酢をひとかけ。
- しっかりとした深い旨みの
「生酛純米」を熱燗で。
冷やなら「生貯蔵酒」
がおすすめ。
【もつ鍋】
ショウガとニンニクの風味が、
もつの臭みを取り除いて
旨みを際立たせます。
醤油ベース、味噌ペース
どちらでもお好みで。
- 濃い味わいと独特なコク
に負けない厚みのある
「生酛純米」がおすすめです。
【カキの土手鍋】
海のミルクと称される新鮮なカキは、
白味噌ベースの少し甘み
のある独特な風合い。
冬の醍醐味としてシーズンに
一度は楽しみたいもの。
- 白味噌独特の甘みとコクには、
「生酛純米」の厚みのある強い旨み
がマッチします。
せっかくの鍋の季節。
12月が近づく頃には、
少しだけ寒くなって、
コタツを囲んで
“美味しい鍋と日本酒”
といきたいところです。