長期冷却熟成 純米大吟醸
古代ギリシャ。
女神ミューズを召喚した吟遊詩人は
英雄オデュッセウスの
10年におよぶ物語を、語り継ぎました。
こうして
「英雄の長い旅の記憶」は
紀元前から今日まで
長編叙事詩Odysseiaとして
人類の記憶に生き続けたのです。
はてしなく打ち寄せる波が綾なす
今、この瞬間を重ねていく彼方。
悠久の時間だけが洗練しえるものがあります。
たとえば、
高いレベルで醸造されたクリアな日本酒は
氷温下で本当にゆっくりと、
長い時間をかけて育ちます。
人は成長し、
時代は移り変わるほどの長い年月。
このボトルはひたすら待ち続けていました。同じ時を重ねてきた、勇敢な英雄が
この栓を開く、その瞬間を。
祝福を、あなたにオデュッセイア 2001
長い旅の道程に思いをはせ、
共に祝う
西暦2001年。
21世紀の幕開けという記念すべきこの年、
純米大吟醸酒「治郎右衞門」の一部が、
密かに冷却貯蔵されました。それは、
丹波杜氏の名匠、故 籾井計三が
菊正宗のハイエンドモデルとして
醸し上げた渾身の作品。
そして今、
共に重ねてきた
長い長い年月を振り返れば、
ほろ苦くも愛おしい。穏やかに、円熟の時を迎えたのです。
氷温下より目覚めたボトルは
いよいよ蔵出しの準備に入りました。
一度限りの限定170本。
このタイムカプセルを開くのは、
どうぞ、大切な方とご一緒に。
氷温下に託した夢を味わう
純米大吟醸「治郎右衞門」の一部が冷却貯蔵されたのは2001年。当時菊正宗では、今流行りの香り高いフレッシュ系の大吟醸ではなく、辛口ブランドの名にかけて、究極の「味吟醸」を極めていました。氷温下の眠りの中で、分子レベルの次元を変容した酒は 味わう人それぞれの郷愁へご案内するものと自負いたします。
- 上品で芳醇な佇まい。手間をかけた箱こうじ由来のマロンが強い印象を与えます。イチジク、プルーンのドライフルーツに加え、マッシュルーム様の熟成香とシダーウッドが、深い瞑想へと誘う。わずかに感じる杏仁豆腐も面白く、アフターフレーバーには、熟したデリシャス林檎が遠い記憶を呼び覚まします。
- アカシアを思わせる程良い甘さが綺麗に引き締まっていく印象。まろやかでふくよかな旨味が、氷温長期貯蔵を経てなお感じられます。若々しい酸味と調和し、しっかりとしたストラクチャーを保っています。
長旅を経て、
未だ枯れぬ溌剌とした
大人の色気
しっかりとしたコクと旨味、
上品な熟成香にあわせ、
ミシュラン三つ星のナンバリングされた
幼鴨フィレ肉のローストや、
A5等級神戸牛のすきやき、
北京ダックと一緒に。
日本酒は生き物です。お客さまのお手元でも味わいはデリケートに変化します。
私どもの経験より、もっとも良い変化を感じていただく方法は次のとおりです。
- A
- 冷暗所に保管されたお酒をデキャンタに移し、冷蔵庫で10分ほど冷やします。次に冷蔵庫から出して室温(※25℃想定)で40分程度静置し、お酒の温度が15℃程度になると味わいの調和が完成します。ブルゴーニュ産ヴィンテージの赤と同様に、飲み頃は 15~18℃です。
- B
- 冷蔵庫に保管していた場合、デキャンタに移して室温で約50分静置すると、ほぼ同じ条件となります。
- C
- より熟成感を求められる場合は、デキャンタに移して冷蔵庫で1時間ほど冷やした後、室温で50分ほど静置してください。
日本の発酵力の新たな可能性を表現菊正宗 新シンボルマーク
日本の発酵力の可能性を世界に問う、これからの菊正宗のシンボルとして、プロダクトデザインやテレビ番組のアートディレクションなどに広く携わってきた株式会社 TSDO の佐藤 卓 氏がデザインしました。
- ■ グラフィックデザイナー
佐藤 卓 - 360年の歴史ある会社のシンボルマークをつくる上で一番大切なことは、新しくつくられたという印象にしてはいけないということです。現在までの歴史を束ね、流行に左右されない、まるで昔からあったようなシンボルマークであるべきだと思い、このマークを制作しました。菊を横から見た図で、全ての花弁が中央上部に向かっています。このことが、事業が多様に発展しながらも、菊正宗としてひとつの方向に向かっていく強い意志を表しています。このシンボルマークが、「灘から世界へ。」というスローガンとともに、言葉を超えて世界の人々の記憶に残り、育ってくれることを願っています。